一月八日（土）
“御伺ひの仕方に就て、
イ、不明の点を御伺ひする程度に致すべきでせうか。
ロ、私共の卑見を申し述べさせて頂く事は差支へないでせうか。此の場合往々失礼に亙る怖れがありますので、言葉を慎しみますと尚更気持を申し上げにくゝなりますが、此の点如何でございませうか。
“イ、突込んで質問してもいゝですよ、公開の席上差支へない程度なら。矢張り質問したら納得がゆかねばうそで、中途半端ではいけない。私は何でも徹底主義です。――ロ、意見を言っても構いませんよ。失礼といっても事柄は失礼ではない。畏れ多いと云っても疑問が解けねば何にもならない。畏れ多いから黙ってゐるといふのでは私の意志とも違って来ます。言葉も普通に話しする様に言ったらいゝのです。
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“新聞等にて拝見致しました大先生様や御軸の御写真は如何致すべきでせうか。
“信者なら切り抜いておいたらいゝでせう。大阪の方では新聞の写真を切り抜いて飾ったり、拝んだりしてるさうですがね。――
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“神様に御供へしてある物をその場から信者に御分けするのは如何でせうか。
“信者に与へることは結構です。然し御供へしたまゝではなく一応御下げしてから与へて、之は御供へしたものだと云って上げたらいゝでせう。――御供物もそう長く上げておく必要はありません。十分か十五分でもいゝし、御供へして拝んでしまったら直に下げて了ってもいゝです。仏壇に御供へする場合も同じです。
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“姓名の呼び方で、例へば私の名前の光彦(ﾃﾙﾋｺ)を「ミツヒコ」と呼ぶ人もありますが、この場合言霊から云へばどういふ風になりませうか。
“「テル」と「ミツ」では違ひます。「テル」の方が言霊の働きは強い。だから強くなりたかったら「テル」、柔しくなりたかったら「ミツ」といふ風にしたらいゝです。どっちでもいゝとか、或は両方で呼ばれた方が丁度よいといふのでしたら打棄っておいた方がいゝでせう。名前は沢山あったっていゝですよ。私も大分持ってます。昔の学者は多いですね、殊に徳川時代の学者は名前の外に号だとか字(ｱｻﾞﾅ)だとか沢山持ってゐましたね。
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“性愛と恋愛に就て、
一、性教育はもっと徹底して子女に教育すべきかと存じますが如何でせうか。
“之は教育しない方がいゝですよ。今世間の人々はいろんな事を言ってますが馬鹿げた事です。そんな必要はありません。何故って今迄性教育をしないで済んで来たのだからいらないでせう。性とは本能の働きです。犬や猫は別に性教育をしなくたってちゃんと知ってますからね。（笑声）殊に最近は産児制限なんてつまらぬ事を云ってますが、こんな事を騒いでゐる今の文化人なんて全く「憐れなる小羊」です。産児制限については今度本に書きます。
“二、性問題を扱ふ雑誌も多く、又住宅欠乏のため性問題に何かと悩んでゐる父兄も多いのですが、之は如何致すべきでせうか。
“えゝ、これはありますね、が然し、性の問題を起す様なちっぽけな家に住んでるといふのはその人が悪いんです。だからそういふ事で悩むのはいゝ浄化です。大いに苦しんだらいゝ。
“子供達がエロ雑誌など読むことは如何でせうか？
“親さへしっかりしてゐれば大丈夫です。霊線が連ってゐるのですから。私の所の子供も勝手に読んでゐますよ。又エロ雑誌だからって全部悪いのではなく役に立つのもあります。私も若い時は随分そんなのも読みましたよ。（笑声）
“三、性慾は神聖視すべきでせうか、又は獣的なものとして卑しむべきでせうか。
“之は両方です。夫婦は神聖ですが、道に外れゝば獣で暴行なんか本当の獣です。それはどこが違ふかと云ふと罪を作る所が違ふのです。――私も中年頃まではそういふ機会がありました。私が花柳界を泳いでゐる頃、或役者の細君と交際してましたが、二人の間が変だといふ噂を聞いたので、私は、その役者がこの噂を聞いたらどんなに苦しむかを考へ、之は大変な罪になると思ったので、それからは交際しなかった事がありました。又、一時は若い娘を使ってゐたので交際の機会も多かったのですが、若い娘を一時的の享楽の対象にすればその人の一生を不幸にする、之は忍び難い事だ――と思ってゐたので別に間違ひはなかったのですが、之は今でも有難い事だったと思ってます。人を不幸にする所に罪が発生するんです。
“相手が未亡人等の場合は如何でせうか？
“未亡人でも男に妻があればその妻は悲嘆にくれるでせう。――罪を作るとね、その罪の償ひのための苦しみが一時的の楽しみの何倍にもなるのです。だからそろばんづくでも合はない話です。
“四、性の問題を卑しみ、充分な性的技巧を伴はぬため真の夫婦生活の喜びを味へずに終る人もある様に存じますが此の点如何でせうか。
