結論

私は前項迄に結核の原因を説くと共に、医学的解釈の誤謬も充分説明した積りである。之を読んだ大抵の人は納得が行ったと思ふのであるが、今一層徹底しなければならない。

以上説いた如く、医学の解釈と吾々のそれとはあまりの違ひさで、寧ろ全然反対といってもいゝ。従而その何れが真理であるかは、治病効果によって判定する以外正確なる結論は得られまい。茲でわが療法とその効果の事実のありのまゝをかいてみよう。本療法は勿論薬剤も機械器具も、唯物的方法は一切行はない、ただ人間対人間の治病法が、その原理である。生れ乍らにして人間に保有せる霊と称する眼に見えざる一種のエネルギーを応用し、発揮し、治病の効果を挙げるのである。此場合必須条件として、術者は本教信者である事然し患者即ち被術者は無信仰者でも差支えなく、大いに疑っても効果に関係はない。よく世間では信仰しなければ治らないというが、本教浄霊に於ては全然そのような事はない。其證拠には幼児が最も効果著るしいのである。信ずれば治るといふ事は、自力であり、本教浄霊は他力であるからである。

本教浄霊によれば、現在の処結核の治癒率は先づ八○％は確かであらう。実をいえば百％の治癒率は得らるるのであるが、廿％位は非治癒者が出るのはやむを得ない理由がある。その事を以下説明してみよう。

感冒から肺炎、肺結核になる順序は一通り述べたが、此説明から読者は何を発見し何を把握し得たであらうか。それはいふまでもなく現代医学の一大誤謬であって、その誤謬が生んだ医学である以上、病気を完全に治癒するのではなく、対症療法の言葉の通り、一時的苦痛緩和に過ぎないのである。処が意外にも苦痛緩和の方法が、実は病気悪化の結果となる事で、之が問題の焦点である。曩に説いた如く、苦痛緩和の方法として、溶解毒素を固結状態に還元させようとする。それには衰弱させなければならないので極力種々の衰弱法を行ふ結果、長く医療を受けたるもの程衰弱は甚だしく、薬毒も多量保有者となってゐるから、其排除に時日を要するのは当然で随而病気は軽快するが、衰弱は増し衰弱によって斃れるのである。之が二十％の理由である。

以上私は結核に就ての医学の誤謬と本教浄霊の効果に就て赤裸々に述べたが、私の説は或は法規に触れるかも知れない。法規に触れないまでも医家の一部の人達から反駁や排斥の手段を執られるかも知れない。何となれば私の説が肯定されるとしたら、医学の革命となり、全世界医学に関係ある人達の生存問題にまで及ぶといふ結果もあり得るからである。

之等を考慮する時、私としても今日まで発表を幾度躊躇逡巡したかしれない。然し乍ら真理を発見し、病なき世界たらしむる事の可能である事の確信を得た以上、黙止し能はざるに至ったのである。そうして永い人類史上にも全然見当らない、私の仕事といふものを客観する時、神は私をして人間が病苦から解放さるる時来ったことを示すと共に、それを遂行すべき大いなる力を与へ給うたのである。

又宗教を別に学問方面からみる時、斯ういふ事も言えるであらう。如何なる学説と雖も反対学説が表はれ、その優劣を競ふ事によって文化の進歩はあり得るのである。万一私の学説が非であれば必ず消滅するであらうし、医学の学説が非であれば勿論消滅するであらう。此意味に於て、既成学説の牙城以外、些かも触れないで否定してしまふ事は決して学問に忠実な態度とは言えないであらう。例えば今次の大戦中、仮に非戦論者が非国民として排斥されても、終戦の結果それ等の人こそ先見の明ある識者たる事を賞讃された生々しい事実に対し、想ひ及ぼさざるを得ないであらう。

（自観叢書一　昭和二十四年一月二十五日）