肺浸潤

肺浸潤に付て説明をする。肺浸潤は肺の外部にあった薬毒の固りが溶けて、肺に浸入し痰になって出やうとする病気である。此病気は肋骨及び肋間に溜結したる毒素の浄化作用である。之は軽微な肋膜炎又は肋骨附近に溜結せる毒素が浄化溶解し肺臓内に浸潤吐痰とならうとするので、其際必ず微熱がある。それによって溶解した毒素が肺へ浸潤し、喀痰となって排泄されるのであるから、必ず治癒すべきものであって、それは何等の療法をせず放置しておけば自然治癒するのである。

然るに医療は湿布をしたり、薬剤を使用する。元来、人体は皮膚からも毛細管を通じて呼吸してゐるのである。湿布は此呼吸を止めるのである。呼吸が止まるからその部の新陳代謝が弱る。新陳代謝が弱るから浄化作用が停止する。浄化作用が停止するから解熱する。解熱するから毒素の溶解作用が停止して固まる。即ち、浄化作用発生以前に還元するのである。故に、予後運動などして活力旺盛になれば再発するのである。そこで医家は激しい運動を戒しめ、過労を恐れるといふ訳である。