“之は矢張りその人によりありますよ。然し、公開の席上では一寸具合が悪いですね。――之の一番の原因は腎臓です。不感症なんかもそうです。だから腎臓の周りの毒を除くと、眠ってゐた者が眼が覚めた様になります。
“そういふ点性教育は如何でせうか？
“それは関係ありません。それから又、子宮の周りの毒素によることもありますが、之も結局は腎臓ですから。――子供の出来る事は余り性慾には関係ありません。だから性慾はあっても子供のない人もあるのです。
“五、再三、流産したり、乳幼児を死亡させたりする人がある半面、子供がほしくても授からぬ人がありますのは神さまのどんな御含みでせうか。
“之は神様が子供を育てるんですからね。神様の方では授ける子供をちゃんと決めてある。が、人間の肉体が間違ったことをしてゐるために完全にゆかないのです。――流産といっても梅毒による流産は滅多になくて、大体おなかの固い事と薬のためです。
“六、不具の女を知らずに妻に娶った場合、離婚は差支へないでせうか。
“まあ話合ひで納得の上離婚する事ですね。自分は不具といふことを知らなかったのでせう？
“いゝえ、之は再婚ですが――
“では知ってゐたんですね。それは図々しいや。（笑声）まあ話合って別れることですね。
“七、古今東西、場所又は時代により幾人もの妻妾又は夫を持つ事が普通だった事もありますが、之は善悪如何に見るべきでせうか。
“之は悪いですね。神様の方は一夫一婦が本当です。支那なんかでは妻妾が多い方がいゝなどと云ひましたが、だから支那は栄えないのです。然し近頃は支那も一夫一婦になって来てますね。クリスチャンが相当ゐるからでせう。
“社会的に偉いと言はれる人でも妾をもつ人がありますが？
“矢張り地獄へ行きますよ、偉いとか何とかは関係ない。むしろ偉い人の方が罪が深いものです。――社会的に有名でも罪の深い人がありますよ。中でも、間違った教育をしたり、間違った思想を広める事は罪が重い。文学者なんかでも間違った思想を広めるのは人間を一人二人殺すのよりももっと罪が重いのです。
“八、結婚して幾年も子供がなく、肉体的にも別に支障のない場合、何才位までは子供を授かる可能性がありませうか。
“四十才位まではいゝでせうね。年をとると共に体が硬化するからうまくゆかない。
“九、夫婦共に健康の場合、何才位まで子供を授かるものでせうか。
“女の人は六十才位までは妊娠しますね。男は七十才でも立派に出来ます。月経がなくなっても子供の出来る人が時にはありますよ。
“一○、将来百才位まで長命になるものと致しますれば、男女の結婚年令は余程違ってくるかと存じますが此点如何でせうか。
“無論そうです。百才位で結婚してもいゝでせうね。（笑声）夫婦の年令の差も幾らでもいゝでせう。百才で三十才の女の人と結婚しても。（爆笑）去年ブルガリヤで百五十六才の人が十一人目の妻と結婚しようとしたが死んでしまった。所が百二十才になる一人の婆さんが泣いてその人の死を悲しんだのでよく調べた所、百五十六で死んだ人はその婆さんの昔の恋人で親の反対か何かで結婚出来なかったのださうです。百二十才になってもまだ未練があったのですね。（笑声）ブルガリヤ人は世界一の長生きで百才以上の人が三千人もゐるさうです。
“一一、性的問題に就ての御伺ひは、もっと突込んだ事も御指示を仰ぎたいと存じますが宜しうございませうか。
“えゝいゝですよ、いゝですけど公開の席上では具合が悪いから秘密室で教へてあげませう。こういふ問題についても私は徹底して判ってますからどんな難問でもいゝですよ。
“一二、性的不満、欠陥にもとづくヒステリーの御浄霊は如何致すべきでせうか。
“さあ、これだけでは一寸判りませんね。いろいろな原因がありますから。――こういふ性の問題について聞きたい人は沢山あるんですよ。殊に女の人がそうで、恥しがって言はないでゐて独りで苦しんでゐるのです。何か聞きたい事があったらそれを書いて封筒に入れて出しなさい。私が返事を書いて封筒に入れて返してあげます。他の人にはわからない様に。まあ、ヤミ取引ですね。（笑声）
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“昼の世界になれば苦しみがなくなると致しますと、悪因悪果もなくなり、又悪を想ひ悪を行ふ様な無智な人は生存を許されなくなるのでせうか。又、昼の世界に於ける時所位は何によって決るのでせうか。
“之はね、違ふんですよ、悪の知れ方が早くなるのです。今迄は悪の知れ方に時間を要したのです。悪い事をしても二十年、三十年は暴露しなかったので偉くなるには悪い事もしなければ駄目だと云ふ事になったのです。所が今に昼になると悪い事をしても直ぐに知れる様になるのです。人間はやはりそろばんずくですからね、人に知れないとなると一寸悪い事もするんです。が、それが出来なくなる。即障即罰といって悪い事をするとすぐに罰せられる様になるのです。今度の大臣が収賄で挙げられたのも浄化が早くなって来たんですね。以前は大臣位で喰ひとめられたのが今は何処までも徹底してますからね。――時所位といふのは自然にきまるのです。信仰でもそうで、人為的に考へてやるのはいけない。結局は人為と自然と半々です。「人事を尽して天命を待つ」といふのがいゝのです。人間考へを貫くのはいけないのです。例へば「精神一到何事か成らざらん」と云ひますが、之はとんでもない間違ひです。「俺は死ぬもんか、精神力で生きるんだ」などと云ふのは大体死んでしまうもんです。（笑声）反対に生への執着をなくして神仏にすべて御任せするといふ気持になれば却って助かるのです。私も病気で危かった時もそうでした。生に執着する病人はどうもいけないですね。
