「今朝、美術館の上棟式が御座いまして――」
何う言う事をするんですか。
「簡単な事で御座いまして、天津祝詞をお奏げ致しまして――」
ああ、そうですか。之で、あんまり箱根の美術館を見た人はないでしようね。
「最近はあまり――」
そうでしようね。あんまり早く見ない方が良い。出来てから見た方が、却つて喫驚りして、良い位なものです。
「瓦が乗りますと――」
ずつと違います。あの瓦は、良い色ですね。
「やはり、御予定の期間には出来上りますので御座いましようか」
充分ですよ。ああ言う建築と言うのは、割合簡単ですよ。ですから、熱海の会館も、今年の半(ナカバ)頃から掛ろうと思つているがね。今年の五月あたりから掛ろうと思つている。簡単ですからね。唯、伽藍堂の物を拵える丈ですからね。美術館より、もつと簡単です。セメントの箱を作る様なものですからね。
「御設計は――」
設計は私の頭の中に出来ている。セメントの箱を拵えるので――唯、大きさが大きい丈でね。
「六百坪位で御座いましようか」
六百三十坪です。それから附属や何かで、かれこれ七百坪になるでしようね。神床ですね――それを出つ張らせて、入口の横手の方に、応接間とか事務室――そう言うものを作る。良い具合になりますよ。それは、実にね。神様が準備するのは驚きますよ。会館と展望台――あそこの処を繋げるんですからね。展望台の裏手に、色んな部屋を作る。みんな仕度をしたり、私が休んだりする。出来たら喫驚りします。そうして、展望台から会館迄、雨に濡れないで行けるんですからね――トンネルを作つてね――懐手してね。さもなければ、あんな処で雨でも降つたら大変ですよ。そうして、トンネルの入口も出口も見えないんですからね。何時の間にか向うに行つて了つたと言う、そう言う旨い地形になつているんですよ。あれは、一寸難問題と思つたら、なに旨く出来ているんでね。
「展望台迄は、お車が入りますので――」
行くんです。だから、車を下りたら、展望台の後に、相当の広いものが出来ますから、其処に入るんです。それで、色んな――役員とか芸能人とかの部屋が出来ますからね。展望台の二階に小さな展望台を作つて、其処を私の居間にしようと思つている。ですから、割合に金はかからないんですがね。見た処程はね。会館と展望台は、大体一緒に造ろうと思つてます。それから、下の美術館の方は、ゆつくりします。会館の廻りに、低い崖が今出来てますが、丁度六尺――廻廊みたいなものですね。砂利を敷いて、其処にガラスの屋根をずつとやろうと思つている。そうすると、外から雨が降つても、中を見られる様にね。
「コルベージユエ式を完備したもので――」
コルベージユエ式です。それを、もつと荘厳にしてね。未だ、世界でそう言うのをやつた事がないですね。私の処に、国際建築と言う雑誌が来てますが、それに新しい建築が出てますが、そう言うのは無いですよ。今度ローマに出来るステージは大したものです。コルベージユエ式を充分採入れてます。大胆な設計ですよ。今、世界的の評判になつてますがね。舞台を、劇場ではなし、そうかと言つて、余興もやるし、神様の御祭もするし、その調和が中々難かしいんですがね。芝居染みちやいけないし、そうかと言つて、あんまりキリストの教会堂みたいな、あれでもいけないし――、
「映画の設備もなされますので――」
映画の設備もします。それから音楽、舞踊――そう言う様な設備もする。そう言う様な計画は色々ありますがね。それで、やはり舞台の下に、オーケストラが大体六十人位掛けられる様にしようと思う。そうして歌うのは、ヘンデルの「救世主(メシヤ)」ですよ。やつぱり、神様があの時分に用意してあつたんですよ。あんな良い曲は、他にないですからね。今度の、会館から展望台の方迄の、あの辺は素晴しくなりますよ。ツツジの山は見たでしよう。あれは、一旦ツツジを植えたのを皆んな抜かせたんですよ。私の考と異つているんでね。周章ててツツジを植えちやつたんですよ。それで皆んな抜かせた。
「展望台迄自動車が行けるとは思つて居りませんでしたので、拝見させて戴き、喫驚り致しました」
会館をやるのに、トラツクが直ぐ会館の側迄行ける様にしているんです――それは一時的ですがね。それでなければ、色々上げるのに大変ですからね。出来上つたら驚きますよね。外人が驚くでしよう。日本人の奴は、しみつたれだと思つたら、とね。私は、アメリカ人を驚かせると言うのが、一番興味を持つてますね。つまり、凡てが世界一になるんですからね。
注:((*1)) (明示されてないが、他号との関連で間違いないと思われる)
