一切の災は浄化作用なり

世の中のありと凡ゆる災は、浄化作用である事は常にいってゐるが、之に就いて現在国民全体が直面してゐる主なる悩みに就いて詳しくかいてみよう。先づ第一は病気であり、第二は食糧不足であり、第三は汚職問題であらう。その中で第一の病気に就いては、私は常に余す処なく説いてゐるから省くが、第二第三を説明してみよう。

此第二も今迄に相当かくにはかいたが、まだかき足りない点もあるので茲にかくのである。之もいつもいう通り凶作の原因が肥料によって土を汚し、地力を弱らす為であるとしてゐるが、勿論風水害並びに冷害も之に起因してゐる。風水害としては言うまでもなく、昨年の如き洪水と高潮による稲の冠水であるが、此原因は以前もかいた如く、ヤハリ浄化作用の現はれであって、つまり肥料によって土を汚し、地力が弱体となった結果、自然はそれを洗ひ清めて健康土壌にするのであって、之が神の摂理である。恰度病気の原因が薬毒であり、それが人体を弱らすから、快復させる為自然浄化作用が発生するのと同様である。

では一体右の理由は何かというと、此大地はその中心の地熱から放射されてゐる地霊即ち窒素によって、凡ゆる植物を健全に生育させるのであるから、土が清浄でなければ地力が衰弱するからである。此理によって土壌の不純物を掃滅する、それが自然浄化即ち風水害である。即ち水害の方は大地の汚れを水で洗う作用で、風害の方は空間に溜った汚濁を吹き払うのであるが、此汚濁にも二つの原因がある。

一は右の如く地霊が放射される場合、地表にある不純物が邪魔するからと、今一つは人間が発する言霊である。即ち悪口、不平不満、愚痴等々、つまり悪に属するものは霊界を汚濁させる為の浄化である。又冷害は肥毒の壁になってゐる地表が地熱を遮断するからと、害虫を死滅させる為であり、今一つは農民の愛が欠除してゐる反映でもある。即ち愛は熱であるからである。

次は今騒がれてゐる汚職問題であるが、之も勿論不正行為によって国民の血税を浪費するからで、実に怪しからん話である。それが原因となって、その人の霊が曇るから之を清浄にすべく浄化作用が発生する。つまり因果応報である。処が面白い事には、その浄化の場合は享楽に相当するだけの苦しみであり、而も利子が附くので、それだけ大きくなるので、之が神律であるから、至公至平一厘の毫差もない。此点人間の法律との異いさは天と地であるから、絶対免れ得ないのである。

従って一日も早く之に目醒めて心から悔い改め、その償いをするより方法はないのである。償いとは世の為、人の為大いに善徳を施す事であって、そうすれば浄化も軽く済み、再び立ち上る事が出来るのである。処が殆んどの人はそれに気付かず、一生懸命誤魔化そうとするのであるから、結果に於て益々罪は重なるばかりで、一生涯不遇な境遇とならざるを得ないのである。

何よりも喚び出し状が来てても、何だ彼んだと日を延ばそうとするが、之は疾(ヤマ)しい点があるのを表白してゐるやうなものである。仮令罪状を否定しても駄目であるのは知れ切ってゐる。而も斯ういう卑怯な態度は国民思想に如何に悪影響を及ぼすか判ってゐる筈で、結局罪の上塗りという事になる。いつかも言った通り、愚かなる者よ汝の名は悪人なりの言葉もよく当嵌る。

以上の如く現在社会の人間悉くといひたい程、不幸な運命に喘ぎ苦しみ、地獄社会の有様は、全く間違った想念と行為によって、人間自らが作ってゐるのであるから、その愚及ぶべからずである。処が此理を諭へる役目の宗教でさへ甚だ冷淡であるのは不可解といってよからう。以上の如く何から何まで間違った世の中であればこそ、神は私をして之を諭へ救い給うのである。