日本式医術

世界各国の人種は、それぞれの特色があって、日本人は日本人、支那人は支那人、西洋人は西洋人としての違ひさがあるのである。茲では、日本人と西洋人だけに関して、説明をしてみよう。

本来、日本人は、霊が主で体が従であり、男が主で、女が従であるのである。西洋人は其反対で、体主霊従、女主男従である。之が根本をなして、不知不識の間に、衣食住は固より、風俗、習慣、道徳等が、成立ったものである。然し乍ら、茲に注意すべきは、体主霊従の総ては、永遠の存在は不可能であって、霊主体従の道は、永遠に繁栄するものである。それは、体主霊従は罪悪と闘争を生み、霊主体従は、愛と平和を生むからである。

西洋医学は、此体主霊従が基本である。それが、物質的手段に依って治癒せんとする方法になったものである。故に、外観上、日本人の体格よりも西洋人の方が、優秀に見えるのは、体的のそれが為である。従而、病気を治す場合、元来が体が主である西洋人には、物質的治療は、或程度は奏効するものである。それと反対に日本人は、霊が主である以上、体的療法は逆であるから、効果の無い事は当然である。此点を認識しない以上、西洋医学では、日本人の病気は治らないのみか、反って悪化するものである。近来、日本人の結核や近眼の激増、乳児死亡率の多き、弱体児童漸増等は、之を物語ってゐるのである。

然乍ら、体主霊従である、西洋人に霊主体従は不可ないかと言ふと、之は、そう言えないのである、森羅万象の法則は、霊主体従であるから、西洋人と雖も、之に漏るゝ事は出来ないから、効果は必ずあるのである。此故を以て、世界人類凡てを救ふ医術、それは、霊を主とする処の、日本式医術でなくてはならない。本療病術こそ、それであるのである。

(明日の医術 昭和十一年五月十五日)