兇党界とは悪魔の世界であって一名邪神界ともいふ。此団体は常に正神と対抗してゐるのである。神の方に八百万あるやうに、悪魔の方にも八百万あるのである。そうして正神は此世界に善を行はんとするに対し、邪神は悪を行はんとし、常に相対峙してゐるのである。丁度人間の中心に於て本守護神と副守護神と闘争してゐるやうなものである。(守護神については後に説く事とする)故に正神界からは霊線によって人間の本守護神に正気を送流しつつあるに対し、邪神界に於ても人間の副守護神に対し、霊線によって悪気を送流してゐるのである。此理によって一人の人間と雖も、世界的に繋がりがあり、その一挙一動は全世界に響くものである以上、軽率な行動は出来ないのである。兇党界には三巨頭があって、その名は古典或は伝説にもある八岐の大蛇に金毛九尾の狐及び邪鬼である。聖書にある悪魔の頭目サタンは赤い辰としてあり、此赤龍は八岐の大蛇の部下であらう。そうして右の邪神の性格をいへば、八岐の大蛇は戦争や殺伐を好み、男性的であり、金毛九尾の狐は残忍、淫靡を好み、陰険にして女性的であり、邪鬼は冷酷、譎詐(キッサ)、理智的である。故に右の一は、戦争を勃発させるのを得意とし、二は堕落させるのを得意とし、三は思想悪化を得意とする。之等邪神の今日まで最も活動した舞台としては米英蘇仏等が主なるもので、その過去を覧(ミ)ればよく判るのである。
我神国日本に於ても、一時は危ふく邪神の魔手に毒せられんとしたが、神聖犯すべからざる皇国であるから、畢に殃(ワザワ)ひせられずに済んだのであって、寔に有難き極みである。そうして右の三邪神は、近世に至って猶太人を機関として活動を続けつつあるのである。然し乍ら猶太人はイスラエルの民族であって、本来聖なる人種であったのであるが、半途に於て、人為的に世界制覇の野望を起した結果不知不識邪神の傀儡となって了った事は、寔に惜しむべきである。然し乍ら、それによって物質文化の発達に貢献する事になったのであるから、結局は主神の必要なる経綸であった事は疑ひなき事実であらう。
茲処で注意すべき事は、フリーメーソンと邪神との関係である。それは邪神中の邪鬼がフリーメーソンによって目的を達しようとしてゐる事である。そうして邪鬼の眷族も何万何億あるか分らない位で、之が共産主義を作り、その発展に活動してゐるのである。故に共産主義者の面貌をみればよく判るのであって、鬼といふ感じが実によく表はれてゐるのである。又私は斯ういふ事を聞いた事がある。それは共産主義華やかなりし頃であった。或霊の見へる人が、大学の講堂へ行った時の事である。視ると、日本室でいへば欄間に相当する位置--即ち白色の小壁に、鬼の顔が沢山竝(ナラ)んでゐるので、その人は驚いたとの事であった。此鬼の霊が日本へ渡来する場合、大抵は書籍に憑依して来るのである。又西洋医学の方面には、此鬼の霊の活動が尠からずある事を私はよく知ってゐるが、之は書く事を遠慮する。何れは此鬼共も、日本から締出しを食ふ日のあることを、私は確信してゐるのである。
(明医三 昭和十八年十月二十三日)