二、一番の詐欺は売薬

                (御教え集二六号 四九頁)
 もう一つ気がつかない事に、これは今に書きますが「詐欺時代」というのです。というのは、今の世の中は殆んど詐欺ばかりなのです。そう言うとちょっと訳が分らないでしょうが、一番の詐欺は売薬です。新聞広告に盛んに出てますが、読んでみると、“治る”とは書いてありません。しかしうまく書いてます。“これはその病気に非常に適合している”とか、或いは“飲むと快くなる”とか、“治りを促進する”とか、“とに角病気が緩和される”とか、そういう事は書いてありますが、“治る”とは書いてありません。ところがそれで治るかのように思わせようとしているのです。ところが実際において治るわけがないのです。薬屋も実際において治らないという事は知っているのです。それで売薬法では、害にならなければよいという事が条件になっているのです。効くという事は、つまり薬は毒ですから、毒の分子があるほどよく効くのです。だからそれではいけないという規則になっているのです。しかし幾らかは効かなければ、みんな買わないから、ただ医者が盛る薬より毒が少ないだけです。それで、実際には治らないのに、治るかの如くに思わせて金をとるのですから、詐欺取罪です。それからもっと酷いのは、お医者が“あなたの病気は一週間で治る。まあ二週間続けたらよいでしょう”と言うのですが、これは始終お蔭話に出てますが、実際にそのとおりになった事はありません。それでお医者も確信があるわけではないので、“多分治るだろう”というわけです。しかし若しお医者が本当の事を言って“あなたのようなのは治らない。今までこういうのを経験しているが、一人も治った事はない”と言うと、メシが食えないから、これは詐欺ではないので、やむを得ない罪悪です。そういうやむを得ない罪悪というのは沢山あります。