私は常に科学迷信を戒めてゐるが、恐らく今日の世の中で、そんな事をいふ人は一人もないであろう。事程それ自体がそれを物語ってゐる。成程科学は結構であり、有り難いものであるのは分りきっているが、其反面又飛んでもない罪を犯している事も見逃せないのである。
現代人は可い面のみを見て悪い面に気が付かないのは、全く科学が迷信化した為といへよう。科学で成程人事百般解決出来るものと、科学で解決出来ないものとの差別ある事に気付かないのが現代文明の根本的欠陥であって、それをハッキリ分らせるのが現代の悩みを救う最重要な点である。
それに就て私は出来るだけ分り易く説いてみるが、先づ人間生活に関した有形無形の凡ゆるものを一纒めにして、横に線を引いてみる。そうして線から下のものは下級の存在とし、上のものを上級の存在として別けてみると、勿論下は科学で解決が出来、上は科学では解決出来ないのである。即ち下としては、政治、経済、芸術等の物質面であり、上は宗教、哲学、思想、医学、特殊芸術等であるのである。此様に分けられて、夫々の進歩発展を促す事こそ、真の文化のあり方であって、之によって、平和幸福な社会が生まれるのが当然である。
処が此分り切った理屈が、今日まで分らなかったのである。といふのはそこまで文化が進んでゐなかったからであって、其原因としては十九世紀以来の、驚異的唯物科学の進歩によって、人々は眩惑されて了い、右の線など全然気が付かず、遮二無二何でも彼んでも科学さへ進歩させれば解決出来るものと思ひ込んで了った結果、不知不識科学は迷信化したのである。
それが為科学の枠から逸脱して了い、一切は科学で解決出来るものとして、変態的進歩の迷路に入り込んで了ったのである。其結果現在プラスよりもマイナスの方が多いに拘はらず、それに気がつかない結果、病苦、悪思想、貧困、社会混乱、戦争の恐怖等々宛然生地獄といっていい世界である。
茲に於て神の大愛は、之を救うべく私という者を選び其衝に当らせ給うたのである。之を端的にいへば、人類は今以て野蛮未開人的分子が相当残ってをり、つまり半文明半野蛮時代から脱却されないのである。此意に於て私の仕事は此野蛮性を除去し、純粋な真の文明を創造するのである。勿論その根本としては、科学の迷信分子を悉く指摘し、特に識者の覚醒を促すのである。といっても単なる理屈だけでは駄目であるから、事実を以て分らせるのである。
現在私は驚くべき奇蹟を表はしつつあるのがそれであって、人々は驚嘆しつつあるが、之は科学が幼稚だからであって、其原因が分らないからで、分ってみれば奇蹟でも何でもない。あり得べき事実を、あり得るやうにしたからである。ツマリ之が真の文化であり、合理的であるからである。
以上によって現代科学にある迷信分子が、ハッキリ分ったであろう。従って此科学迷信を分らせる、それが我救世教であって、而もその方法たるや学校教育などと違って、実に簡単にして短時日に会得される、という理想的文化教育である。