救世 お伺いロマンス 二人袴(三)
岩崎 栄「焼酎は無かっただか、お春」吉太がモソッとした声で、永い沈黙を破った。しかしお春はやはり、つッ伏せたまま返辞をしない。吉太はお春の背なかを跨ぎ、煤け破れた袋戸棚を開け、まるでゴミ捨場に転がっている油徳利みたいに汚ごれた一升徳利と、フ...
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