私はいつかかいたことがあった。それは日本の結核患者は、二〇年前も一五〇万人、一〇年前も一五〇万人、今日も一五〇万人という統計の報告を見る毎に、余りの出鱈目に呆れるのである。処が今回左の新聞記事の如く四〇〇万人との発表なので、約二、三倍に増えた訳だが、併し私の推定ではまだ少いようだ。少くともこの倍と見てもよかろうと思うが、何れ一層正確に分る時が来るであろうから、その時はみんな今更のように驚くであろう。然も或時期になると急速度に激増するであろう。というのは浄化が益々旺盛になると共に近来の如き新薬の続出は、その薬毒が拍車をかけるからである。
結核患者四〇〇万人 全国推定数字予想を突破
厚生省は七月末から一〇月末にかけ、全国三二二区で一万世帯五万人を選んで、大掛りな「結核実態調査」を行うが、そのテスト・ケースとしてきる五月千葉県松戸市と横浜市鶴見区の二カ所で、約四〇〇人を対象に調査した結果、いずれも一割以上が結核患者であることが判り、これから推すと従来一五〇万といわれていた全国患者推定数は、予想を遥かに突破し、少くとも八〇〇〇万国民の五分に当る四〇〇万人以上が結核に犯されているものとみられるに至った。両地区とも保健所が中心となりツベルクリン反応、レントゲン撮影などで綿密な調査を行ったもの。
(六月二四日「神静民報」掲載)
(栄光二百三十七号 昭和二十八年十二月二日)