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今度の箱根の美術館丈でも、世界一でしよう。建物の立派なものは敵わないですが、中身は世界一です。何故かと言つて、日本美術と言うのは、外国に無いんですからね。支那美術はありますがね。支那の陶器、銅器はありますが、日本美術は殆んど無いですよ。やつぱり、日本美術が世界で一番ですね。だから、日本で外国に負けているのは、支那の陶器と銅器位ですね。絵は同格ですからね。あとは、日本が上ですからね。第一、日本美術の美術館と言うのは、日本に無いんですからね。この間出来たブリヂストン美術館は油絵です。大阪の白鶴でも、支那美術です。博物館は仏教美術ですよ。仏教美術は大したものですね。本当の日本美術館は無いですよ。大原美術館でも――行つて見ないけれども、大体油絵が中心ですね。それから、根津とか長尾とか、あんなものは知れたものですね。京都の博物館も、やつぱりお寺美術館ですね。日本美術館なんて無いんですよ。世界に無いんですね。だから、今度箱根に出来た、あれが世界一です。外人が来ても喫驚りしますよ。処が、日本美術は見たくても、目に触れなかつたんです。みんな大名とかの土蔵に入つている。それも種類が少ないですからね。一軒の家でも、色々はないですからね。それを今度は、日本美術の最高の色々な、成る程と言うのは出ますからね。だから、日本美術と言うのは、みんな見られないです。外人は無論ですが、日本人でもね。日本に、こんな良い物が出来るかなと思う様ですよ。
そうして、日本美術の藤原時代は、仏教芸術が多いんです。鎌倉時代は蒔絵位なものですね。あとは、陶器類は桃山時代で、尾張のものですからね。尾張と言うが、朝鮮の模倣ですからね。日本独特のものじやない。日本独特のものは、有田、薩摩――それが最初でしよう。それが、そう古くはないからね。桃山内外だからね。陶器でも、桃山以降ですね――良い物はね。それから、蒔絵が鎌倉あたりからですね。足利時代に可成り良い物が出来ている。明治迄は中々良い物が出来ている。それから絵で、私が狙つたのは琳派ですね。光琳、宗達、乾山――下つて抱一位ですね。之は、日本独特の美術だからね。狩野派はあれは支那の真似だからね。日本独特のものは、先ず琳派のものと、大和絵、浮世絵。大和絵は、代表的の物は少し出すが、大和絵と言うのは定まつたものですね。あんまり変化がない。浮世絵は良いですね。処が、浮世絵は大抵版画ですね。肉筆物が良いんですよ。然し、世に出れる機会がなかつたからね。外人は知らないんですよ。だから私は肉筆を集めている。あんまり知らないから、買手がないので安いんですよ。今では大変ですよ。二十種位ありますがね。之を見たら、外人なんか涎を垂らすでしよう。それから、あとは東山水墨と言つて、足利時代の墨絵ですが、之はやつぱり、結局支那の宋時代をお手本にしてますね。そのうちの優秀な画家は、雪舟、周文、啓書記――之は宋画に紙一重の日本画であつて、近代は探幽、応挙、文晁等は昔と違い、余り珍重されなくなつたので、北斎とか――本当に厳密に見ると、やつぱり価値がないんです。それで、明治に入つてから栖鳳、春草、大観、玉堂あたりですが、そう言うのは皆んな網羅してありますがね。
それから陶器でも、大抵支那の真似してます。支那か朝鮮ですね。全然真似してないのが、仁清ですね。之は、日本独特なものです。仁清の物丈は、支那と比較して劣らないんです。で、私は最初、仁清に目をつけて集めたんで、終戦後バタバタと手に入つた。今はもう全然無い。今は非常に値が上つてますよ。それから、乾山、鍋島ね。その三つが一寸支那、朝鮮とは違つた、本当に日本的のものです。今度の美術館で解るだろうがね。素晴らしいものですよ。絵では偶に見るでしようが、実物を見るのは滅多にないでしよう。道具屋だつて――相当古い道具屋だつて、あんまり見ないですからね。そう言つた説明は、みんな私が道具屋にしてやるんです。道具屋は、仁清の本物と贋物が解らない。仁清を見別ける人はないと言うんです。だから、今外国だつて日本陶器と言うのは知らないですからね。陶器と言うと支那だと思つている。ロスアンゼルスで、支那の宋時代の陶器の展覧会があるんで二、三日前に船で送りましたが――十五点ですがね。処が、あつちの者も大したものです。日本の何処に何がある、何処に何があると書いてある。それをお名指で書いてある。支那の陶器と言えば、支那の宋時代が一番良く出来たんですがね。芝に晩翠軒と言う支那料理屋がある。あの親父が、支那陶器で大変な者です。それを――井上常一と言う名前ですが――「井上常一と言う処に、こう言うのがある。黒い、牡丹で――」と、アメリカの御註文なんです。実に良く知つている。それで送りましたがね。
そんな具合で、支那の陶器丈は――中々外国でも世界的に知られない日本の陶器も少しありますが、あとは日本の仏画、仏像――之は世界的に有名ですからね。この間、サンフランシスコの展覧会でも、日本から出したのは殆んど仏像ですからね。之は全く大したものですよ。日本の仏像はね――世界に無いですね。日本の木彫の良い物は、ロダンなんかに負けないからね。ロダン以上の物が沢山あるでしよう。日本人は知らないが、外国人は知つているから、日本の仏像を目掛けている。日本の仏像は、何故あるかと言うと、日本の仏像の良い物は、みんな国宝になつているから、寺にあるんです。私は調べて見たが、大変なものですよ。日本の寺にある彫刻なんか、全部国宝ですからね。だから外国に行かなかつた。
