脳貧血

脳貧血をかいてみるが、之は脳溢血と反対であって、脳溢血は毒血が頭脳に入り、脳の血液が増へるに反し、之は脳の血液が減少の為発る病気である。では何故減少するかといふと、人体は絶へず頭脳に向って、送血されてゐるので、之が一定量なら何事もないが、其量が減ると頭脳機能の活動が鈍る。それが脳貧血である。右の如く量が減るといふ事は、頭脳へ送血する血管が、頚の周りにある毒結の圧迫によるからで、此固結を溶解しなければ治らないのは勿論である。

元来、人間の血液は、心臓に依って浄化される事は、今日迄の医学上の解釈であるが、実は、心臓ばかりで浄化するのではない、血液自体が循環運動をする、其運動其のものに由っても自然浄化をするのである。浄化の結果は、循環の速度を増すのであって、それが健康を増す事は、医学で説明の通りである。然るに、血液浄化に因って其不純物が、自然滞溜する場所があるのである。其場所は主に頸部の周囲及び肩胛部なのである。頸部一帯特に、延髄に、汚血滞溜する時は、身体より頭脳に送るべき血液通路である血管が圧迫さるるを以て、頭脳が要すべき、血液の量を送る能はず、したがって血液に不足を来すのである。

処が医学ではそれが不可能の為、一時的姑息手段をとるより致し方ないのである。斯様な訳で脳貧血の症状は頭痛、頭重、圧迫感、眩暈等で、嘔吐感を伴ふ場合もあり、本当に嘔吐する事もある。中には汽車、電車、自動車の音を聴いただけでも、眩暈や嘔吐感を催す者もある。然し之は医学でもいふ如く、割に軽い病気で心配はないが、其割に苦痛が酷いものであるから、初めの内は相当神経を悩ますものである。

此病気を知るのは最も簡単である。発病するや目を瞑り、額に油汗をかき、嘔吐感を催す等で、其際掌を額に当てて見ると、普通より冷いのでよく判るのである。そうして浄霊の場合、首の周囲を探ってみると、必ず固結があるから、そこを溶かせば間もなく快復する。普通は一週間位、重症にて二三週間もあれば、確実に全癒するのである。又発病するや枕無しで仰臥すると、頭へ血が流れるから多少の効果はある。今日最も多いとされてゐる神経衰弱も、脳貧血が原因である事は言ふ迄もない。

〔浄霊箇所〕
首の周囲、肩、頸部一帯特に延髄

脳貧血(文明の創造 昭和二十七年)
日本医学の建設(三) 脳疾患(光明世界四号 昭和十年七月二十五日)