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“今迄の夜の時代のいろいろな人生の苦しみは、たゞ夜の世界だから苦しみがあったといふ許りではなく、やはり神様の人間に対する試練としての苦しみもあったと考へて宜しいでせうか。更に昼の世界に於ても人間を向上せしめ、深み、うるほいをつけるため神の試練としての苦悩、悲哀、――例へば恋愛に於ける失恋の苦しみの様に――も何らかの形で存在するのでせうか。
“神の試練といふことは本当はないのです。人間の方でそういふ理窟をつけたんです。神様が人間にいゝものを授けようとする時、容物(ｲﾚﾓﾉ)が汚れてゐるので先づその容物を掃除して下さる、その時が苦しみなのです、だからそれが浄化なのです。そしてそれがすんで綺れいになればいゝものを神様が与へて下さるのです。だからそこで人間は、「あゝあの苦しみは神の試練だったのだ」といふ風に考へるのです。――又、失恋の苦悩といっても、恋愛といふのが一つの執着なんだから、結局、自分で勝手に執着して苦しんでゐるのです。（笑声）だから問題ないですね。
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“人が死亡した時、北枕にし且つ枕元に刃物などをおくのは何故でせうか。
“之は魔除けで、悪霊が刃物を嫌って近寄らない様におくのです。然し大したことはないからおいてもおかなくてもどっちでもいゝです。唯、刃物によっては――例へば名人の作った刀などは霊が強くついてゐて力があるから、おくのはいゝですね。北枕にするのは、北といふのは霊気が強いのです。磁石が北を向くのもそのためです。そして北は霊で南は体だから、死んだ人の霊は北へ行くべきです。従って霊が頭から抜けて北へ行く様にといふ意味で北枕にするのです。私は北枕が好きでよくします、が、死んだ時するのだからよしなさい、と云はれますが、そんならもう死なゝいから大丈夫だ、と云って笑ふんですよ。（笑声）
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“或会員、未だよく御道が判らず、不動様の先達の言葉を信じて不動の御軸を床の間の光明如来の御軸と並べて御祀りして居りますが如何致すべきでせうか。
“之はいけません。光明如来様はかけない方がいゝです。勿体ないから判って来るまで祀らせない方がいゝです。決して外のと一緒にしてはいけません。――それから一家の人が皆揃って光明如来様に御縋りする気持ちならいゝが、反対が一人、二人でもある場合は祀ってはいけません、光明如来様が汚れますから。
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一月十八日（火）
“神様に御願事をする場合、心に念(ｵﾓ)へば口に出さなくても同じと考へさせて頂いて宜しいでせうか。
“之は違ひますよ。例へば私があんたに御馳走しようと想ったって、あんたはうまくも何ともないでせう。（笑声）やはり形に表すことが大切です。だから言葉にも表すべきです。まあ、念ふだけでも念はぬよりはいゝでせうがね。――
“教導所に来て御詣りする場合、周りに人が大勢居たりしますと、声を出さぬ事が多いのでございますが――
“それは状況によって適当にすればいゝ。よく、クシャクシャ小声で言ってゐる人があるでせう。あれでいゝのですよ。又、御浄霊する時は念じない方がいゝ。それから危急の時は口に出して念じた方が宜しい。が、絶体絶命の時は私に頼みなさい。そういふ場合は字や絵よりも生きてゐる私の方が力がある。つまり、私はその仕事の実行者だから。
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“立春の意義について御伺ひ申し上げます。
“節分は大体二月四日ですがね、その日で冬が終り、二月五日から春になるので立春といふのです。それから、昔、国常立尊といふ神様が輿論によって押し込められたのが節分の夜で、今度世に現れるのは立春の日だと云はれてます。之は大本教の方の説ですがこれは本当です。観音様の裏は国常立尊ですから。――といふのは、国常立尊は霊界で閻魔になったが、厳格一方の神様で善悪をきびしく分けられた。之では可哀想だといふ訳で仏に化けられたのが観音様なのです。だから観音様の御働きは大慈大悲で善悪を裁かず無差別に救はれるのです。御讃歌に「いかならん罪も赦(ﾕﾙ)させいかならん罪も尤(ﾄｶﾞ)むる天地の神」といふのはそれです。神様には半面がある。実篤の言葉に「神の如く強く、神の如く弱し」とありますがその通りで、神様には非常に強い面と、非常に弱い面とがあるのです。
