私は、世界の大転換なる人類史上空前の問題の真相を説くに当って、全世界重なる国々の宿命と、夜昼転換に際会しての変化即ち興るもの、滅ぶるものゝ帰趨、即ち未来観をかくのである。
日本神道に於ては、天地は合せ鏡であるといふのであるが、之は真理である。即ち天体の構成は大地に反映し、勿論、天体の変化も大地に反映するのである。此意味によって、私は検討してみるのである。即ち日本は太陽であり、英国は月であり、米国は星であり、蘇聯は雲であり、独逸は地であり、伊太利は海であり、仏蘭西は霧である。それ等に就て大略説明してみよう。
日本は説明の要はないが、英国が月であるといふ事はその国旗が物語ってゐる。即ち旗の地色は月明の空の色であり、赤色の条が八方に通ってゐるのは、太陽の光を反映して月光が八方へ伸びてゐる形である。そうして赤条の縁に白条があるのは月自体の色を表はしてゐるといふ訳で、倫敦(ロンドン)に霧が深いのも月の都であるからである。そうして今日迄世界に覇を唱へてゐたのも、夜の世界は月が王者であるからである。
又米国の星条旗も面白いと思ふ。此国の物質が豊富なのは星の数が無数であるといふ訳である。又英国との関係も、月と星は夜の世界には共に光輝を放ってゐるからである。又天地創造説に月が分裂して星が出来たといふ事がある。之も英国人が米国に移住し、それが開拓の根本となって今日の如き大米国となったといふ訳である。
次に、蘇聯が雲であるといふ事は其国全体が雪が多いといふ事は水分が多いのであって常に陰欝である。又雲の活動は断えず一定してゐないで、或時は拡充し、或時は縮小し、白雲となり黒雲となり、実に端倪すべからざるものがある。蘇聯が東亜へ食指を動かすかとみれば忽ちにして退陣し、バルカンやスカンヂナビヤへ侵出するや忽ち今日の如く後退をするの余儀なきに到るといふ状態は実に雲の性に相似てゐるのである。
次に、独逸は地であるといふ事は、ナチスの言霊を解釈すれば能く判るのである。又独逸国で最も多く用ひられてゐる色が褐色である事で、ナチスの服色もそうであり、全く土の色を表徴してゐるのである。
又、伊太利が海といふ事は、ファッショの黒シャツが表徴してゐるのである。之は、現代人には受け入れ難い説明であるが、然し簡単に説明すれば、海王は黒色の龍であるのである(現代人は龍などといふと荒唐無稽の説と思ふので困るが、私は此龍の存在を適確に知ったのであるが、それ等を説明するには一小冊子にもなるから遺憾乍ら省く事とする)
次に、仏蘭西の霧といふ事は、独逸の地と英国の月との中間にあって、夜の世界に於ては天地の間に霧が多いといふ--その型である。故に今回仏蘭西が敗北したといふ事は、日の光に浴した独逸の為に、霧が霽(ハ)れたといふ訳である。
右によって、今次の世界大戦に当嵌めてみる時一層明かになるのである。日独伊の三国同盟は、日本即ち太陽が、大地である独逸と海である伊太利を照らす--即ち昼の世界の姿である。独逸と伊太利が切っても切れない関係にあるのは陸と海の関係であり、ヒットラー氏は夫で、ムッソリーニ氏は妻であるからである。右の如く三国同盟が昼の世界そのものであるとすれば、月の星の英米は解消しなければならない筈である。彼等が敗退に次ぐに敗退の運命を辿ってゐるのは致方ないのである。又蘇聯が彼様に敗退したといふ事は、日と地との間を遮ってゐる雲が、霽れんが為の地霊の活動即ち気圧の為にモスコー迄敗退したといふ訳である。凡ては天の時と大自然の運行によるのであって、人力の如何ともすべからざるものである。(昭和十六年十月此稿を草す)
(明日の医術 第三篇 昭和十八年十月二十三日)