療術行為届 指圧療法と按摩術の差異

本療法を施さんとする際、施術者は自己の精神力(思念力)を絶えず指頭に集注す。それに依って指頭より一種の放射霊力を生ず。是を一部の学者は人体電気と称す。此人体電気が病者の患部に浸透するに於て、指技と相俟って欝血は散じ、血行は促進さるるを以て、苦痛の軽減と爽快感は実験に徴して瞭かなり。

彼の掌療法も同一の原理にして、此技術は熟練するに従ひ、放射霊の集注は倍々濃度を増すものにして、之が治病に効果ある事は、近年欧米に於ても発見唱導せらるる事実を観ても明なる処なり。

然るに、按摩術は右の如き精神力は全然応用せず、単に手及び指技の熟練による方法なるを以て、全く本療法と異るものなり。

(昭和十二年八月四日)