私は斯んな題を付けたくはないが、此患者の経過を読めば読む程、そう言はざるを得ないのである。何しろ最初から医師の言う事を守り、莫大な療養費を使い乍ら、治る処か益々悪化する一方で、而も女性の二十四才といへば、之からという年頃を、生ける屍となって病床にヘタ張りついたまま、何年も続けて来た。その経路たるや涙なくしては読めないので、斯ういう例を見る毎に、私は義憤を感ぜざるを得なくなる。 此やうな悲惨事を見ながら気がつかない政府も医師も言論機関も、反ってそれを礼讃し、奨励してゐるのであるから、遠慮なく言へば、現在は文化的野蛮時代でしかあるまい。
四年間絶対安静の脊髄カリエス十三日で癒ゆ
(本文省略)
(医学革命の書 附録(おかげ批判) 昭和二十八年)