本療法が一般に行はれるやうになるとすれば、現在国家が最も憂慮しつつある処の人口低下の大問題が解決なし得るといふ事である。元来、不姙症は如何なる原因であるかといふと、全く前項に述べた如く、腎臓萎縮によってホルモンの欠乏となり、ホルモンの欠乏は、性的劣弱化するのであり、それが姙孕力低下の真因である。勿論女性ばかりではない。男性も同一である。特に女性にあっては萎縮腎の為、尿毒が腹膜に固結し、喇叭管を圧迫し又は前屈後屈等、子宮の位置を変移する事によって受胎に支障を及ぼすのである。
右の如くであるから、不感症や夫を忌避する女性等は、悉く萎縮腎の結果である。医学に於て、子宮の発育不全といふのも、勿論、それである。故に、腎臓が健全になれば、必ず姙娠すると共に、夫婦相和し、家庭争議や離婚等の忌はしき問題は著減する事は必然である。私は、自画自讃せざるを得ないのである。本医術を外にして、人口問題解決の鍵は絶対得られない事である。
(明日の医術 第二篇 昭和十七年九月二十八日)