1)発熱

第三章で大自然の構成と活動、その大自然と人体との関係については既に学びました。

『非物質である火素は地上の空間を充填してをり、私は之を霊気界と名付ける。同じく地上空間を充填してゐる水素は空気界を造ってゐる。従而心臓は霊気界から火素を吸収して居り、その運動が鼓動である。勿論肺臓は空気界から水素を吸収する──それが呼吸である。胃の腑は又土素から生産された食物を吸収する』

『右の理に由って体温とは心臓の鼓動によって不断に霊気界から吸収してゐる火素である』                         (天国の福音「発熱」より)

『病気発生するや、発熱するという事は疾患部の凝結毒素を溶解せんが為、必要量の熱即ち火素を心臓が霊界から吸収するのである。即ち心臓の鼓動は霊界から火素を吸収するポンプ作用である。発熱時より先に心臓の鼓動即ち脈搏が増加するのは、火素吸収が頻繁になるからである。その際の悪寒は、浄化に必要な熱量を吸収する為、一時体温の方への送量を減殺するからである。故に、解熱するという事は、毒素溶解の作用が終ったのである』                
(天国の礎「火素・水素・土素について」より)

『此理によって死後急激に血液が凝結するのは火素が霊気界へ還元するからであり、死体の乾燥は水素が空気界へ還元するからであり、死屍の土壌化は物質であるから土素に還元するのである』

『次に注意すべき事は、発熱の場合世人は全身的と思ふが、実はその殆んどが局部的である。例へば高熱の場合、指頭を以て発熱の焦点を探査する時、指頭位の小塊を発見する。之は火の如き強熱さでよく判明する。それを溶解するや忽ち全身的に下熱するのである』

『高熱に対し氷冷法を行ふが、之は最も不可である。それは人体適正の体温は三十六度台であるといふ事は、その程度が機能活動に適してゐるからである。然るに氷冷は零度であるから、氷冷を受ける局部の機能はその活動を著しく阻害され、甚だしきは失ふ事になる。それは凍結的麻痺状態になるからである。従而私の経験上、脳溢血、肺炎、窒扶斯其他高熱病の場合、その本来の病患の為ではなく氷冷の為に死を招く事実は尠からずある事である』

『次に、発熱に対し解熱剤の連続服用の恐るべき事も知らねばならない。普通解熱剤を一週間以上持続するに於て、多くは徐々としてその反動作用が表はれ始める』
(天国の福音「発熱」より)

(新田博士のコメント)

日本医術では「発熱の原因は、疾患部の凝結毒素を溶解するため、必要量の熱すなわち火素を心臓が霊界から吸収するためである」と説かれています。このように、日本医術は霊界や霊が実在するという観点から、発熱の原因を解明しています。それに対して現代医学は物質医学であり、霊界や霊の存在を認めていません。そのために現代医学で日本医術を説明することは到底不可能なことであります。

発熱に関して、現代医学では、中枢性のものと末梢性のものとがあると考えられています。中枢性の発熱は、脳の中に体温調節中枢というものがあり、熱生成と熱放散をコントロールしていますが、この部の異常によって起こるとされています。末梢性の発熱は、筋肉の運動等によって起こるとされています。

一般的にいって、熱は危険信号であると言えます。極めて重篤な病気の症状の一つであることが多いからです。高熱が出ると、それだけ体力が衰えますし、かなり熱によってエネルギーを消耗するわけです。また、高熱にともなって脳症状や後遺症があらわれることもあります。

発熱にもいろいろな型があり、三九度以上の高い熱がズッと続くのは稽留熱(持続熱)といいます。上がったり、下がったりするのは弛張熱です。弛張熱ほどには上り下りの差がはげしくはないが、一度以上の差で体温の上下が波状にくりかえされる熱を波状熱といいます。数日から週余の発熱期とそれに続く無熱期とがくりかえされるのを回帰熱といいます。また、一日に数時間の発熱があり、その後、平熱またはそれ以下に下がるのが、毎日あるいは二日ないし数日毎にくりかえされるのを間欠熱といいます。病気によってそれぞれ特徴的な熱型を示します。

ただ幼児の場合は、熱よりもぐったりしたり食欲がない時の方が心配なこともあります。熱があっても元気である場合にはそれ程心配はいらないこともあります。急性伝染病の場合には発熱は必発ですし、化膿菌の感染による敗血症、急性の腎盂炎、胆のう炎は通常高熱がでます。膿瘍でも発熱することが多く、急性白血病でも熱がでることがあります。幼児では川崎病などのように原因不明の熱性疾患もあります。また、老人の場合には肺炎になっても熱が出ないこともあり、発熱が病気のめやすとならない場合もあります。