著述一覧(未発表)

医学試稿

生と死

古来、凡人は固より、先哲、聖賢も此死の問題に就て程、如何に論議し説得され、又解決しよふと努力したものはないのである。いふ迄もなく、如何なる幸福も、如何なる希望も、此死によって万事休すで、此事以上に恐るべき事はあり得ないのである。然るに此恐る...
医学試稿

霊と体

前述の如く、物質及び空気は、何れもその存在を捕捉し、確認せらるるのであるから、空気と雖も物質として扱はるべきものであるから、無と同様の存在である。霊気と対照してみる時、一の霊と二の体と区別してみると、霊と体とになるのである。然るに、此無と想...
医学試稿

三原素

前項に述べた如く、吾々の住む此地球上の凡ゆる生成化育の本源が、火水土の密合調和であるとすれば、それ等の作用が万物に対し、どういふ風になるかといふ事を説明してみませう。現代人は、科学の進歩によって大抵のものは一応解決されたやうに思ってゐる。然...
医学試稿

第一篇 森羅万象の構成

凡そ、天地一切有りと凡ゆる物の原素としては、大別して、私は三つに別けます。その三つは何かといふと、火と水と土であります。如何なる物と雖も、火と水と土に関りのないものは決して在るはづがない。否、火と水土それ自体が此宇宙であり、万物の実体である...
医学試稿

はしがき

岡田大先生が創始されたる病気療法は、名称は指圧療法の名を用ひてゐるけれども、実際は、本当の意味の指圧療法ではないので、適当な名称が見当らない為、やむを得ず人口に膾炙した指圧療法といふ名を用ひられておったといふ事は、度々先生から聞かされたので...
新日本医術書

誤診誤療の実例 医術で不具になった話

之は某看護婦の話である。七歳の女児、右頬に腫物が出来たので、入院して手術をしたのである。然るに、手術時期が早期の為、眼瞼下に、又別に腫物が出来たので、早速それをも手術した処、結果不良で悪化し、終に最初の箇所と次の箇所と連絡して了ったのである...
新日本医術書

誤診誤療の実例 三、松田文相の死

西洋医学に於る健康診断は、未だ不完全であるといふ事を断言したいのである。 最近に於るそれは松田文相の死である。新聞紙の報道によれば、医学界の権威として帝大の古参教授として、令名の高い真鍋博士が死の三時間前に健康診断をしたといふ事である。之は...
新日本医術書

誤診誤療の実例 二

本年卅七歳になる某上流婦人が私の所へ来たのである。其婦人の曰く、肩の凝りと頭痛が持病であった所、最近、月経がいつもより日数が多かったので、某博士の診断を受けた所、「右側の卵巣が、左側のよりも三倍もの大きさに腫れてゐる。それが原因であるから、...
新日本医術書

誤診誤療の実例 一

之は実際、私が手掛けた患者であったが、それは本年正月四日に、三十二才の婦人が来たのであった。其話によれば、今度の月経が例月よりも日数が多く掛ったので、心配の余り某医師に診断を乞ふた所「之は大変である。子宮外姙娠であるから、急いで手術をしなけ...
新日本医術書

医学は退歩したか

去る五月下旬の朝日紙上に、斯ういふ事が掲載してあった。非常時局の中堅層をなす我が壮丁の体格及び健康が近年次第に低下しつつあるので当局では深く憂慮し、二十七日午後三時から九段偕行社に陸軍側から小泉医務局長、中島二等軍医正、園田一等軍医、文部省...