此著に載せてある実例は、奇蹟ならざるはなしであるが、此患者の奇蹟も驚くべきものである。何しろ三十有余年間苦しみに苦しみ抜いた慢性胃病が、僅か一週間で全快したのであるから、全く二十世紀の驚異である。そうして、此人の経過を見れば見る程、薬毒の如何に恐るべきかがよく分る。此薬毒の害を知らない一般の人は、高い金を出し、薬と称する毒薬を一生懸命服み、苦しみを作ってゐるのであるから、実に悲惨極まるものである。
之程の恐ろしい事実を、世界中誰も発見するものがないのであるから、二十世紀の謎である。此恐ろしさに比べたら、戦争などは小さなものであろう。又医師も此事を知って今後患者を扱ふとしたら、今迄分らなかった事や、何程治療しても治らない理由がよく判る筈である。
三十余年の胃腸病一週間にて平癒す
(本文省略)
(医学革命の書 附録(おかげ批判) 昭和二十八年)