私はいつも思ってゐるのは、医学では人間と動物とを別々にしており、一方は獣医といって別の科目になってゐるが、之も滑稽である。何故なれば、生物としては上等と下等だけの違ひで、外は大体同じやうになってゐる。故に人間の病気と動物の病気とは、同一方法で治る訳である。それを区別するといふ事は、全く生物の本質が分ってゐないからである。之に就て一つ言ひたい事は、よくインテリの人達などは、宗教で病気の治るのは、信ずるといふ精神的の為であって、本当に治すには科学より外にないといふが、此実例でその説は一たまりもなくブチ壊れた訳である。
何故なれば、豚には精神的要素は全然ないからである。としたら此批評を是非訊きたいものである。之に就いて近来ヤレ牛の結核だとか、豚の病気の為、多数斃死(ヘイシ)し、農家は損害を受けるので、当局は躍起となって予防に大童になってゐるが、何の効果のないのは知る通りである。としたら、人間は何だ彼んだ文句をいって浄霊を受けないが、動物なら素直に受ける以上、日本から之等の動物全部を健康にするには、敢て難しい事はない。若しそうなるとしたら、国家の利益は甚大なものがあろう。処が遺憾な事には、之が科学の発見ならば、忽ち広まるであろうが、宗教なるが故に容易ではないであろう。愚かなる者よ、汝の名は現代人といひたい位である。
家畜(豚)の腹より蛔虫続出
(本文省略)
(医学革命の書 附録(おかげ批判) 昭和二十八年)