健康の種類とは何であるか、私は仮に三種類に分けてみたのであります。
先づ第一種に属する人は、真の健康者であって滅多に病気には罹らない、偶々罹るとするも、放任してをけば簡単に治って了ふといふ人などであります。それは浄化力が旺盛であるから病原である毒素が、多量に堆積しない内に排除作用が行はれるからであります。
然し、斯ういふ健康体の人は年々減少する様であります。
第二種に属する人は、之は一番多いので普通健康体と謂はれる人であります。即ち風邪を引けば熱が出、喉が痛んで咳が出る。又、時々頭が痛むが直に治る。食物に中(アタ)れば下痢をするといふ様な程度であります。
此種の人は丁度健康体と弱体との中間者であって、摂生法によっては健康体にもなれば弱体にもなるといふ程度であります。
第三種に属する人は、普通病弱者と謂はれるのであって、絶へず薬餌に親しみつゝ衛生に注意はするが、健康体にもならず、といって重症にもならないといふ程度で、斯ういふ人が非常に多くなってゐるのは事実であります。此種の弱体者が近来、青年男女に多くなった事と、又激増しつゝある所謂弱体児童も此第三種である事とは、実に寒心に堪えないのであります。そうして是等の病弱者は一人前の業務を執り得ないで、廃人的生活を送る者が多いのであって、社会国家へ対し一種の負担を与へて居る訳であります。
右の三種の中、最も多数である第二種健康体の人を第一種にしなければならないのでありますが、不幸にしてどうも第三種の方へ落ちてゆく傾向のあるのはどうしたものでありませうか。それに就て吾々の研究を述べてみたいのであります。
第二種健康者が偶々病気に罹った場合、発熱苦痛等を緩和すべき療法をするのですが、此苦痛緩和療法は、実は浄化作用を停止する訳になりますから、一時は快いが、結局は病気が長引き或は悪化する結果になるのであります。それが為、益々苦痛緩和療法を行ふといふ訳で、終に第三種弱体者に陥ちて了ふのでありますが、斯うなったのはなかなか復活出来ないで、現状維持か又は不幸な結果になるのであります。 此理に由って、第一種健康者たらんとするには、どうしても浄化作用を充分徹底させなければならない。それは物質の力を借りないで自分自身の自然力即ち霊的療法で以て治す、それより外にないのであります。
(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)