キリスト教

キリスト教は、キリスト生誕の時から在世中は固より、十字架に懸られる迄の凡ての事は、微に入り細に渉ってかきつくされてゐるので、今改めてかく必要はないから、私としての今迄何人もかかなかった事柄に就てのみかくに止どめておくので、読者は諒せられたいのである。

私が常にいふ如く、神は何千年に渉って、天国的文化を形成する目的の下に経と緯の経綸をされて来たのであるが、其経の経綸の代表的宗教としては仏教であり、緯の代表的宗教としてはキリスト教であった。そこで仏教に就ては既に解説して来たから、今キリスト教に移るが、緯の経綸こそ物質文化の進歩発展の基本であって、即ち科学である。今日驚くべき文化の発展は、全くキリスト教以来の世界的経綸である事は言う迄もないが、茲に於てキリストは何故生れたかといふ事や、其他の点に就て次に詳しくかいてみよう。

(文明の創造 昭和二十七年)

基督教

イエス、世界人類の為に罪を贖い救う為に生れて来たのである。イエスはユダヤ民族でイスラエルの民である。その時代ユダヤ教という教あり、其の予言に最後の世にメシヤが現われる。メシヤは救世主のことであり、キリストである。メシヤとはヘブライ語で救世主という事になる。

贖罪主
イエスをキリストでないと言う事を見破った者ありて、あれは偽のキリストであると皇帝に告げた。其の者を生かして置いたら非常なる間違いになると言う見地からイエスを磔刑にしたのである。

イエスは素盞嗚尊が以前罪を犯した為、黄泉国へやられた。その罪を赦して戴くために大きな功をたてなければならん、その贖罪をなされたのである。

それ故イエスは贖罪主である。人類の罪の代表者なのである。人類のお詫びの代行者なのである。

(昭和十年八月五日)