現代科学に於ての人間と動物との関係は誰も知る処であるが、私は霊的方面からの解釈を試みてみよう。抑々、造物主が森羅万象を創造され給ひし時、最後に造られたものは人間である。それは私の想像によれば、凡ゆる生物を綜合して成った理想的生物として人間が造られたのである。此意味によって人間なるものは、凡ゆる生物の一面を包有してゐる事はいふ迄もない。故に、鳥獣虫魚に到るまでの性能を具有してゐるのである。
此意味を判り易くする為、私は人間以外の他の動物の特質を挙げてみよう。それは、人間なる綜合生物に反して、他の生物は単一生物である。その単一とは如何なる意味であるかといふと、例へば馬といふ動物の特質は勇敢と柔順で、音声はハヒフヘホであり、犬は忠実でワヰウヱヲであり、猿は狡猾でカキクケコであり、猫は怠惰横着でナニヌネノであり、鼠は吝嗇でタチツテトであり、牛は遅鈍でマミムメモであり、豚は愚鈍にしてバビブベボであり、鳥に於ても雀のタチツテト、鴬のハヒフヘホ、カナリヤのパピプペポ、烏のカキクケコ等、悉(ミナ)それぞれの特質があるのである。従而、彼等の物を見る眼も、その色彩は同様単一であって、赤・青・紫・黄・白等その動物によって、すべて一つの色に見へるのである。故に、色盲の原因は動物霊の再生又は憑依であって、動物の特性が眼に残存してゐる訳である。
(明日の医術 第三篇 昭和十八年十月二十三日)