肋膜及び腹膜炎

肋膜炎は医学上三種に分けられてゐる。即ち湿性及び化膿性及び乾性である。湿性は肺臓を包囲せる膜と膜との間に間隙を生じ、水即ち尿が溜るのであり、化膿性は膿が溜るか又は溜尿が時日を経て膿化せるものをいふのである。乾性は肺膜に間隙を生ずるも、液体集溜はない場合をいふが、此症状は激痛を伴ふもので、医診は肋間神経痛を誤診し乾性肋膜炎といふ場合が多いのである。肋膜炎の原因は多発性と自発性とあり前者は胸部又は背部の打撲、力業、器械体操の如き動作等によって起す事が多いが、後者は何等原因なく不知の間に起るのである。然し乍ら真の原因は、乾性を除き、何れも腎臓萎縮による余剰尿の集溜である。医療は穿孔排水又は排膿を行ふか又は利尿剤の服用を奨めるが、之等は一時的であって、一旦治癒すると雖も必ず再発するものである。肋膜炎の特徴は、呼吸が吸気長く呼気短く、多量の盗汗と多少の胸背部痛苦、眠がり、眩暈等の症状である。

腹膜炎は、肋膜炎と等しく湿性及び化膿性の二種あるが、乾性はない、勿論腸を包囲せる膜と膜とに間隙を生じ、尿又は膿が集溜するのである。原因治療其他は肋膜炎と略(ホ)ぼ同一に付略す。

(天国の福音 昭和二十二年二月五日)