此病気は、千差万別であり、大小軽重のあるのは誰も知る所であるが、之は毒素の性質その人の体質によってそれぞれ違ふのである。勿論、浄化作用であるから、自然療法で必ず治るのである。然し、医学はそれを知らないから、薬剤塗布又は光線療法等によって治さうとするが、之は実は治さない方法なのである。折角、浄化作用の為皮膚面まで集溜し、皮膚を破って排除せられんとする毒素に対し、塗布薬の毒素を塗るからそれが滲透して浄化作用を停止する。又、光線療法も浄化作用を停止するのである。
したがって、排除せられんとする毒素は、皮膚下に凝結する結果となるばかりだ。後続的に集溜せんとせし毒素の医療を受けたる部分をさけて他の新しき皮膚下に集溜するのである。然るに此際も医療を加へんか、又、他の新しき方面に集溜する。之に加ふるに、塗布薬の毒素が一旦侵透して、浄化作用によって排泄運動を起すから、病気は悪性となり、増大するのは勿論である。斯の如くして、初め一部分の小さな皮膚病が、数年もかかってつひに全身的に拡大し、非常な苦痛に悩むものは稀でないのである。此やうな経路を経たる患者及び医師諸君は、之を読んで実際と思ひ合せ、首肯し得ると思ふのである。故に、医療は此場合人を救ふにあらずして、其反対の行為をなすものであるといふ訳である。
皮膚病(医学試稿 昭和十四年)