腎臓の重要性

□医学不明の流行病(萎縮腎が原因している場合)               
○『近来、我国民の中年以上の男女に特殊の疾患があって、それは現在相当多いばかりか、漸次増加の傾向さへ認めらるるのである。そうして此病患は医家が診断すると雖も更に判明しないので、医家は病患はないとさえいふのである。にも係わらず本人は非常に苦痛であるが、如何ともし難いのである。症状はといえば、全身倦怠、頭重、肩首の凝り、物に倦き易く、根気がなく、何事も気が乗らず、不快感の為、央々として楽しまず、無為にして日を送りたがるといふ実に哀れむべき症状である。しかも外見上、健康そうにみゆるので、周囲の者からは横着の如くみらるるという訳で患者は一層苦痛なのである。然るに、右の如き症状は、悉く萎縮腎が原因であって、患者の腎臓部を検するに巨大なる毒素溜結があり、又脊柱の両側、肩、頭、淋巴腺付近、全頭部、腹膜部にも尿毒の溜結が相当あるのである。故に、腎臓部を第一とし、その他各部の浄化法を行うに於て、毒結減少と共に漸次苦痛は軽減し、畢に溌剌たる元気を取り戻すのであるから、患者の喜びは例えようがない位である。この症状は、中年以上の人に多く、殊に婦人に多いのである。』    (明日の医術第二編) 

□腎臓医術
○『そうして人間は成人するに従い、腎臓部に三毒素溜結し、漸次固結が増大するので、その圧迫によって腎臓は萎縮し先に説いた如く余剰尿が滲出し、右の固結に追増するのである。従而、腎臓は益々圧迫されるから、それだけ余剰尿の増加となり、愈よ固結が増大する。その結果として余剰尿は漸次的に背部脊柱の両側に向かって移行集溜し、尚上昇して肩の凝りとなり、頸部の周囲より頭脳は勿論、眼、耳鼻、歯齦、咽喉部等に及ぶのである。又人により胸部の周囲、腕の付け根、胃部、肝臓部、腹幕等にも及び、尚下降して脚部にまで及ぶのである。此場合勿論神経集注個所程集溜する事は先に説いた通りである。
期の如く、腎臓障害が原因となって、凡ゆる病原となるのであるから、何よりも先ず、背面腎臓部の固結を溶解除去しなくてはならないのである。期くする事によって凡ゆる疾患は治癒に向かうのは当然である。』            
『従而根幹的原因である腎臓部が浄化されるに於て枝葉的に他に分搬せられる毒素は、平均的自然浄化によって、全身的に疾患が治癒さるる事は必然である。此理によって、腎臓の活動を促進さす事こそ、凡ゆる疾患を治癒させ健康を増進させる唯一の方法である。』           (明日の医術第二編)

□本医術の施法
○『そうして最も重要なる個所としては、脊柱と末端の肋骨との中間即ち三角形を描けば、その中心点にあたる所及その下方である。その部が柔軟で手指で押して凹む位なら良いのであるが、そういう人は恐らくないのであって、大抵の人は広範囲に固結しており、甚だ式は反対に隆起している人さえあるのである。それは勿論、余剰尿の固結であるが、それが上方に向かって脊柱の両側に移行しており、特に肩甲骨と脊柱との間に多量の固結があるものである。此固結は胃に関係があるので、特に溶解すれば胃の活動を促し、食欲は増進するのである。従而、胃癌の患者に対しては、此固結溶解によって好結果があるのである。又、腎臓部より下方に向かって腰骨部まで毒結は移行しており、特に腰骨に接触して毒結のある場合、多くは脚部に異常があるもので、これを溶解すれば、よく治療するのである。』
『右の如くであるから、先ず腎臓部の治療を第一とし、背部より肩甲骨部を第二とし、その他は第三の順位にすれば良いのである。又一般に、右側腎臓部の毒結が多いのであるが、左側のそれも重要である。但し、盲腸炎の原因は右側の萎縮腎である。』
『そうして、腎臓部の毒結を溶解するに於て溶解毒素は腎臓内に浸潤し、尿と共に排泄されるのである。蛋白とは此溶解毒素であるから、この尿中には、多少の蛋白があることは勿論である。従而、腎臓ぶの毒素溶解するだけは、体内のあらゆる病患は平均的自家浄化作用の発生によって、能く治癒するのである。又腎臓部の毒素溶解は、他の局部の毒素溶解が容易となる事は驚くべき程である。又、腎臓の完全なる活動は、全身的浄化力が頗る旺盛となる事である。』
『故に私は、人間は腎臓さえ健康になれは、凡ゆる疾患は治癒すると共に、心身共に、健全となり、幸福と長寿を得るのであるから、実に不可能とさえ想はれたる人類の理想が、茲に実現化したと言ってもいいである。』
                       (明日の医術第二編)