喉頭結核

之は結核の末期に発生するもので、特異性としては声が嗄れる事と、食事の際咽喉が痛み、嚥下困難になる症状である。此原因は痰が咽喉を通る際猛毒痰である為、気管や咽喉の粘膜を刺激しカタルを起すからで、此痰は最も古く、腐敗の度も強いのである。だから痰の出る間は仲々治らないから先づ見込はない。而も此時は衰弱も酷くなってゐるからでもあり、医師も喉頭結核と判るや、必ず匙を抛げるのである。

結核によらない場合は、此病気は声を使ふ人に多いので、最初、顎下腺から扁桃腺附近に膿が溜り、漸次深部へ拡大し、咽喉部に迄移行するので、其為に声が嗄(カ)れるのであります。段々進むに従って、食物を嚥(ノ)むのにも困難になり、水も飲めなくなって、衰弱して倒れるのであります。ちょうど喉へおデキが出来て、そして、其『おデキ』の頭へ物が触れるやうに痛むのであります。之は本療法によれば順調に治ります。然し余り衰弱し過ぎてゐるのは困難ですが、「歩ける位の程度」だったら必ず治るんであります。軽症で一ケ月、重症で三ケ月位で全治致します。

(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)