著述編

明日の医術

咳嗽及び逆上

咳嗽は、曩に詳説したから、茲では二三補遺(ホイ)として説くが、咳嗽の原因は身体凡ゆる局部にある事は既に説いた通りである。そうして医学が、咳嗽の原因を咽喉が悪いとしてゐるのは、あまりにも見当違ひである。故に咳嗽を止めようとして吸入法を行ふが、...
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憂欝感及び麻痺と痙攣

憂欝感には、種々の原因と種々の症状があるが、最も多いのは頸部及び肩の凝りに因る事である。之は、其項目にある如く、凝りの圧迫によって脳への送血が減少し、脳貧血になる為である。爰に面白いのは、幼児が常に機嫌がわるく憤(ムズ)かる事で、医家に於...
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眩暈及び不眠症

眩暈(メマイ)は非常に多い病気であるが、医学では全然不明とされてゐる。然し、この原因は、実に簡単明瞭である。眩暈には二つの原因がある。一つは、右側後頸部延髄附近に毒素の溜結があってそれが眼球へ送流する血管を圧迫するのである。即ち眼が物体を視...
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浮腫及び盗汗

浮腫(ムクミ)は、其原因として二種ある。それは、腎臓及び膀胱の支障である。そうして腎臓が原因の場合は、腎臓疾患の説明中にある如く腎臓萎縮に因る余剰尿が原因であって、軽きは局部的、重症は全身的に及ぶのである。又、浮腫が左右孰れかに特に多い場合...
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下痢

下痢は最も多い症状であるが、先づ急性と慢性とに区別される。急性は、飲食物による中毒即ち“食あたり”が多いのである。世間よく、寝冷によって起るといふが、之は殆んど誤りで、冷によって下痢をするといふ事は極稀である。食あたりの下痢の際、薬剤等によ...
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不快感及び嘔吐

爰に、不快感といっても種々あって、其症状は一定してゐないのであるが、重なる症状を記せば、嘔気(ハキケ)、痙攣、悪寒、船車の酔、朦朧感、焦燥感等であらう。そうして最も多いのは嘔気であらう。此症状は、原因としては脳貧血に因る胃の反射作用と、高熱...
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掻癢苦

人体に於ける痛みの苦痛は、誰も知る所であるが、掻痒の苦痛は体験者でないと判り難いであらう。実に病的掻痒苦は、痛みに劣らぬ苦しいものである。此疾患の原因としては薬毒、然毒、食餌中毒の三種であって、其中薬毒に於けるものから説いてみよう。先づ、掻...
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痛苦

痛苦即ち痛みなるものは如何なる訳であるかといふに、前にも述べた如く浄化作用の発熱によって凝結毒素が溶解され、液体となった毒素が、何れかに出口を求めて、その方向に進まんとするその運動が、筋肉の神経を刺戟する。-それが普通の痛みの原因である。以...
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発熱

医学上、発熱の原因として今日迄種々の説が行はれてゐるが、今日一般的には、発熱中枢なる機能が頭脳内に在って、それが何等かの刺戟によって熱が発生するといふ説である。又、四肢の運動に由る為と、肝臓及び腎臓からも発熱するといふのである。そうして人間...
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病気症状と其解剖

茲に、病気症状といへば、大別して左の如きものであらう。発熱、痛苦、掻癢苦(ソウヨウク)、不快感、嘔吐、下痢、浮腫(ムクミ)、盗汗(ネアセ)、眩暈(メマイ)、不眠症、憂欝感、麻痺、咳嗽、逆上(ノボセ)、耳鳴、痙攣、冷へ、便秘等であらう。之等...