第四節、「左進右退」の霊的リズムについて

 先ほどみてきましたように科学がさらに発達していけば将来は無限界に突入するということでしたが、明主様は、その無限小の世界に関して霊的な極微粒子を仮に“霊子”と名づけ、その活動状態について、さらに大きくは人類の歴史すなわち総論一で学んだ『夜昼転換』との関係について言及されておられます。このことは「日本医術・浄霊」の特色とも深く関連していますので、ここで採り上げておきたいと思います。

 まず、霊子(仮称)の運動についてですが、
『此霊子は非常の速さを以て渦を巻いてゐる。その渦の捲き方は、夜の世界即ち暗に於ては右進左退であり、昼の世界即ち光に於ては左進右退である。此理によって水は右進であり、火は左進である』           (明日の医術 第三篇「夜と昼」より)

 そして、こうした霊界の内奥における霊子の運動が現界での現象にどのように現れてくるのかということについては、
『そうして右進左退は遠心的運動となり、その結果は分裂となるのである。又左進右退は右と反対で求心的のそれとなり、統一となるのである』
                     (明日の医術 第三篇「夜と昼」より)
 とおっしゃっています。

 右進左退の結果は分裂となるとありますが、それは思想的には個人主義や利己主義等の出現であり、また経済的には自由競争が生まれ、それが激化していくということになるのです。こうしたことは思想界、経済界に限らず様々な分野においても形こそ違え同じような様相がみられます。

『右と同様に医学上に於ても極端に分裂して内科・外科・婦人科・小児科・脳神経科・整形外科・泌尿科何々等々、益々専門的にその科目を増してゆくのである。従而、療法に於ても服薬注射は固より、ラヂウム・レントゲン・紫外線・赤外線・不可視線、曰く何々等弥々その数を増し、其他電気磁気・温熱・鍼灸・温灸等は固より、民間療法に於ても幾十幾百の種類があるか分からない程である。従而、病気の種類に於ても益々殖えつゝある事は周知の事実である』           (明日の医術 第三篇「夜と昼」より)

『然るに昼の文化は此反対であるから、統合と単一化即ち一元化となる事で、中心に帰一する事である。それが今日何人の眼にも映じつゝある所の世界的大転換の真相である。視よ、世界の凡ゆる国家は漸次分裂から統合に向かってゐるではないか』
                     (明日の医術 第三篇「夜と昼」より)

『いよいよ昼の世界に転換するとすれば、右の反対である現象が起るのは当然である。即ち左進は善に属する以上、精神的にならざるを得ないのである。其結果として一切が唯心的方向に進んでゆく。故に、近き将来に於て霊的科学が生れるであらう事も勿論である。否已に生まれてゐるといつても可いであらう。それは私の創成した此医術は霊的科学であり、動物医学ではなく人間医学であり、唯心的療法であるからである』
                    (明日の医術 第三篇「善主悪従」より)

 このように目に見えないところで渦を巻いている霊子の運動が霊主体従の法則によって現界における様々な現象に現れているわけです。左進右退の渦の動きの結果が既に東欧や西欧をはじめとした世界の動向の中にも表現されていることはもうお分かりでありましょう。これを宗教的に言えば“神の経綸”ということになるのです。こうした大自然の力の発動は、当然のことながら「日本医術・浄霊」の特色にもみることができます。それは西洋医学が専門分化しているのに対し、「日本医術・浄霊」は人間の浄化を霊体一致した全体的、一元的な現象として把え、浄化の状態や原因も総合的、根本的に解明し、解決せんとしているからであります。

『然るに、本医術に於てもそうであつて、根本療法である以上、全体的に病原を発見しそれを衝くのである。例へば、前頭部頭痛の場合はその部だけ治療しても効果は薄いのであって、病原は実は頸部淋巴腺の浄化熱の為である。従而、頸部淋巴腺を施術すれば、前頭部に施術を行はなくともよく治癒するのである。又後頭部の頭痛はその原因が延髄部毒結の浄化熱の為であるから、其部と其部の根原である腎臓の治療によらなければ奏効しないのである。又近眼及び乱視は、後頭部、延髄附近の固結が原因であり、鼻のつまりは延髄部及び背面腎臓部であり、そこの毒素溶解によって快癒するのである』
                     (明日の医術 第三篇「夜と昼」より)