胆臓は胆嚢ともいひ、肝臓に包まれてゐるもので、昔から肝腎要めといって、肝臓と腎臓は大切なものになっております。此外に、脾臓、膵臓などがありますが、之は病気にあまり関係がないから、省略する事と致します。丁度胆臓を心臓とすれば、肝臓は肺のやうに一つの保護的な位置になっております。医学の解釈では、腸で選り分けたものを肝臓で、血液、漿液、脂肪などに分けて、身体の方々へ送る事になっております。胆嚢の中には、胆汁があって、それを始終胃へおくり、消化を援けてゐる訳であります。
医診でよく言はれる肝臓病といふのは、実は誤りで、肝臓そのものには異状がないので、只肝臓の外部に薬毒が固結してをるのを間違へたものである。然し勿論其毒結が肝臓を圧迫してゐるので、苦痛であるのみか、之が黄疸の原因ともなるから、始末が悪いのである。勿論右の如く毒結によって、肝臓を圧迫する以上、肝臓の裏にある胆嚢も圧迫されるから、胆嚢の中にある胆汁が滲出し全身に廻る。それが黄疸である。処が黄疸は皮膚の変色ばかりの病ではなく、胃の活動をも阻害させる。といふのは胆汁は胃の消化を助ける為、絶へず輸胆管を通じて、胃に送流してゐるに拘はらず、右によって胆汁の供給が減るからである。故に此病気を本当に治すには、原因である肝臓外部の毒結を溶解し、排泄させるより外に方法はないが、医療ではそれが不可能であるから、一時的緩和法によって、小康を得るより手段はないのである。
肝臓病は、症状は肝臓部の痛苦及び糖尿病等であって、原因は肝臓の外部に溜結せる毒素の塊が圧迫してゐるので、肝臓の活動に支障を来すので、右の塊を肝臓肥大と誤診さるる事が多いのである。故に、盛んに運動をして浄化作用を起せば、患部に発熱し、喀痰又は下痢となって排泄し、治癒するのである。
胆嚢に関する病気は、黄疸、胆石病であるが、黄疸は人の知る如く全身黄色を呈し、甚しきは分泌物及び排泄物も黄色を呈し、眼球も白眼も黄色となるのである。原因は肝臓の外部へ毒素溜結して肝臓を圧迫し、肝臓の裏面にある胆嚢が圧迫され胆汁が溢出する。軽症は自然治癒で治るが重症に至っては、毒素の溜結を解消しない限り治癒し難いのである。
〔浄霊箇所〕
肝臓部、背面腎臓部
肝臓病と胆臓病(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)
肝臓病(医学試稿 昭和十四年)
胆嚢(医学試稿 昭和十四年)
肝臓、胆嚢、膀胱の結石(文明の創造 昭和二十七年)