「お寺にありますと、今迄は拝みます対象になつておりますが、今度は美術品として――」
そうです。だから今考えているんですが、今に段々ね。
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「フエノロツサと一緒に来たピゲロと云う者が、肉筆の物許りを買つて帰り、亡くなつて子供が外国で売ろうとしましたが、売れず。日本で売れる様になり、その目録が私の方に参つておりますが――宜敷ければ御献上させて戴きたく思つております」
フエノロツサ時代でしよう。あの時代には、古い良い物は手に入らないですよ。良い物はみんな大名、財閥でね。
「浮世絵の肉筆は売れないとの事で――」
その時代に、売物として出た物は良い物じやないですよ。と言うのは、私が知らずに随分買つたんですよ。品物が気に入つてね。それが後で調べてみると、画家の代表的な物ですよ。で、日本一と言うのがありますよ。団琢磨と言う人が持つていたのでね。湯女と言つてね――之は日本一です。日本で一番良いのは湯女と彦根屏風――この二つです。彦根屏風は、屏風ですからね。戦争で疎開する時離したんです。今度やると、新規に仕立て直さなければならない。屏風だと一段落ちますからね。そうすると、湯女ですが、之は博物館で非常に狙つている。肉筆に贋物と言うのは、滅多にないですよ。処が、版画でも、初版とその次がありますからね。
「外人は鑑識眼が勝(マサ)つているので御座いましようか」
研究しているからね。大抵浮世絵と言うと、桃山期以後ですよ。幕末迄が良いんです。私が一番好きなのは、桃山ですね。 兵児帯しめているのですね。
「初期の物で、墨絵の――」
初期なら春信ですよ。古いのは、筆者を入れないものですよ。私は、版画は趣味がない。版画が良いと言うのは、画家と印刷職工の、その腕を褒める様なものだ。版画では、絵は死んでますよ。古い良い物は、落款が無いですよ。落款は入れなかつた。浮世絵でも仏画でも、良い物は落款が無いのが多い――古いのは姿が特に良いんですね。懐月堂も好きですがね。ありますがね。あれは少し、下手物染みている。品格が薄い。やつぱり、良い物は春信、春草それから光起。
「清長が境で――」
清長でも、私なんか、一寸面白くない。それから、師宣が良いです。光起ね。品格がありますよ。又兵衛ね。その中で、又兵衛が一番ですよ。それは無いが、一寸高いですよ。
「日本芸術の高さを、外人が鑑賞出来ると言うのは、そう言う特種な才能を持つた人が解るので御座いましようか」
それじやいけない。才能も何もない。誰が見ても良い。目が利いてる人が見て良いつて言うのは、本当ではない。誰が見ても良いもの――そう言うのが本当の芸術です………一人でも多くの人が楽しむつて言うのが本当です。目が利いていても、いなくても、本当に良いと言うのが芸術です。今度、私はそう言うのを出そうと思つている。一人が喜ぶと言うのは、芸術ではないんです。
「今迄、アメリカでは喜び、日本では左程でなかつたと言う事は生活の為に向かれなかつたので御座いましようか」
封建主義の為にされなかつた。大名、富豪――みんな特権階級ですよ。然し、大変な功績を残してますね。大名が集めて、支那芸術が残されているので、大変良かつたです。それから財閥ですね。財閥と言うと、明治以後ですがね。大体、大阪ですが、淀屋辰五郎と鴻池ですね。淀屋はつぶれてますが、鴻池は残つてます。数から――良い物から行けば、一番ですよ。大名でも色々ありますが、何と言つても松平不昧公です。大したものです。不昧公は茶器ですがね。茶器の良い物は、不昧公の手に一度渡つたものですね。面白い話ですが、大徳寺にある――喜左衛門井戸は、不昧公が持つていた。処があれを持つていて、暫くしてからオデきが出来て死んだんです。その息子がそれを愛玩してたが、親父と同じで死んだんです。それで、之はお寺に寄附するよりないと、大徳寺に寄附した。そう言う不気味な伝来がある。偶然にそうなつたんでしようがね。明治になつてから、色んな財閥が集めましたがね。で、大名の中でも、相当集めたのがありますがね。酒井家ですね。二軒ありますがね。酒井忠信さんに酒井何とか――ここは、祖先が相当集めたんですね。それから蒔絵物は加賀ですね。前田家ですね。明治になつてから――明治以後民間に散らばつたですね。
「藤田組等は、全部進駐軍に抑えられましたが、あとは如何になつておりますので――」
皆んな売つたですよ。進駐軍に抑えられても、出してます。もう解けただろう。
「今度は、財産税の事で、売る訳には――」
けれどもね。何か手段がありますよ。
「蒔絵類は、他の美術品に較べて、安いのでは――」
安いですよ。
「外国では保存が出来ません様で御座いますが――」
