繃帯したままがよい
岡山県M・T
それはちょうど津山市徳守神社の例祭の日、昭和二三年一〇月二三日の事です。私宅の近所に住みウドン製造所に勤めているIさん(一九歳)がいつもの元気な顔にも似ず幽霊の如く青ざめた顔でふらりと入って来たのです。 そして右手に真赤なものを巻き付けているのです。それはタオルが血まみれになっているのでした。驚いていると力の無い声で「おばさん、ウドン切断機に巻込まれ、右の人差指を半分位切り落してしまったから助けて下さい」と言うやその場に倒れ意識を失ってしまいました。
よく見れば血糊はタオルを浸しなお溢れ出ています。私は一時あまりの大怪我に茫然とし、戦慄を覚えましたが、側で見ていた妹の励ましにより、漸く吾に返り一心に光明如来様を念じつつ早速御浄霊にかかりました。妹はタオルを取り除けました。傷口が露出されると出血は正に噴水の如き物凄さで指は本人の言葉通り半分位の所からプッツリ切断され、見るも無残な重傷でした。今から考えるとよくも医療的行為の経験のない私達二人に出来得たと、思い出して身慄いを感じますが、 すらすらとやられたのは全く光明如来様の御導きと御守護によるので御座いましょう。そして傷口に御霊紙を貼り終え本人に元気を付けるべく口からも飲ませました。約一五分間位御浄霊と緊張との息づまるような沈黙の時間が流れました。Iさんは目を見開きました。ああ!意識を回復したのです。本人をはげましずーっと御浄霊を続けました。全く痛みの止ったのは一時間後でした。
何という不思議な御力でしょう。これ程の大怪我ではどんな止痛法を試みても数日間乃至数十日間の痛みは免れないでしょう。それが全治まで二度と痛みを訴える様な事はありませんでした。出血が完全に止まったのは二、三日後で御座いましたが、指が非常に浮腫んで来まして約三倍の太さにまで腫れましたが、奇蹟というか傷の日以来その重傷の指で丁度農繁期の関係もあって、ただの一日も休まずずーっと農業の手伝いを続けるので、私達は「無理してはいけない、仕事をするなどとんでもない」と再三注意するにもかかわらず本人は一向平気で仕続けるのです。御浄霊は毎日致しましたが包帯は一度も取り替えずに続けました。というのはあまりの重傷の為本人がそれを恐れたからでした。四週間程経過し愈々完全に腫れもひいたので包帯を取って見る事になりました。本人は指がどうなっているか生れも付かぬ片輪になってはいないかと戦々兢々として包帯をだんだんはがして行きました。ところがどうでしょう、指は切断以前の何等異常のない状態でちゃんとあるではありませんか。夢ではない幻覚でもない血のかよったぴんぴんよく動く指があるではありませんか。爪も節も一つも異常はないのです。ああ!此の奇蹟此の御利益、本人も私達姉妹もあまりの事に唯々言葉もなく粛然として感謝の涙を飲んだのであります。
昨年の八月R先生が私に御光をお授けになる時「明主様の此のお守の力は造り主の力ともいうべき神秘極まるお力なのです」といわれた事がまざまざと私の頭によみ返って来ました。「造り主の力、造り主の力」と何回も口ずさみながら全く造り主の力でなくてどうして半分も切断された指を元通りにする事が出来ましょう。全くだ全くだと喩え様もない幽玄神秘なる御浄霊の御力に陶酔したので御座います。
本人が申しますのに傷の指が初め何とも言えないいい気持のような熱感があったそうです。私の如きつまらぬ者に斯くの如き偉大なる妙智力をお恵み下さる明主様本当に本当に有難う御座いました。本人に替り厚く厚く御礼を申上げ御報告させて頂きました。
右の批判
この報告を読む限りの人は、到底信じられない程の、奇蹟と思ふであらうから、説明をしてみるが、これは機械に巻込まれ指半分程切断されたに違ひないが、そのまゝ繃帯したのがよかったのである。それで元通りの指となったのは全く神霊の力である事は間違ひない。
ここで知っておくべき事は、人体は肉でも骨でも、切断された場合、離さないでそのまゝにしておけば、必ず元通りになるものである。唯浄霊をすれば、頗る早く治癒するのである。処が之を知らない世人は、薬剤を用ひたり、手術などをするから治っても長引くと共に時には不具等になる事もある。
(救世六十四号 昭和二十五年五月二十七日)