脳溢血

脳溢血は男女共壮年から老年にかけてのもので、人も知る如く発病するや頭脳朦朧、呂律が廻らず、重いのになると目まで冒されるが、此病気は半身不随に決ってゐるのである。之にも非常に重い軽いがあって、重いのになると手や指の節々まで硬直して自由が利かなくなり、足も歩けず、足首がブランとして着けなくなる。

そうして先づ此病気の原因であるが、之は右か左の淋巴腺部に相当若い頃から固結(濁血の固まり)が出来、或程度に達するや、突如として浄化発生し、之が溶けて頭脳に向って溢血する。溢血するや忽ち反対側の方へ流下し、手足の関節部に固るので、その速さは数秒位であるから、アッといふ間もなく、実に恐ろしい病気である。その際濁血は脳内にも残り、それが脳的障害を起すのである。之は、毒血の沢山ある人が、頭脳を多く使ふのが原因であります。近代人は肉食を多くする為毒血が殖へる。そこへ頭脳を多く使ふからそれへ向って神経が集注し、それが為毒血が溜結するので、中には癌のやうに固結した人もありますが、之は脳溢血になり損ねて外で固まったものです。そうして毒血の溜結が或程度を越へると、血管が破れて脳の方へ溢出する。それが小脳中の各種の機関に障害を及ぼすので、それの表れが半身不随であり、気の付いた時には中風になってゐるのであります。この症状の特徴として、毒血溜血は左右いずれかであるから、病気症状も必ず右か左か一方なのであります。右が溢出すると左の半身が不随になり、左ですと右半身が不随となります。中風は医学の解釈では頭脳から繋がってゐる手足への神経が切れると言ひますが、之は誤りの様であります。何故なれば、本療法によれば治癒するからであります。ですから、脳溢血を予防するのは容易であって、後頭部へ溜った毒血を浄化すれば絶対に起らないのであります。予防法は、最初一、二週間治療をして後は一ケ月に二、三回位、半ケ年位続ければ先づ五年間位は大丈夫であります。

脳溢血の場合は、最初激烈な偏頭痛があります。そうして発熱と嘔吐があります。そういふ症状は、脳溢血の序幕と見ねばなりません。嘔吐が頻繁である程、脳は余計に犯されてゐるのであります。食欲皆無となり、ヌラヌラした唾液を吐きます。嘔吐の少いのは軽症で、つまり嘔吐の多少によって病気の重軽を知るのが、最も確実であります。嘔吐が四、五回以上ある時は重症とみていいのであります。それから半身不随となり、早くて一、二晩、長いのは二週間位意識不明であります。脳溢血になると同時に左右孰れか一方の手足はブラブラになりますが、脳溢血になった時、直ぐに本療法を行へば十人が十人必ず治るので、手足がブラブラになったのでも大抵二週間位で元通りに恢復するんであります。全治には一ケ月位とみればいいので、実に素晴しい治病力であります。

此病気も発病後何等手当もせず、自然に放っておけば、緩慢なる自然浄化によって十中八、九は全快するが、それを知らない為、慌てて医療を始め種々の手当を施すので、其為不治となったり、生命を失ふ事になるのである。言う迄もなく凡ゆる療法は固め方法であり、暫くの間は小康を得られるが、何れは必ず再発するのは衆知の通りである。それに引換え浄霊は溶かす方法であるから、早ければ一、二週間位、遅くも二、三ケ月位で快くなるが、医療を受けた場合は、再発して二回目は数ケ月、三回目は数年位で治るのである。併し今までは浄霊を知る人は少ないから、色々な固め療法を施す結果、浄霊でもそれだけ時日がかかるので、つまり固った度合によって治るのに遅い速いがある訳である。

そうして此病気は重症になると一回目で死ぬ人も往々あるが、軽症は一旦小康を得ても暫くしてから二回、三回と起る事になるのが殆んどで、そうなったら先づ助からないと思っていい。処が医学では一回目の発病後少し快くなると、二回目の発病を恐れて極力身体を動かさないやうにし、食餌も非常に減らすが、之は弱らす為であって、弱る程浄化が起らないからである。そのやうにしてどうやら命だけ繋いでゐる人も世間には随分あるやうで、之なども医学の無力を表白してゐる以外の何物でもないのである。

右は普通の脳溢血であるが、稀には逆中風というのがある。(之は私が付けた病名である)それは脳に向って溢血しないで、逆に下降する為、脳には異状はないが、片方の手足が不随となる症状である。然し之は割合治りいいものであるが、医師は此病原は全然分らないとみえて、不得要領の説明でお茶を濁してゐるやうである。然し之なども放っておけば、割合順調に治るものである。

脳溢血の徴候は、血圧が高く首筋や肩の凝り、手の先が痙れたり、手が痛かったり、耳鳴、偏頭痛、眩暈等であります。治療は、頸髄、延髄、小脳部其他熱い所か痛い所、麻痺した個所をやればいいのであります。

〔浄霊箇所〕
脳天、後頭部、頸髄、延髄、小脳部、肩、腎臓、患部
腕の動かない場合…肩、淋巴腺(腕の附根)
脚の動かない場合…腎臓、臀部、鼠蹊部

脳溢血(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)
脳溢血(医学革命の書 昭和二十八年)