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“正月二日の夢を初夢といふのは何故でせうか。
“そうですよ、私も変だと思ってゐるんです。元旦の夢の方が本当ですがね。まあ、私が拵へた訳ではありませんから。――（笑声）
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“一、春先には病気が多いと云はれますが何故でせうか。
“えゝ、木の芽時は起り易いですね。それは春は何でも上昇する時だからです。本に書いた様に地球は呼吸してますが、春はその息を吐く時になるので、体の中のものも出てくるのです。然し病気といってもおできの様なのが多いです、おできなんて体の苔みたいなものですからね。
“二、病人を初めて診た場合、その人を元気づけるため実際より軽く話すことは如何でせう。
“無論ですよ、「あんたはとても駄目ですよ、そんなに痩せて青い顔をしてゝ、それでも助かると思ってるんですか」なんて云ったんでは駄目です。（爆笑）そんな場合嘘もいゝんです。嘘を話した結果がよければいゝのですよ。
“三、舌苔は何故出来るのでせうか。
“之は皮膚に垢がたまる様なものですね。医者は胃が悪いと舌苔が出るといふが、そんな事はないでせう。だから私は病人の舌なんか見やしませんよ。（笑声）
“四、魚類等を喰べて自家中毒を起し、蕁麻疹的症状になる人がありますが何故でせうか。
“之はね、自家中毒といふのが変なので、若しそんなのがあるのなら、他人からの中毒といふのもあっていゝ筈です。之は食物中毒の事ですね。多くの場合、赤い肉の魚で蕁麻疹になりますが、之に罹ると赤い「ブツ」が出来、かゆくて熱も出ます。御浄霊をすれば一昼夜で治ります。本当の蕁麻疹は之とは一寸違ふんですが、医者はこの二つをごっちゃにしてしまうのです。本当のはカルシューム注射の為ですが、医者は之が判らないので又カルシューム注射をするのです。
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“会員中には脱会の際、御守りを返上する方がありますが、かゝる返上された御守りは如何致したら宜しいでせうか。
“一番いゝのは焼く事ですね、――御軸の場合はしまっておいて他の人に上げたらいゝです。
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“御位牌には戒名と俗名とどちらが宜しいでせうか。
“むろん之は戒名です。俗名では絶対いけない、戒名は霊界の名前ですから。
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“六畳が二間続くのはいけないと申しますが何故でせうか。
“六は水の働きだから六畳は水の間になり、之が二間では水と水が重なるから余りよくないのです、水許りでは火の働きがないから。だから一畳板の間にしたらいゝのです。或は二間続けて十二畳にしてもいゝですね。
“敷居、襖等がありましては如何でせうか？
“襖は取り除いておけばいゝし、敷居はあっても差支へありません。殊に両方の部屋へまたがって絨緞でも敷けば尚いゝでせう。
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“神社の前や、墓の後の家は悪いと申しますが如何でせうか。
“墓には死霊がゐるから墓地の近くだとそれがやって来る事はあります。餓鬼道に堕ちてる霊が飯を貰ひに来たりする。然し光明如来様を祀ればいゝですよ。光を浴びて霊たちが向上するから却って喜ぶし、功徳にもなります。神社の宮の前は汚いものを扱ふ商売はいけません。例へば魚屋の様に魚のはらわたがあるのはいけない。神様が出入りする所だから綺麗にせねば――
“宮の真前の家の者で精神病になったのがございますが――
“真前ですか？ それはいけない。そういふ精神病は治りにくいですよ。何故かといふと、宮の真前に家があっては神様の通る道を遮る事になるからです。だからそんな場合は家を半分に割って神様の御通りになれる様に道を開いた方がよい。人間は曲っても出入りするが神様はそうはゆかないのです。
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“御屏風の千手観音様の御冠に阿弥陀様が居られますのは何故でございませうか。
“阿弥陀様は観音様の母親になるのです。――観音様は日の弥勒、阿弥陀様は月の弥勒と云ひますが、之は月が日を生むといふ意味です。どんな男でも女から生れるのと同様です。だからこの点から云へば阿弥陀が上ですが、そうだと決めてしまう訳にもゆきません。親だから何時迄も上だとは云へない。例へば皇太子の時は天皇、皇后より下だが、一度皇位に登れば親である天皇、皇后よりも上の位になるのですから。
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“三尊の弥陀、及び法身、報身、応身の意義に就て御伺ひ致します。
