最近西洋の某学者の唱へ出した説に、日光中には、人体に非常に良い紫外線などがある代りに又非常に悪影響を及ぼす何ものかがある、と言ふのです。大体人間は日光に晒さるべき動物ではない。日光に終日照らされるのは余りに強過ぎる訳であります。然し、働いて汗を掻きながら照らされるのは極良いので、何もしないで長時間日光に照らされるのは悪いのであります。
夜露に当るのは毒だと謂ってゐますが、私は夜露に当るのは非常に良いと思ふので、病人に夜露に当る様に言ふのであります。それは『月の霊気』も肝要だからであります。又『地霊』も非常に良いのであります。地息に触れるといふ事を昔から謂ひますが、「土の霊気」も人体に必要なのであります。従而家の中での運動よりも戸外の方がずっといい。それは地の霊気に触れるからであり、此意味に於て土弄りなどは非常に良いのであります。
要するに、太陽と月と土の霊気によって、万物は生成化育さるるのでありますから、若し日光浴をすれば、月光浴もしなくてはならない。地霊にも触れなくてはならないのであります。近来、ビルディング病といふのがありますが、あれは地霊に遠ざかる為と思ふのであります。
(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)