そうじやない。良い物でなく、悪い物だからですね。アメリカは乾燥していて、空気が悪いからですよ。日本人は、こすいと言うか、利口と言うか、良い物はやつてないですね。日本美術なんて言うのは、みんな贋物ですよ。先に浜蒔絵と言つて、横浜で、金でピカピカしたのを作つたものです。ああ言うのを、みんな向うに売込んだんですね。それで、本当の物は行つてないんです。それで、本当に拵えた物は、あつちに行つたつて大丈夫なんです。蒔絵は、乾燥がいけないんで、みんな割れちやう。剥がれちやうんです。ドイツで、日本の漆器を真似して――実用品ですが、随分出しました。ウルシを使わないで、他の塗料でね。蒔絵は良い物が出来てます。船が――博覧会の出品物が積んであつたのが沈んで、二カ年沈んでいたのを、引上げて――先に博物館によく出てましたが――何ともない。塩水だから、銀の様なのは、錆びてますが、蒔絵は何ともない。二年漬つていたんです。それは、昔の布切れと言つて、布で、ウルシですつかり作り――何ともない。出来上ると、同じですからね。今でも天平時代の蒔絵がありますからね。経箱なんかね、千二百年位経つているでしよう。それが、ちやんとありますからね。藤原時代なんか――八百年経つてますが、ちやんとしたのがありますよ。作り方ですよ。陶器なんかは、そうではないですがね。欠ける丈ですからね。支那のなんか、殆んど欠けてます。と言うのは、発掘物だから、掘出す時に欠いちやう。支那、朝鮮の陶器の良い物で、疵の無いと言うものは滅多にないですね。その代り、疵が無いと大変ですよ。
「陶器類が一番難かしい様で御座いますが――」
難かしいと言う事はないが、支那の青磁ですね。他にそうないですね。青磁で、日本で本当に青磁の分る人はないでしよう。
「清朝のもので――」
乾隆ですね。
「清朝に伝つているもので、それに対する贋物を作つたと言う事で御座います」
清朝に真似するとすれば、明時代の物ですよ。宋時代の物は絶対に真似出来ないんです。不思議なものですよ。
「白地に色々な色を使つた、綺麗なもので――」
綺麗ですが、明時代ですよ。明時代の清朝ものは丸つきりです。宣徳、嘉靖、万暦――この三つの時代がですね。赤い物ですよ。処が宋時代には赤絵は少ししかない。大抵無地物です。私は無地物が好きで相当集めたが、そのうちで青磁が一番好きです。青磁も色んな学者の意見が、人によつて異うんです。古い新しいは分りますがね。支那は窯が沢山ありますからね。之は何処の何の窯で焼いたと、学問的になつて来る。処が支那の窯と言うのは、千以上あるんです。それで各時代の王様が、自慢で良い物を作らせた。その時代の名人にやらせたんですからね。そうして良い物を取つて、気に入らないのは、みんな壊した。だから、支那の陶器の窯のある処に行くと土を掘ると幾らでも出て来るんです。日本人なんかが研究に行つて掘るんですよ。其処から掘出して、之は、品物を合わせてみて、之は何の窯で出来た、となるから、意見が皆んな異う。だからアメリカだつてイギリスだつて、陶器は支那陶器ですよ。その中で、私が一番好きなのは宋均窯ですが、あれが一番好きです。
私は、一番不思議に思つたのは、去年広重の版画ですが、五十三次で――よくありますが――広重の絵を持つて来た。私は、五十三次すつかり揃つているのがあつたら――初版ですよ――買つてやると言つた。それで帰つて、翌る日か持つて来たんですが、紀州公が持つていたんで、紀州家の文字が乗つてあるんです。そう言う素晴らしい物を――二巻ですかね。初版で綺麗なんです。大名が持つていたんですからね。綺麗なんです。それが、私の話を聞いて帰つたら、その日に持つて来たと言うんですからね。それで、自分は広重の初版を欲しいと思つていたが、四十年来入らない。処が、お話を聞いて帰つたら、その日に来た。何う考えても不思議だと言うんです。
「普通の物で、二十年位前で五、六千位で御座いました様で――」
橋口五葉と言うのは、私は好きです。あれは良いですね。――六、七枚あるかね。種類はあんまりありませんね。確かに価値があるね。
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「光琳、宗達とか言う人の絵を御覧になられますと、お楽しみになられますが、今度美術館にああ言う立派な絵が掛かりますと、みんな観に参り、喜びますが、霊界で光琳その者は非常に上つて行くもので御座いましようか」
上つていきますよ。それに、そう言う――光琳やなんかが、こつちに持つて来るんですよ。そう言う物を御用に立てたいと言うんでね。だから、実に不思議なものですよ。
「世に出して戴きますので、大変に有難い事で――」
位が上りますからね――こつちの美術館に出ればね。だから、手に入らない物がチヨイチヨイ入りますからね。だから、割合安く入りますね。去年買つた様な物で、随分ありますよ。今売つて戴けば結構ですと、よく来る。
「目的が、世界人類をお救いになられますので御座いますが、金儲けにおやりになりますので御座いましたら、大変なもので――」
そうですよ。
「やはり、何でも世界一で御座います」
一つ一つ世界一になるんです。今日は、美術館の座談会みたいなものだつたね。