“三尊の弥陀とは三つの弥勒の意味です。法身とは阿弥陀で阿弥陀様の御働きは法を説いて明らかにするのです。報身は釈迦であり位を下にして一切衆生をお救ひになるのです。で「地の弥勒」と言はれるのです。応身は観音様で、すべてに応じて御働きになる。だから観音様は千変万化するのです。御釈迦様や阿弥陀様には一定の性格があって変らない。然し、本当に助けるには矢張りすべてに応じなければ駄目ですね。
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“大雪の年、稲妻の多い年は豊年と申しますが何故でせうか。
“普通大雪だと虫が死ぬと云はれてゐるがそれもあるでせう。けれど、本当は窒素が多く土に浸み込むのですよ。窒素は地霊の事ですが之は絶えず発散してゐて、上昇すると空気のある範囲まで上り、今度は雨になって降って来るのです。それが雪ですとね、その窒素が余計土に入り暫く閉されるので上昇しにくいのです。――窒素は地軸の火の霊気です。だから雪は下から解けるのですし、又雪が降ると暖かいのです。――窒素肥料をやると窒素が多すぎるのです。だからサツマイモなんかは却って出来ないのです。専門家は窒素が多すぎると石灰、硝石なぞを使ふが無駄な事で、最初から使はねばいゝのですよ。――稲妻は矢張り虫が死ぬと云ひますね。然しそれはどんなものですかね。夏の終りには霊界に曇りが多くなる、そこでそれを稲妻でもって浄めるのです。稲妻は火素の体で、即ち火の霊の体です。霊界の曇り――毒素はあっちこっちに塊りをなしてゐるのです。まあ、ゴミ箱の様なものです。それを浄める訳ですね。
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“茶、煙草等を非常に好む人がありますが、之は丁度酒飲みに天狗、龍神等がゐる様に何か憑依霊のためでせうか。
“之はそうでもないんですね。茶はその人の体が必要とするんで好むのです。だから大いに飲んだらいゝですよ。煙草なんかは癖ですね、一つの。然し、之は必要ですよ、喫むと頭がよくなります。だから私は頭の悪い人には煙草を喫めと云ってすゝめるんですよ。何故かといふと鼻を刺戟するので鼻がよく通るんです。鼻と頭とは非常に関係してますからね。子供の鼻なんかも悪いと高くもならず、型も悪い。そういふのは又頭も悪いですね。これは御浄霊すればよくなり、高くなります。
“煙草は胸に入れるよりふかす方が宜しいのでせうか？
“えゝ、ふかして鼻から出すのがいゝです。
“大先生様がそう仰言れば専売局は喜ぶことでせう。
“えゝ、今に私の銅像を作ってくれるでせう。（爆笑）
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“「義経には鞍馬山の天狗が憑いてゐた」と御著書に拝見致しますが、スポーツ、武術等にて超人的妙技をするのも何か憑依霊のためでせうか。
“えゝ、そうですね。水泳なんか龍神や時には鯉の霊がついてる事もあります。大体動物霊です。古橋なんか龍神でせうね。
“よく世間では泳ぐ人の事を河童と申しますが？
“えゝ、然し河童は泳ぐより寧ろ水遊びを好むんですね。
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“無肥料栽培に於きまして平野の中の田畑では草木の葉が手に入り難いですが如何致すべきでせうか。又不要になる人糞はどう処理すべきでせうか。
“一寸遠くても山へでも行って草をとってくるんですね。人糞は田舎では大きな穴を掘って埋めてますね。海辺なら沖へ持って行って捨てたらいゝでせう。堆肥を床(ﾄｺ)にするのなら木の葉がよく、土に混ぜるのなら草の葉がいゝですね、草の葉の方が柔いから。
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“変性男子、変性女子に就て御伺ひ申し上げます。
“男が女に生れると変性男子で、女が男になるのが変性女子です。幾度も女に生れてゐた人が、急に男に生れると女らしい男になるのでよく判ります。然し変性する事はいゝ事です。男の強い性格と女の柔しい性格が混り合ふので性格が片寄らなくなるのです。よく鬼将軍なんていふのがゐますがそういふ人は女性らしい、柔しい所がないからよくないですね。私も変性女子です。第一体に毛がない、女みたいな所がある、まあ女々しいんですね。釈迦も変性女子で女が勝ってます、だから独身で通したんです。
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“副守護霊について、
イ、霊界に行った場合どうなりませうか。
ロ、再生する場合、前の副霊との関係は如何でせうか。
“死んで霊界に行けば副霊は離れます。直ぐ離れるのと暫らく経ってから離れるのといろいろあります。副霊は現界にゐる間、肉体を守るために憑くんですから、体慾を起させるためには必要なんです。然し副霊が力を出しすぎては悪くなりますから本霊が之を抑へるのです。再生した場合前のが憑く場合と、前のと同じ種類のがつく場合や 全然別なのがつく場合等いろいろです。
