三原素

前項に述べた如く、吾々の住む此地球上の凡ゆる生成化育の本源が、火水土の密合調和であるとすれば、それ等の作用が万物に対し、どういふ風になるかといふ事を説明してみませう。

現代人は、科学の進歩によって大抵のものは一応解決されたやうに思ってゐる。然し、それは大いなる謬りと自惚であって、未だ未だほんの一部だけの解明に過ぎないのではないかと思ふのであります。今私がいはんとする原理は、今日迄の科学も哲学も全然夢想だもしなかった事によってみても、諸君は肯るるであらうと思ひます。

現代科学に於ては、此地上には、空気と物質との二つの原素より判っておらない。勿論、近代科学の誇りとする電波も、空気に含まれてる一の原素としてゐるのであります。然るに私は、此二原素の外に、今一つの原素がある事を発見したのであります。それは何であるかといふと、強ひて名を付ければ、空気に対して霊気とでもいふべく、故に、此霊気の名を以て説明してゆかふと思ふのであります。然らば霊気とは何ぞや、之を別の言葉でいへば、火気又は火素であります。元来空気なる物は水素が主であるに対して、霊気は火素が主であります。今日迄水素なる言葉はあったが、火素なる言葉は無かったのは不思議であります。然し乍ら何故火素なる言葉、否、火素が発見され得なかったかといふ事は、空気は物質化する事が出来、機械によって測定し得られたのであるが、それと反対に霊気の方は物質化したり、器械によって測定する事は不可能であったからであります。然し何れは、停止する事を知らない科学の進歩は、霊気の存在を識る方法が発見さるるといふ事は、疑ふ余地は無いのであります。

(医学試稿 昭和十四年)