「只今仰せられました古い芸術家の霊が、明主様のお手元迄持つて来る。そうした霊が霊界で――生れ変つた者がありますが、その癖と言うのは、霊界に残つていて、ほんの一部カスみたいなものが、この世に出て来ると言う事を、浅野和三郎さんか誰かの本に出ておりましたが――」
一寸違うな。一旦生れた人間は――霊界で精気みたいなものがある――生れ変つて来ても、それと連絡がある。それと神様が連絡している。そう言う意味はあるが、この世に出て来たら、そう言う事は全然忘れちやつて――忘れちやつてじやない。全然知らないんです。霊界に居る癖が働くと言う事はないんです。今の処は持つて来るには、生れ変つた兄弟とか親戚が来るんです。それが、御用させて戴きたい。それから持主ですね。殿様とかが、あれをこれをと言うので――そう言う意味です。それで祖先がやつぱり――偉い人なり、持つている人なりの子孫がありますから、守護神が子孫にさせると言う事もあります。
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「人間が、未だ死ぬ資格がないのに、突発的事故で死んだ場合に、未だ霊界に行く資格がないので、向うで苦しんでいるか、と言う事を聞かれましたので御座いますが――」
おかしいですね。資格も五角もないですよ。殺されると言うのは、霊の資格と言うんじやなくて、霊の状態ですね。曇つているとかですね。だから、霊が汚れているとかね。それで、御守護がないと言うんでね。それで、殺されたりする。本当に魂が或る程度浄まつていれば、そう言う事はないんです。奇蹟的に助かるんです。だから死ぬ信者が奇蹟的に助かると言うのは、霊的に助かるべき状態になつているんです。
「死ななければならないと言うのは、御経綸で生れて来たと言う事で――」
生れて来たと言うんでなく、現にあるんですよ。命の無い者許りですよ。危ぶなくてね。もう生きているのが不思議な位ですよ。その中で、祖先のうちで良い事をしたのもあるしね。色んな者があるからね。そう言うのは、僅かにね。
「大体、メシヤ教に入れて戴くと言うのは、お許しがなければ入れませんので、その時――命を戴くと言う事で――」
そうです。だから、命の継ぎ足しですね。それは、祖先の骨折りで――一生懸命、助けたいのでね。一寸入つた丈でも、何年ものだがね。
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「仏教では親子は一世、夫婦は二世と申しますが――」
出鱈目です。仏教じやなくて、武士道で言つたんです。親子は一世、夫婦は二世、主従は三世――忠義をさせる為に、ああ言つた都合の良い道徳を作つたんです。主従は三世で一番深いから親子は一世だから――忠義をしろと云うんですが、あべこべですよ。主従が一番浅いですよ。生れて来て、予期もしない処と主従になるんですからね。常識で考えても解りますよ。親子は何だが、夫婦はとても強いですからね。主従とは違いますよ。武家時代の道徳は、その時の権力者の都合の良いものに作つたんです。だから、本当の道徳じやない。人間としての道徳じやない。階級としての道徳ですね。間違つたものはいかんと、今廃止になつて民主的になつたのは――間違つたものが壊れたのは――それで良かつたんですね。
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「教師の人で亡くなるのは、主として何う言う理由で御座いましようか」
色々ありますがね。一番の原因は、本当に解らない為――信仰がね。要するに、神様のお邪魔をするんですね。然し、お邪魔をしようと思つてしているんじやない。自分は良いと思つている事が、自分の智慧正覚が解らない為にお邪魔になつている。それで死ぬ場合もあるしね。然し、そう言うのは、死んでも霊界に行つて――間違つた事は審かれるが――やつぱり神様の為に働く。霊界で大いに信者を作つてます。だから、簡単に何う斯うと言う事は言えない。
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「結核信仰療法が頒布されますと、医学界からの反撃もあると思われますが、それは邪神との闘いと言う言葉を使いましても宜敷いもので御座いましようか。神様の御経綸は絶対のもので、私達資格者がしつかりした覚悟を持つて居なければ――」
それはありませんよ。と言うのは、私のは真理だからね。
「兵と言う――」
そうです。神兵ですよ。
「玉砕すると言う事も、お役に立つ迄の運命と――」
けれども、玉砕はないですよ。それで、ちやんとそう言う処は、神様が準備してありますからね。言論の自由なんて、神様が準備されたものです。言論の自由にするには、日本を敗戦にするよりないからね。どうしても一度は発表しなければならないんですよ。闘おうが闘うまいが、そんな事は問題ではない。闘うと言うが、こつちは、救う積りですからね。向うがふつかけて来るんだからね。別に武器を持つてするんじやないからね。安心なものですよ。ああ、之は大したものだと、最初から軍門に下ると思つて間違いないですね。闘いですよ。私なんか霊的にも軍人ですね。毎日闘つてます。書いてあるがね。
