人間の造り主は一体誰であるか。之は考ふる迄もなく人間であって、其人の両親である。成程、人間の祖先を造り給ふたのは神様であるが、其後は人間が人間を造りつつ今日に及んだ訳である。故に、人間の五体の中には、此貴重なる人間の生命と肉体を造り出し得る神秘な力を有ってゐる訳である。
此不可思議力は、智慧や学問でも得られない。器械や薬剤でも得られない。生れながら自然に一人も漏なく神から与えられてゐるものである。人間の肉体を造り得る素晴しい力を人間が有ってゐるとすれば、人間が自己の病を治す位の力を有するとも、別に不思議は有るまい。此理に由って、自然療法は或程度の効果を奏するものである。
(昭和十一年)