『浮腫は其原因に二種ある。普通は腎臓萎縮又は膀胱の支障であつて、腎臓萎縮は一般的浮腫の原因である。重症は全身的、軽症は局部的で、例へば左右孰れかの半身又は下半身といふやうな事もある、然し乍ら局部的と雖も顔面又は片腕、脚等の場合は萎縮腎でなくその浮腫部にあった固結毒素の浄化溶解の為である。茲に注意すべき事は種々の病気が重症に進む場合、脚の甲に浮腫発生する事がある。之は死の信号ともいふべく、先づ回復困難と見るべきである。又脚気の浮腫は膝下に限るとみていい』
(天国の福音「浮腫及び盗汗」より)
『又、浮腫が左右孰れかに特に多い場合がある。それは、浮腫の多い部の腎臓が萎縮してゐるのである。そうして浮腫の殆んどは、腎臓萎縮が原因であるが、稀には膀胱が原因である事もある。それは輸尿管末又は膀胱から尿が尿道へ通下の口許に粒状膿結が閊える場合、尿の通流に支障を来し、浮腫の原因となる事がある』
(明日の医術 第二篇「浮腫及び盗汗」より)
『次に医家も世人も全然気付かない浮腫がある。之は女学生に最も多い症状で、頗る肥満し、俗に固肥りといふ訳で一見非常に健康そうに見えるが、健康でない証拠は常に疲労し易く、動悸、息切れ、身体重量感等種々の支障が起り易いのである。此原因としては、萎縮腎に因る餘剰尿が全身的に少量づつ溜積しそれが長時日に渉り固結するので、勿論本人は気付かないのである。故に少量の食餌を摂るに拘はらず肥満する人があるが、それは右の如き人である。又膀胱と尿道との境に結石、又は膿結が閊へその為尿の流下が妨害され、浮腫の原因となる事もある。(中略)よく頭脳、顔面、脇下等何かの衝動によって発汗する人があるが之は其部に尿毒があり、その浄化としての発汗である。そうして健康者は常に全身的に発汗し易いのが普通で、健康そうに見えても、局部的発汗又はあまり発汗のない人は、何れかに故障があるとみるべきである』
(天国の福音「浮腫及び盗汗」より)
『盗汗は、医学の解釈では、衰弱の為としてあるが、之も全然反対である。即ち、浄化作用旺盛の結果であるから、盗汗のない患者も、治療するに於て盗汗がおこり、それから回復に向ふに鑑ても、浄化作用である事は事実である』
(明日の医術 第二篇「浮腫及び盗汗」より)
(浄霊の個所)
むくみは、主に腎臓萎縮のために起こりがちです。むくみが全身におよんでいる場合は、腎臓の背面を中心に浄霊し、局部的な場合にはその個所を浄霊します。寝汗は、熱によって毒素が溶解、液体化され、毛細管から滲出するものです。また、局部的に汗をかく人もいますが、こういう人は大抵右か左かの一方的で、その側の腎臓が萎縮しているためです。その場合、腎臓部を中心に患部を浄霊します。
(新田博士のコメント)
日本医術では「むくみの原因は二種ある。それは腎臓及び膀胱の支障である」とありますが、たしかに腎臓機能の支障はその原因の一つとなります。医学的に見た場合、全身におこるむくみの原因としては、主に五種類あります。
第一は、腎臓疾患の場合で、これは日本医術の説明にある通りです。
第二は、心臓疾患の場合です。心臓が原因でおこる場合には、水力学的に低いところにむくみがおこります。すなわち立ち通しでいる時は、下半身、足の方に、寝ている時は、背中の方にむくみが出ます。
第三は、電解質(ミネラル等)の代謝異常の場合です。ミネラル等の代謝異常が体の中で起こりますと、やはりむくみが起こります。また、ミネラル以外にも、たんぱく質の異常、低たんぱく血症になりますと、水分を保っていられなくなり、むくみがでてきます。その例としては、最近はほとんど見られなくなりましたが、栄養失調のような栄養障害があります。末期がんにみられる悪液質に伴うむくみも低たんぱく血症が主原因ですが、そのほかの要素もあって複雑です。
第四は、血管や淋巴管の閉塞による場合で、比較的大きな静脈の血栓や栓塞とか、肝硬変による門脈の圧迫や閉塞とか、がんによる淋巴管の閉塞などによっておこります。また、血管神経性に血管が長時間収縮しておこることもあります。
第五は、中毒による場合で、たとえば、妊娠浮腫や、副腎皮質ホルモンの副作用がありますが、原因は複雑です。
局所的のむくみは局所の循環障害によって起ることがほとんどです。末梢の静脈の閉塞性静脈炎とか、淋巴管の閉塞とか、炎症部位及びその周辺などに生じたり、アレルギー性や局所的の血管神経性におこることもあります。寝汗については、衰弱も一つの原因となりますが、多くの場合、寝汗は新陳代謝旺盛のためで、たとえば外気の温度が高い時や、子供がよく遊んだ後に、寝汗をかきます。