それから、こう言う事を知つて置かなければならないですね。今度、人類救済ですからね。けれども、皆んな救われるんじやないんですよ。救われない人もありますよ。救われない運命の人が、祖先なりで居ますが、救われない運命の者はしようがないんです。メシヤ教信者になれば救われると思つていたら大変です。大部分は救われるんですがね。
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「お曼陀羅の処分は如何致しましたら宜敷う御座いましようか」
あれは良くないんだがね。それは、その人の想念だな。信仰には本当に入つてないんでしよう。
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「光明如来様を戴き、次に大光明如来様を御奉斎させて戴きましたが、光明如来様は如何に――」
それは、たたんで仕舞つて置いたら良いでしよう。
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「新潟から佐渡の方面では、亡くなつた人がある場合に、床の間に仏教のお軸を掛けてお弔致しますが、こちらではそれを許さなかつたので、煩くなつておりますが――」
そうしたら良いでしよう。やはり時期ですよ。やはり、今はそこ迄の時節に行つてないから、今迄の仕来(シキタリ)のやり方で良いですよ。そうして坊さんにも満足させてやつたら良いでしよう。そんな事は問題じやないからね。
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「救われない者もあるとの御教えで御座いましたが、お道専門にやらせて戴いて、どうしても開けないと言う者も御座いますもので――」
ありますよ。
「そう言う場合に、転換と言う事で、他の仕事に就かせて戴く事と、お道を続けさせて戴くと言う事は、どちらが――」
気持次第です。転換したいと思つたら、すれば良いしね。転換したいと言う執着があつたらいけないからね。転換して良いですよ。
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「姓名の御教えを戴いておりますが、姓名が悪い為にどうしても開けないと言う絶対の障りになる事が御座いましようか」
絶対にはないですがね。或る程度はありますよ。良い方が良いけれども、時節で――無理に変えると言う事も出来ないですよ。そう言う事は考えないで、その儘にして置きなさい。変えなければならない様な時には、神様が変える様な手段をとつて呉れますからね。だから私は、どうしても名前を附けられない事がありますが、そう言うのは時期が早いんですね。
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「宗旨を変えると言う事はいけない、とお伺い致しておりましたが――」
宗旨を変えても良いですよ――メシヤ教になればね。変えると言うのは何う言うのと変えるんですか――浄土宗を日蓮宗に変えるのですか。
「二代、三代前に、そう言う風に変りました場合には――」
大体はいけないんですよ。何となれば、祖先が承知しないからね。だから、却つて禍がありますよ。処が、宗旨によつては――お寺がつぶれちやつたとか、お寺が遠くなつたと言う場合に、止むを得ず変る場合がありますが、原則としては――祖先が霊界が異つちやうと、そつちに行かなければならないからね。然し、不可抗力な事があつた場合は良いんです。つまり理窟がつけば良いんですよ。
………………………………………………………………
「同じ墓地に、石塔は二つありますが、遺骨を一緒に入れておりますが――」
本当じやないが、然し何れがどうと言う事は判らないでしよう。
「判つております」
そんなら別々にした方が良い。それは一緒じやいけませんね。
………………………………………………………………
「木曾川の上流の犬川に、海軍出の者で以前御用をさせて戴いた事があり、今は解らなくなつた者が居ります。父親は六十位ですが、家に蛇を飼つてあり、二十数年前から、屋敷の青大将に肉を与え、その人が声をかけると出て来、毎日二百匁位の生肉を与えております。留守の時には、此処に置いておけと教えてやつて置きますと、その肉が無くなつております。蛇は相当に長いのではないかと思われます。そのじいさんの言う事は蛇は色んな事を聞別けます。その附近にイカルカ池と言うのがあり、その附近の信徒は全部中絶しております。又、キフネのカガミガ原のオカスの池と言うのがあり、その附近の信徒も殆んどおかしくなつております。そう言う池に龍神の伝説か――メシヤ教の信仰する人の邪魔するのは、何かあるのではないかと思われますが、祝詞を奏上させて戴きまして――」
