寸鉄活人　（栄光百十五号　昭和二十六年八月一日）

今年ゃ南瓜の当り年じゃない、今年ゃ赤痢の当り年、一家心中の当り年、一家皆殺しの当り年、麻薬中毒の当り年と数えてくると成程地獄世界だね、之を天国に上げるんだから大変でも何でもない、お茶ノコサイサイ朝飯前の屁の河童さ

世の中の何を見ても嘘だらけ、田圃を見れば糞だらけ、人間を見れば黴菌だらけ、人民を見れば蛆虫だらけ、偉い人の説はカビだらけ、○○を見ればボンクラだらけ、ストリップの見物は涎だらけ、嬶は愚痴だらけ、役人はダラケ者だらけ、アレもダラケ、コレもダラケ、アー僕もダラケて来た

国連軍長い間の赤の垢を落したので、サバサバして、大分明るくなったようだが、敵は横を向いてアカンベーをしているだろうから、まだアカンよ、先づ拙者の爪の垢でも煎じて呑ませ、鼻をアカしてやろうか

結核菌、赤痢菌、チフス菌、何々菌といって菌の名のつくものを怖がっている今の世の中は、全く菌恐怖時代だね、処がもっと怖いキンがあるよ、借金、税金、損害金、賠償金、罰金、警察へ拘禁、転勤、痒い陰睾と来ちゃ、もうオシマイだ

（栄光百十五号　昭和二十六年八月一日）