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“一会員、子供が男四人、女一人ありますが、その子らは怪我をする度に眉間に傷を作り、現在も長男、三男、四男に傷があります。その子らの亡父も眉間に傷があったさうですが、何か霊的に意味のあることでせうか。
“之は意味がありますね。祖先の誰かゞ他人の眉間を傷つけたその怨みが残ってゐるためか、さもなくば祖先の中の誰かゞ神様に御無礼を働いたその罪が残ってゐるのでせう。この場合なら祖先も御詫びしてるから軽くなってる筈ですがね――一人相の方でも云ひますが、眉間は天帝、目の上が目上、下が目下で、目上の少し上が祖先を表すのです。だから目上の人と何か関係がある時は目の上に何かの変化が起るのです。
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一月二十八日（金）
“結婚の相性で四目十目(ﾖﾒﾄｳﾒ)はいけないと申しますが、如何でございませうか。
“之は迷信でせうね。まあ強ひて理窟をつければ四目の四は「シ」で忌むし、十目の十は「行きどまり」といふ意味で嫌ふ人がよくありますよ。つまり十とは最後の数ですから。外は意味はありませんね。
“神前結婚の方法に就て御伺ひ申し上げます。
“私もよく知らないんですがね、まあ臨機応変にやったらいゝでせう。その祝詞は善言讃詞がいゝですね。
“拍手を打ったり神の御名を御称へする事は如何でせうか？
“拍手はしてもいゝですよ、此の場合は。神の御名も称へて結構です。結婚式の祝詞があるからそれを上げたらいゝですね。
“その場合の神様の御名は何を御称へすべきでせうか？
“御神名は伊都能売大神でいゝですね。伊都能売とは男と女といふ意味ですから。
“結婚の場合、よく年廻りといふ事を問題に致しますが如何でせうか。
“大した意味はありませんね、多分に迷信があります。年令や日柄などから相性をみて、これなら申し分ないしいふ訳で結婚しても夫婦喧嘩したり、死に別れや、生き別れする人が沢山ありますからね。そうしてみれば何が何だか判りはしないですよ。
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“五六七教会は日本観音教団の中に含まるべきものでございませうか。
“どっちとも云へないですね。時と場合によって中に含まれると云ってもいゝし、別だといってもいゝんです。今の所どっちとも定められないのです。縦と横の関係ですから。更にもう一つ教団が出来るかも知れません。これが夫々別の働きをして将来は一つになるんです。
“信者から同じものかと訊ねられた時困るのでございますが？
“「同じものか」と、きかれたら「同じだ」と答へたらいゝし、「別なのですね」と云はれたら「えゝ、別です」と、いったらいゝですよ。（爆笑）――人間はよく物事をどっちかに決めたがるものですが、中にはどっちともきめられない事もあるんですよ。
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“神様への御願事は口に出す様にとの御教へにつき重ねて御伺ひ申し上げます。
“祈念するのは言葉に出した方がいゝが、周りに人がゐたら出さず、居なかったら出したらいゝでせう。唯、想ふだけでは効果が少いのです。場合によって臨機応変にやったら宜しいのです。唇を一寸動かす様にしてもいゝ。
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“御仏壇には何と申し上げたら宜しうございませうか？
“幽世大神と称へたらいゝですよ。拍手は要りません。
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“大先生様の御写真はどこに祀らせて頂けば宜しいでせうか。
“床の間の横に祀った方がいゝですね。床の間はその中心に祀ってある神様に向って拝むんですから、御写真がその上にあっては障りになります。だから床の間の横の違い棚の上がいゝですね。
“御挨拶の時先に御写真を拝ませて頂いて居りますが？
“本当はそれが正しいんですが、誤解をうけるといけないから観音様に祝詞を奏上してからがよいでせう。
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“湿性腹膜炎の患者（教修生）、今まで月一回一升位の水を取って居りましたが、御浄霊をさせて頂く様になりましてから（約五カ月）水を取りませんが、腹が肥大して来ました。如何でせうか。
“水をとるのは一番いけない。水をとると段々溜る様になるんです。一回か二回位水をとったのならいゝが、始終とってゐたのは駄目ですね。生命の方はうけ合はない事ですね。まあ苦痛をなくすためにこれからも取ったらいゝですが、然しもう駄目です。
