序論

人類は今日まで実に恐るべき過誤を犯して来た。恐らく之程大きな誤算はあるまい。それは何かといふと医学である。何しろ人間にとっての最も貴重なる生命を、保持するものとしての重要な存在であるからである。然るに之が前記の如しとすれば、之以上の大問題はあるまい。従って現在文化の素晴しい進歩によって、人間に与えられてゐる処の、礼讃し感謝しても尽し切れない程の福祉も、此医学によってその功績を抹殺しても、尚余りある位である。処が之程の誤りを今日迄気付かなかったといふ事は、実に不可解というべきである。処が神の大愛はいつまでもそれを許される筈はない。茲に医学の蒙を啓くべく、断乎としてその手段を執られ始めた。即ち医学の革命である。

昔から革命と名の付くものは幾度かあったが、それは一国家、一民族、若くは一時代、一思想といったやうに限られてゐたが、今私が行はんとする此医学革命に至っては、全人類の生命を永遠に救うという、その福祉の大きい事は、破天荒といっていいか、画期的といっていいか、言葉では現はす事は不可能であろう。要するに神は全人類苦悩の根本である医学の過誤に目醒めさせるべく、私に対しそれに必要な智慧と力を与へられたのであって、此事こそ真理の具現であり、救ひの基本的条件である。処が人類は何千年間に亘って真理を知らなかった。否神は或事情によって知らせなかったのである。併し愈々天の時到って茲に真理を知らせ、文明転換といふ史上空前の偉業を開幕されたのである。之こそキリストの曰った“世の終り”であり、“最後の審判”であり、世界的大清算である。此時に際して、神の大慈悲は今や此渦中に巻込まれ、溺れんとする最大多数の生命を救はんとするのである。勿論此大清算こそ、既成文明の欠陥を明かにし、真の文明のあり方を教へ、神の大目的たる理想世界を実現せられるのである。之もキリストの曰った“天国”、釈尊の曰った“彌勒の世”、本教のモットーである“病貧争絶無の世界”であり、その根本こそ何といっても人類から病を無くす事である。

以上の如く私は、古往今来夢想だもしなかった大胆極まる宣言をするのであって、之は神言である以上、一点の誤りはないのである。此意味に於て本著を精読するや、茲に豁然として目覚むるであらう。

(医学革命の書 昭和二十八年)