著述編

栄光

今や亡びんとする日本画

私は此間目下開催中の院展竝びに青龍展を観た結果、其感想をどうしても記かずにはおれないので、茲にかいてみるのである。先ず院展であるが、会場へ入るやオヤッと思った。之は間違ったのではないか、というのは隣りに二科と行動展が開催中だからである。然し...
栄光

葡萄状鬼胎とは

昔からよく云われる異常姙娠の中には、葡萄状鬼胎といって非常に恐れられているものがある。之に就て私は以前話をした事があるが左の報告は其事実をまざまざと見せられた事で大いに参考となる。つまり蛙の卵子が原因であって、それが恰度葡萄状に繋がっている...
栄光

自由なる信仰

信仰の自由は、新憲法制度以来そうなったので、之に就ては論ずる必要はないが、私の言わんとする処は、信仰それ自体の自由である。というのは世界中大中小幾多の宗教があるが、例外なく自分の宗教は最高であり、他の宗教は必ず劣るとしているのは誰も知る処で...
栄光

美術品の集まる理由

箱根美術館を観た人は分るであろうが、容易に手に入らないような物が豊富に蒐(アツマ)っているので、驚かない者は殆んどないのである。之に就て最初からの経路をかいてみるが、先づ買始めたのが終戦直後からであった。何しろ日本は嘗てない世の中の変り方で...
栄光

医学断片集(二十二)

昔から自惚れと瘡気(カサケ)のない人はないとよく言われているが、之は満更意味のない事もない。何故なれば之は無論薬毒の事であって、今日どんな人でもそれのない人は、一人もないからである。而も想像のつかない程多量に有っている。一度病気に罹るや喀血...
栄光

調和の理論

昔からよく調和という事を言われるが、之を単に聞くだけではいゝ意味にとれ、道理の様に思われるが、実は之を丸呑みに出来ない点がある。というのは成程全然間違ってはいないが、此考え方は浅いのである。そこで之を深く堀下げてみると斯ういう事になる。抑々...
栄光

神を見せる宗教

之は今始まった事ではないが、有神論者が第三者に対って神の実在を説く場合、何程種々の例を挙げて説明しても、容易に納得出来ないのは、誰も経験する処であろうが、之は独り本教に限らず、他の如何なる宗教でもそうであるのは殆んど例外はあるまい。処で自画...
栄光

米国に於ける驚くべき病者の氾濫

下記の報告は本教信者立松文二君が、米国ノートルディム大学(カソリック系)に留学一カ年を経た最近一先づ帰朝したが、予て依頼してあった現在米国に於ける主なる病気の統計を、精査記録したものを持って来たので私は之を見るや唖然としたのである。それは余...
栄光

医学断片集(二十一) 薬と名の付くものは全部麻薬なり

今日人世は麻薬というと、非常に恐ろしいものゝように思っているが、実は薬と名の付くものは、全部麻薬である事の意味をかいてみるが、之は誰も知る如く初め麻薬を用いるや、頭脳は明晰となり、爽快感が起るので、段々癖になって了うので、之が中毒である。処...
栄光

菜食のよき例

此間奈良薬師寺の管主であり、法相宗(ホッソウシュウ)の管長である橋本凝胤(ギョウイン)師が、武者小路流の茶道の宗家官休庵師匠の案内で来られ、数時間談話を交したが、殆んど十年の知己の如く話がはずんだ末夕飯となり、共に食事をしたが、驚いた事に...