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“頬癌を患ってゐる女（五十六才）、頬と口中に孔が開き膿が出て居り食物も余りとれません。如何でせうか。
“之は癌ぢゃないな。頬癌も治りますが、頬癌なら孔があく事はないんです。成る可く流動食をとってゐたらいゝでせう。治りますよ。
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“七年前、男子（十六才）暗夜自転車もろとも断崖より転落、水死致しましたが、三年前よりその母、胃が重苦しく飲食物が通らず、毎夜十二時頃眼をさまし水死せる子供の亡霊に悩まされます。（母は十二月教修を頂きました）右は子供と霊的に関係ありませうか。又亡霊は如何致すべきでせうか。
“光明如来様を御祀りしてその部屋に寝たらいゝです。そうしたら亡霊に悩まされることは自然に治りますよ。――普通は胃と亡霊とは関係ないんですがね。何か胃の薬を飲んだ事があるでせう？
“以前「ゲンノショウコ」を飲みました。
“それですよ、それが原因だ。だから背中をよくやって上げればいゝ。
………………………………………………………………
“禿について、
１、禿は遺伝でせうか。
２、毛細胞の活動が鈍ると禿になると申しますが如何でせうか。
３、先天的な禿ではなく、高熱のための禿は治りませうか。
４、禿の者が「カツラ」を被るのは宜しいでせうか。
５、女子は男子より禿が少いのは何故でせうか。
“之が滑稽なんですよ。毛細胞の活動が鈍れば禿になるのは判ってゐるがどうしてその活動が鈍るのかゞ問題です。禿はね多く遺伝するが絶対に遺伝するのでもないです。私の親爺は禿げてましたが私は禿げません。禿げるのは頭に毒があるからで、この毒を除けば毛はふえますよ。――高熱等の禿は治りますよ。――「かつら」をかぶるのはいゝでせう。
“「かつら」をかぶるとむれて了って折角生えて来た毛が又なくなってしまふ様ですが？
“そんな事はない、むれて禿になるんだったら役者は皆禿になる筈です。その人は毛生薬を使ったのでせう。
“十四才から禿げ出して以来相当毛生薬を使ひました。
“その毛生薬がいけないんですよ。まあ、禿の学校ぢゃないからこの位で（爆笑）――男に禿が多いのは禿も一つの威厳を表すもので、まあ神様がそうしたんでせう、気を利かせて。（笑声）
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“眠ってゐる時歯ぎしりするのは何故でせうか。
“之は副霊の働きです、動物によっては口を固く結んでゐるのがあります。猫、馬、牛などは口を開きませんが、そういふ動物が憑いてゐる人が眠ると放心して了って副霊の癖が出て来て口を固く結ぶんです。こういふ人は信仰に入り段々副霊の力が弱るにつれて治りますよ。
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“嬰児の尻の青いのは何の為でせうか。
“尻の青いのはいろいろな説があり、一寸公開の席では言へない説もありますが、之はね薬毒が皮膚へ出て来るのです。薬毒といっても毒血が下へ下って来るんです。まあ内出血と同じ様なものです。
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“仏教信者が自分の代から他の宗教に代るのは如何でせうか。
“一概には云へませんが、例へば長い間真言宗だった人が他の宗派に代ることは、祖先は気に入らぬでせう。然し同じ仏教の間なら大した違ひはありませんがね。仏教信者が観音教団に入る事は構ひませんよ、先祖が救はれるから、非常に顕著に救はれるから。然し、この道は今迄の宗教を信じ乍らでいゝのです。一向差支へありません。――日蓮宗は一代法華といって一代限りです。之は法華経といふのは仏教の花ですから長くない。一代だけは花やかにゆくんですが、散るとあとが悪くなるんです。
“日蓮宗はいけないのでせうか？
“いゝえ、そんな事はないのです、普通の信者の程度ならいゝんですよ。――クリスチャンの所へ婿にゆくのは考へものです。クリスチャンはいゝんですが、先祖を祀らない。之がいけないので、山室軍平なんかは実に立派な人で救世軍のために大いに尽した人ですが、家庭的には不幸だったのはこのためです。
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“家により男子のみ死ぬ場合と、反対に女子のみ死ぬ場合がございますが霊的に如何なる訳があるのでせうか。
“之は男の霊統と女の霊統とがあるから、代々養子をとるのはそれです。之は先祖の関係で、龍宮系はどうしても女です。之は三女神といって三人の女神の霊統です。然し之はその家だけの事で他の家へ嫁や婿にゆけばなくなります。之はそう沢山はない。
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“正当防衛は罪になりませうか。
“実際の正当防衛なら罪になりません。が、正当防衛を越えると罪になります。例へば危害がもう加へられないのに更にやる事は罪ですね。
