著述編

明日の医術

六、心臓病及び高血圧

心臓病は、医学上大体狭心症、弁膜症、肥大症等に別けられてゐる。狭心症は、発作的に突如として、胸部一面激烈な痛みと圧縮感、呼吸切迫等、その苦痛は名状すべからざる程で、寔に恐るべき病気である。重症は一回の狭心症によって生命を落す事さへあるが、大...
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五、喘息

医学上、原因不明で、治癒不可能とされてゐる病気に喘息がある。之も日本人に頗る多い病気であるから、詳説してみよう。喘息は、医学に於ては二種に分けられてゐる。即ち心臓性喘息と気管支性喘息とである。即ち、前者は発作的であって、発作の起るや激しい呼...
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四、肋膜炎及び腹膜炎

肋膜炎及び腹膜炎も相当多い病気である。先づ肋膜炎から説いてみよう。此病気は医学では三種に別けられてゐる。湿性肋膜炎、化膿性肋膜炎、乾性肋膜炎である。元来肋膜炎は、肺臓を包んでゐる膜と膜との間隙に空虚が出来、そこへ水即ち尿が溜るのを湿性肋膜炎...
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三、腎臓及び糖尿病

次に、最も多い病気に腎臓病がある。之は急性と慢性とあるが、世間、腎臓病と称するものは其殆んどが慢性であって、急性は極稀である。急性の症状は、四十度前後の高熱を出し、背面腎臓部の左右両方か又は一方が激痛を伴ふのである。此場合激痛の為、腰を動か...
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二、胃疾患

日本人に最も多い病気に胃病がある。此病気は世人も知る通り種々の症状があるが最初の発病は殆んど軽症であるに拘はらず、療法や摂生の誤謬の為、漸次慢性症状となり、一進一退の経過をとりつつ、終に、悪性に移行するといふのが大部分である。 故に、一度此...
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一、扁桃腺炎、盲腸炎、手術

現代医学の診断に於て、誤謬の頗る多い事は、多数の患者を取扱はれた経験豊富の医家はよく知ってゐる筈である。何よりも医科大学に於て、診断と解剖の結果とを照合してみれば、思半ばに過ぎるであらう。先づそれ等に就て、事実によって順次解説してみよう。近...
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病患と医学の誤謬

西洋医学に於ける根本的誤謬は、事実を基礎として理論的には充分説いたつもりであるが、猶重なる病気に対し、実證的に検討してみよう。(明日の医術 第二篇 昭和十七年九月二十八日)
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鍼灸療法

近来、一時頽(スタ)れたかにみえた灸療法が復活し、相当の流行を見るに至った事は周知の事実である。之は全く西洋医学の無力に起因する事は勿論であるが、之に就て私は説明してみよう。之は病原である毒素溜結に対し、皮膚の火傷によって毒素を誘導するので...
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既存療法

病気治療の方法として、今日行はれてゐる種々の療法に就て一通り解説してみよう。先づ、西洋医学に於ける治療法は、薬剤其他の方法を以て、浄化作用停止である事は、読者は最早充分諒解されたであらう。然し、未だ言ひ残した事があるから今少しく述べてみよう...
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冷及び便秘

冷の原因は、局部的発熱又は局部的毒素溜結の為である。多くは腰、下腹部、脚部、足の指先等であるが、それ等局所に滞溜する毒素の浄化作用の発熱によっての局部的悪寒なのである。然るに、全身的悪寒の場合は悪寒として感ずると同じ意味に於て、局部的の場合...