そんな必要はないですよ。時期が早いんですよ。つまり早過ぎたんです――開いたのがね。
「池には、そう言う事が御座いますのでしようか」
ありますよ。
………………………………………………………………
「御垂示録第五号に、御仏前のお参りは幽世大神と御讃歌とありますが、命日には善言讃詞と御讃歌をお奏げして良いと承りましたが、如何に――」
それで良いですよ。
「月の命日にも善言讃詞を――」
良いですよ。その霊に奏げてやると言う気持でやるのなら良いですよ。
「善言讃詞は神様にお奏げするので、区別しなければいけないと御教え戴いておりますが」
それで区別になつてます。命日丈やるんだからね。
「特別に年忌の時丈と言うのでは御座いませんのでしようか」
仏壇に奏げてはいけませんよ。命日だつて、臨時応変ですよ。亡くなつて間もない霊とか、三十回、五十回忌迄は良いですが、それより古いのは、もう良いですよ。
「御屏風観音様を初めて御奉斎致します時には――」
良いですよ――初めてと言うのでね。意味があれば良いんです。
………………………………………………………………
「知合の人が亡くなつた場合に、自分の家の仏壇で幽世大神様にお願いして、供養になりますので御座いましようか」
いけないですよ。意味がないですよ。何にもならないですよ。
「何となくお奏げしたい気が致しますので」
だつたら、そこの家に向つてやるんです。自分の家の仏壇にするのは変ですよ。ですから光明如来様に、こう言う霊を救つてやつて戴きたいと言うのは良いですよ。然し、自分の家の仏様にするのは意味ないですよ。
………………………………………………………………
「外人の入信者で、床の間が御座いません。御神体をお祀りする事が出来ませんが――」
そんな事はないですよ。一番良い処に祀るのはね。壁に枠をつけてね。千手観音さんがあるでしよう。
「光明如来様は――」
相応すれば良いですよ。
「親や兄弟の写真が御座いますが――」
同じではいけないですよ。だから、壁に枠をつければ良い。
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「霊を非常に感じる信者で御座いますが、明治神宮の境内に入ると同時に寒気が致し、淋しくなり、出ると同時に元に戻りました」
それは、天皇の系統の霊ですね。明治天皇じやないだろうがね。明治天皇の子供さんもあるからね。その霊が救つて貰いたくて憑るんです。その霊の淋しい状態が写るんです。私のに書いてあるでしよう。天皇の中にでも、未だ地獄に行つているのが沢山あるから、今に救つてやるからと書いてあるでしよう。
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「一月十三日入信の信者さんで御座いますが、天照大神の御神体と守護神の神様をお祀り致しておりますが、霊感があり、お知らせで、医者に行かなくても良い。薬も飲まなくても良い。今に救われるからと、知らされましたが、余り苦しいので手当を致しました。この度お救い戴き、非常に喜ばれ、善言讃詞をお奏げ致しますと非常に喜ばれ、二十三日の月例祭の時霊が出られ『三河の国のヤチヒコの尊であるぞよ。非常に有難い、しかと明主様に御礼申し上げて貰いたい』と申しました。こうした霊は――」
それは、あるべき事で、本当ですよ。
「神様で御座いましようか」
神様ですよ。産土さんですね。その人の祖先でしよう。
「主人も、もう直ぐ入信の予定で御座いますが、その後御神体をお受け致しましても――」
そうです。だから、神様だつて――神様で、救われない神様が沢山あるんですよ。それに就ての歌を地上天国に出しますがね。もう出ているかな。だから、神様だつて位が沢山あるし、殆ど大抵の神様は、今迄間違えて色々罪を着たり、苦しんだりして居るんですからね。だから、つまり神様を救うんですよ。神様を救うんで人間が救われるんですからね。神様が邪神に何されている。神様が、霊界で段々解つて来る。それで人間が救われて来るんです。今の産土さんも、今迄救われないから、救われたい為に――霊界では知つてますから、医者や薬をと注意していたんです。
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「仏壇の同じ段の場合は、前列と後列は、どちらが上座になるので御座いましようか」
後列ですよ。
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「柔らかい事で一つお伺い致します。結婚前に女に過(アヤマチ)があり、それを非常に気に致しておりますが、夫に打明けるべきで御座いましようか。どちらが正しいので御座いましようか」
それは、夫の性質が、許しそうな性質だつたら良いし、どうも危ぶなかつたら、一生秘密にして置いたが良い。
「今度問題が起きました轟夕起子と島耕二の、夏子夫人の取つた行為は納得がいきませんが、どう言う態度を取るのが本当で御座いましようか」