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“法隆寺金堂の焼失はどんな意味のある事でせうか。
“そうなんですよ、この質問が出なければならないと思ってゐたんです。千数百年も続いて来たすばらしい建造物が焼けるには何か訳がある筈ですから――之は焼けるのが本当です。止むを得ないのです。つまり之は仏滅の時期に入って来たからです。法隆寺といふのは昔聖徳太子が仏法興隆のために建てられたもので仏教の本になるのです。だから仏滅になればあすこがなくなるのは当然です。十年程前千葉県の日本寺が焼けたのもそうで、あれは日本の仏界の型になるのです。あの寺のつき当りには橄欖樹がある。之は菩提樹といって釈迦がその木の下で悟りを開いたのです。又日本寺の上にはあらゆる仏像があります。釈迦、阿弥陀、観音、勢至、普賢、文珠等……。で、昭和六年六月十五日に私はそこへ行ったが、あゝ之は仏界の型だなと思ったのです。あすこから黎明になったので、その時もいろいろな神秘があったが今は未だ言へない。日本寺はそれから十年位経って焼けたんですが、その時はこうこなくてはならない――と思ったのです。
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“仏教芸術の価値に就て御伺ひ申し上げます。
“日本の芸術は仏教が殆どその本です。音曲でも長唄は謡曲から出て居り、謡曲は御経から出て居り、又浪花節は説教節から出て、説教節は初めは坊さんが説教に使ったのです。彫刻だって仏教が本です。だから仏教の一番の功績は芸術の面にあると思ってます。仏教が日本芸術を生んだと言ってもいゝですね。
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人に同情するといふ事は難しいと存じますが実際に同情の気持をどの程度に行為に表す可きでせうか。
“そう難しくもないですね。同情するったって自分の常識の程度で同情の心を具体的にすればいゝんだが。たゞその場合判断が必要です。同情はしてもそれを行為に表してはいけない場合がある。苦しんでゐる人も何かその人に苦しむ必要があって苦しむ事があります、こんなのは却って助けてはいけないのです。程度を超えて慈悲をする事も反対に懶け者を作る様になる事もある。例へば乞食に金を恵むのはいゝ事の様だがそうとも限らない。道端で小さな赤ン坊を抱いてる乞食でも中には日当幾らでその赤ン坊を借りて来るのもあるんです。（笑声）だからそういふ事も知らなくてはいけない。唯、片輪とか廃兵は無条件で助けてやる可きです。殊に軍国主義のため強制されて不具になった人なんかは、之は実際可哀想です。そういふ意味で助けたらいゝのです。――又もう一つは病人で苦しんでゐる人は何が何でも助けてやるべきです。私も家の者が苦しいと云へば寝てからでも又起きてやってやります。
“御礼金が出せない様な場合は如何でせうか？
“本当に出せないのなら仕方がないが、出せるくせにケチで出さない人もある。之は勿論いけない。
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“新約聖書の中の左の句、『……大祭司いふ「汝はキリスト、神の子なるか」イエス答へていふ「汝の言へる如し、かつ我汝等に告ぐ、今より後なんぢら人の子の全能者の右に坐し、天の雲に乗りて来るを見ん」』に於て、イエスの言った言葉の一句々々には重要な意味があることゝ存じますが、右に就て御教示下さい。
“之はつまり大祭司がお前は神の子かときいた。そこでイエスはお前の云ふ通りだ、今から後お前たちは――聖書といふのは文章がはっきりしない、どっちにもとれる事があります。聖書はイエスの弟子が書いたものであり又ヘブライ語から英語、それから日本語に訳したんだから訳が完全でない所もあるのでせう。――お前たちの支配者の者、之は右に坐するのだから左の次、従って全能者の次の次の意味で月、女の働きです。全能者といふのはエホバで右に立つのはイエスでそれが雲に乗って降るのだからメシヤの降臨ですね。
“実はキリスト教信者にこの御仕事の御話を致しますと例へ信者でなくとも一度でも聖書をよく読んだ人ですと聖書の中にその……
“偽キリストだっていふんでしょう？
“はあ、それでそれが非常な差障りになる事が多いのですが、この点この疑を解いて頂ける様な御言葉を頂けたらと思ひまして御伺ひ致した次第でございますが――
“駄目です、疑ひを解かうとしたって駄目ですよ。いくらあんたがね、一生懸命に言ったってね、分りませんよ。言へば言ふ程益々偽キリスト、巧妙極まる偽だと思ふだけですね、えゝ。まあ時機が来なければ駄目ですね。――それにね、若しあの時代に救世主が現れたとしても、あの頃は交通が不便だったし、人もまばらであったし、世を救はうとしても到底全世界を救ふなどといふ事は出来なかったでせう。然し今は交通が極度に発達して国と国との連絡も直ぐつく様になり全世界は一つになりつゝあり、世界連邦といふ案さへ出てゐる。まあこんな事から考へれば大体分るでせう。
（光話三号 昭和二十四年四月九日）