岡田自観先生が丹精になる観世音菩薩画像が、一般画家のそれと異り、其高き気品と優雅端麗なる妙筆は、実に当代類を見ざる所として多数の翹望(ギョウボウ)ありしが、遺憾にも今日まで諸彦(ショゲン)の御期待に添ふ能はざりしは、全く先生が寸暇無かりし為にして、洵に止むを得ざりしなり。
然るに先生に於かれては、頃日小閑を得られしを以て、年来の御願望たる、観音尊像百幅の揮毫に精進せらるる事となる。勿論今回は、特に全霊を罩(コ)められての御力作なれば、蓋し一家の至宝として永く後世に伝へらるべき逸品たるは、茲に贅言(ゼイゲン)を要せざる所なり。恐らく斯の如き好機は再び来るなきを思惟す。何卒渇仰(カツゴウ)の諸彦、奮って御申込あらん事を。
頒布方法
一、尺五紙本又は二尺二寸巾横物
画像は百種百態なるも左右の向き、其他の御希望あらば前以て御通知ありたし
一、一口金五拾円也
一、申込金拾円也(第一回払込に充当)
一、次月より毎月金五円宛払込み、九ケ月にて完了。
一、毎月抽籤により、当籤者へ即頒す。
一、一時に全額払込みの場合は即時画像を贈頒し、且書体(額画又は軸)を贈呈す。
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|尺五紙本百態中の見本一種|
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昭和十一年九月
東京市世田ケ谷区玉川上野毛二三四番地
宝山荘内観音百幅会
電話玉川 二二五番
(昭和十一年九月)