医学試稿

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薬剤の毒(一)

天然痘毒素の外に薬剤の毒、すなわち薬毒といふ毒素が、如何に恐るべきものであるかを説明してみよふ。古今東西を問はず、病気に対する薬物療法は、人類に如何に根強く浸潤したであらふか。病気に罹れば薬を服むといふ事は、腹が減れば飯を食ふといふ事程、そ...
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病原としての天然痘毒素

陰性化されたる天然痘毒素は、如何なる作用を作(ナ)すやといふに、人体内の何れかに浄化作用によって集溜するのである。その集溜する個所は、感冒の項に述べたる通りの個所にて、感冒の浄化作用停止が回を累ねる結果、肺結核となるのであるから、近来の結核...
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天然痘と種痘

種痘の効果は、天然痘に罹らないといふ事は知らぬものはない程明かである。然し是に稽(カンガ)ふべきは、天然痘に罹らないといふ事は、天然痘の毒素が解消したといふ事ではない。チフス菌があっても発病しない人が往々あるのと同じ訳である。 人間は生れ...
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国民体位の低下の真因

抑々、文明国民の体位の低下は、西歴千八百年頃からであって、彼の英国に於ても十八世紀中に、最高一ケ年百弐十万の増加をみた事さへあるが、十九世紀の初頭より漸次増加率の逓減を表はし、近年に到って弐十万位といふ驚くべき減少率を示してゐる。英国の有名...
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結核は絶対に感染せぬ

医学上、結核は感染する事になって居るから、世人は非常に恐れてゐるが、何ぞ知らん、絶対に感染はしないのである。之に就て私の実験を報告する。それは私の家族五、六才から十七、八才までの子供六人、書生女中等四、五人居る。その中へ肺結核患者、之は私の...
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肺結核

近来、肺結核は年々増加の傾向を辿り、国民病といってもいい位蔓延しつつあるのである。之は如何いふ訳かといふと、前述の感冒が浄化作用の停止を繰返しつつあるうち、終に解熱法にても解熱せず、此熱によって疲労感、食欲不振、羸痩、咳嗽、盗汗、喀痰等の症...
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病気の実例

先づ凡ゆる疾患中、最も多きは感冒であらふ。然し、今日迄医学上感冒の原因は、今以て不明とされてゐる。然し、私の発見によれば、此病原位はっきりしてゐるものはないと思ふのである。抑々、人体の浄化作用は、二六時中一秒時と雖も浄化作用が行はれつつある...
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病気の真因

病気といふものを一言にしていへば、『生の為の浄化作用なり』である。元来、人間が健康を保持し、生命を営みゐる条件としては、或程度全身が清浄でなければならないのである。何となれば、血液を初め、新陳代謝の完全に行はれるには、汚濁があってはならない...
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病気とは何ぞや

古来、病気なるものは、その原因として、仏説には四大調和の破綻とか仏罰、漢方医学に於ては五臓六腑の不均衡、西洋医学に於ては、ウィルヒョウの細胞衰滅説、コッホの黴菌による伝染説等、幾多の理論学説等あるが、何れもが病気なるものを災厄とし、悪い意味...
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国民体位低下

確実なる統計によると、明治三十年代の壮丁入営後の胸疾患患者は、百人につき弐人であったものが、昭和拾参年には、百人に付き三十弐人になったといふ事である。十六倍といふ驚くべき数字である。又、最近、小学児童の結核菌保有者は○人につき○○人、要治療...