此患者の最初からの経過をよく読むと、現代青年が医学迷信に捉はれてゐる心境と、宗教に対する蔑視観念が実によく表はれてゐる。之によってみても、現代インテリ特に青年層の共通した観念がよく分るのである。而もその根強い科学迷信は、宗教迷信と同様か、或はそれ以上ではないかとさへ思えるので、実に驚くべきものがある。処がそのやうな頑強な迷信を打ち破って了ふ神の力の強大なる事は、実に素晴しいものではないかと思ふ。此神の力を以てすれば、現代の如き誤れる科学文明の世界を、神霊文明の世界に転換させる事も敢て難事ではあるまい。
私は病貧争絶無の世界である地上天国を造るといふ大それた看板を出してゐるが、それは決して些かの嘘偽りのない事は分るであろう。としたら何れは現在本教を非難したり軽蔑したりしてゐる人達も、束になって頭を下げて来るのは、火を睹るよりも明らかである。それに就いて注意したい事は、そうなってから恥かしい思ひをして来るよりも、一日も早く頭を下げて来る方が賢明であろうと思うのである。
入信一ケ月間を顧みて
(本文省略)
(医学革命の書 附録(おかげ批判) 昭和二十八年)