著述編

結核の正体

食欲不振と羸痩

結核患者が最も恐るるものは食欲不振である。この原因に就て詳細述べてみよう。医療は食欲を増進させようとし、消化薬の連続服用を奨めるが、これが最も悪いのである。何となれば消化薬によって一時は食欲は増進するが、それを持続するに於て、漸次胃が弱るの...
結核の正体

血痰及び喀血

結核患者が最も恐るるものに血痰がある。故に一度血痰をみるや、急に不良化する場合が往々あるのである。然るに、私が多くの経験によって知り得た所によれば、血痰は肺臓内から出るといふ事は極稀であって、大抵は肺臓以外即ち腋窩肋骨部、扁桃腺の外部の位置...
結核の正体

咳嗽と喀痰

喀痰とは、溜結毒素が発熱の為に溶解した液体毒素であり、それを吸出するポンプ作用としての咳嗽である事は曩に述べた通りである。之に就て今一層詳しく述べてみよう。抑々溜結毒素なるものは、人体如何なる局部に成立するやといふに、その原則としては神経を...
結核の正体

微熱

結核の前駆としての微熱の原因に就ては、再三述べた通りであるが、実例によって今一層詳説してみよう。結核患者が長時日の安静療法によって無熱になる事は、浄化作用が全く停止されたからである事はいふ迄もない。然るにその場合、偶々患者が精神的にか又は肉...
結核の正体

睡眠不足

睡眠不足が結核の原因となるといふ事は、何等意味をなさない解釈である事を述べてみよう。何故医学は右の如く誤ったかといふ事を想像してみるに過労と同一の考へによるのであらう。即ち再三述べた如く、人体は運動によって浄化熱が発生するものであるから、睡...
結核の正体

過労及び倦怠感

人間が運動する結果として疲労する事は誰もが知る所である。之は何故であるかといふと、激しい運動や又は普通運動にても持続する場合浄化作用が発生するからである。それが微熱であるから、疲労時を診査する場合、腎臓部、腰部又は脚部に必ず微熱をみるのであ...
結核の正体

栄養食

医学上、栄養に就ての解釈は、試験管的研究によって帰納せる所を以て、そのまゝ人間に応用してゐるのである。そうして私の研究によれば、栄養食摂取の結果として体重が殖えたり、血色が好くなったりするので是と信じてゐるのであるが、実は右の如き成果は一時...
結核の正体

感冒とは何か

吾人が社会生活をする上に於て、風邪を引かぬやうにする事の可能であるや否やを先づ考ふべきである。恐らく之は絶対不可能であらう。何となれば、風邪を引くといふ事は寒い思ひをする為とされてゐる。故に就寝の際寝衣を着替へる事、起床の際衣服に着更へる事...
結核の正体

結核と其発見法

結核発見法として現在行はれつゝある処のものは、大体ツベルクリン注射、血沈、レントゲン写真、結核菌の顕微鏡検査等の機械的方法及び微熱、咳嗽、喀痰、血痰、喀血、疲労感、倦怠感、食欲不振、羸痩(ルイソウ)等の自覚的症状によるものとである。之等に就...
結核の正体

不可解な事実

茲に私は不可解極まる事を世人に告げたいのである。それは何であるかといふと、医学に於ての研究の結果として、一般人の九十パーセント以上が、一旦結核に犯されながら知らぬ間に治癒した痕跡が、解剖によって明かにされたといふ事で、之は余程以前から確認せ...