どうもこうもない。思う通りにやれば良い。どうせ狂つているんだからね。どうもこうもないですね。
「家庭裁判では、夫婦と言う事は一応置いて、交りすると言う事は容認すると言う事で御座いますが、女がその立場に置かれていると言う事が、常識では――」
結構じやないですか。だつて、許されないとしたら、悲劇があるでしよう。夏子夫人が我慢すれば、四方八方無事に収まるから良いじやないですか。然し、良いと言うよりか、それより他に仕方がないでしよう。良いとか悪いとか言う問題ではなくて、悲劇を作らないと言うんでね。それより他にないですね。
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「心臓神経と言われ――」
よくありますよ。死霊が憑るんですよ。だしぬけに動悸がして来て、今にも死ぬ様になる。医師は心臓神経衰弱と言いますが、それは死霊が憑くんです。それで、暫くするとパツと治る。それは、離れるからね。
「それに対する方法に就きまして――」
信仰に入るんですね。
「入つて居ります」
死霊が迷つているんですね。ですから、側に居る者が善言讃詞を奏げてやる。神様にお願いしてね。
「御浄霊は何処を――」
前頭部ですね。そこに憑るんだからね。
「仏壇の方の供養は必要御座いませんのでしようか」
死んだ人が誰だか判らないんでしよう。
「霊が出て、床の間の神は日本一の神で、拳骨を持つていて絶えずお叱りを受け、未だ居るか、早く帰れと申し、明主様の日比谷の御写真は、非常にお優しい方で、お前の様な哀れな者はない。人に生霊をかけるなんて――哀れな者はないと申され、床の間は非常に厳しいと言つておりますが、終いに離れました」
はつきりしていいですね。
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「無肥料栽培で藁を小さく入れますと、針位の大きさのドブにいるミミズがわき、発芽が悪いそうです。何う言う原因で御座いましようか」
肥料が相当あるんでしよう。
「二年目で御座います」
二年目じやしようがない。発芽しない事はないんですがね。
「私共も、そう言う事が御座いますが、神様から種が不適当だからと言うのではないかと、他の種に変えさせて戴きますと、出て参ります」
ははあ、肥毒を多く食つた種と、少なく食つた為ですね。
「ミミズがわくのは――」
ミミズがわくのは良いんですがね。
「沢山で、中でダンスをしており、下から持上げて了います」
初めて聞いたがね。
「それは、肥料がうんとある処に出来ますミミズで、汚たないドブか何かにわくもので御座います」
糸ミミズと言うのですね。ボーフラの一種ですね。
「それを全滅させますには、如何致しましたら――」
客土すれば良い。
「客土するより外に御座いませんでしようか」
客土すれば肥料が無くなるから、それが一番良いでせう。
「無肥料栽培で以前から致してをりますが、成績が悪く、種は何うしてるか聞きますと、有肥の種を使用してをりました。現在無肥料栽培を致してをりますが、種に気がついてをりませんので――」
そうなんですよ。
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「原子爆弾の調査の通知を戴いてをりますが、広島での体験が御座いました。その当日お道を奨めに参り、友人で御座いますが、私に会う事を拒否した人は全部駄目で、入信した人は全部助かつて居ります」
それが、原子爆弾を避ける様な処に行つて助かつたのか、直接の処で助かつたのかね。
「両方御座いますが、充分調査致しまして――」
そうです。細かく調べて下さい。私は、お守を入れて居れば、原爆の光線を防ぐと言う事を思われるんですがね。何故、確実に防げると言はないか言うと、霊界の火素の関係ですが、火素が強くなれば、完全ですが、今はつきりは言えないんです。結局原爆を免れると言う事は言えるんですね。
「御浄霊戴いていた人は、裸で御守様はおはずし致して居りましたが、かすり疵一つ受けず、又役所に行く時間に御浄霊に来た為に助かり、娘さんで学徒動員に行つて居りましたが、その日は御浄霊を戴きに参り助かりました。他の――学徒動員で行つて居た人は全部死んで居ります」
出来る丈精しく纏めてやつて下さい。そうしたらアメリカにやつてやろうと思つている。アメリカなんか非常に関心を持つてますからね。この間聞きましたよ。牧野ジヨセフさんがね。アメリカの方で、原子爆弾の被害を幾分でも少なくすると言うので、非常に気を揉んで居ると言うので、少しでも逃れられると言う事があつたら、大変な事ですよ。之を世界的に発表したら大変な事になりますよ。そうすれば、一躍救世主ですよ。今一番恐いのは、原子爆弾だからね。之が何でもないと言う事になれば、戦争なんか無いですよ。
「土地なども、却つて豊穰になつております」
そうですよ。学者は七十五年間は作物が出来ないと言う事を言つていたが、そんな事がね。
「片端の子が多いと言う事を――」
良い加減なものでね。
(垂七号 昭和二十七年三月十日)