御講話 （昭和十年九月二十一日）

最近の講話会の晩はよく雨がふる。以前は斯ういふ事は殆んどなかった。之は大変面白い事で、だんだん信者が増えたんで、お天気ですと入り切れなくなるから、調節してくれるものと思ひます。それで雨だと丁度一杯になる。お天気だと一杯入り切れぬ。雨が降っても聞きに行かうといふ人は熱心な方で、そういふ方こそ、いい話を沢山聞かれるといふ事になります。大変よりぬきの方達が集られる訳であります。

此前もお話した通り、来月一日に私の家だけ玉川へ越しますが、何れはあっちへ道場が出来る。之は未だ相当月日が経ってからですから、やはりそれ迄は此所を本部として活動する訳でありますから、一日に越しますが、お祭りもいつもの通りにして、私も参ってするつもりです。序での方やあっちの方面の方は、どこかと知り度い方も沢山ありませうから、彼処へ絵図をかいておきましたから、よく御覧なすって下さればいい。非常に判りいい所です。

玉川の因縁に就て、少しばかりお話致します。前にも話した通り、玉は五画で川が三画で五三となります。又、玉といふ字は上下が天地で、真中は十の字で、天地を結ぶといふ字で、天地の結ばれるのが玉で、或は天地人三才を結ばすといふ意味にもなる。そして丶之は神様といふ事にもなる。丶が上へのると主といふ字になる。そういふ意味と、玉が日本、川が外国、玉は魂、又、カワは外部、゛を打てばガワ、即ち側です。皮膚などもカワといひ、とりまくものをガワといふ。又、玉は真で、玉川といふのは、日本と外国といふ事にもなる。又、五三は伊都能売で、麹町本部は日本の経綸といふ訳で、それで東京の真中にある。

それで、玉川は日本と外国と両方の経綸になる。丁度玉川のすぐ向側が神奈川になり、神奈川県は外国の型になる。川から此方が日本の型になる。丁度今度の家は外国と日本の間五と三の丁度間になる訳であります。ですから、あっちへ行くと、霊体両方完全の働きになるから、非常に発展する。いづれは川向ふへも一ケ所出来る。之は全然外国の経綸で、川向ふへ出来るのは、未だどう出来るか判らぬが、恐らく西洋造りの家で、お宮だけ日本造りで、後は西洋造りで、今度は日本と外国を結んだ真中に、丁度なるから、あの家をもってた人は田といふ名です。田は○に十の字の象形文字、○は世界、十は経緯結ぶ形であります。

外国は三五です。三は体、五は霊で、体が上で霊が下になる故外国で、体霊であります。日本は霊体、五が上で三が下、霊主体従ですから五三となる。

体霊、霊体両方結ぶのが十の字ですから、今度は霊体一致といふ事になる。三五は三五の月といふ様に月で、五三は日で、どっちも日であって月であります。又月であり日であり、三五は月が上で、日が下ですが、日本は霊主体従、外国が体主霊従で月が上日が下、日月相結んで伊都能売又は観音であります。

そういふ具合に、玉川といふ川の名をつける時に、神様はちゃんとなさってあるのであります。高天原といふ事を詰めるとタマになる。タカアマハラは皆ア行、玉川はやはりア行でアの働き、之は天の働き、地の形もその通りになってゐる。そういふ様に前から神様の方では準備してあるんです。それを時が来てそうするだけのもので、人間がやってゐるんでない事が実によく判る。

今度東京が広くなったんで、やはり玉川も世田ケ谷区で、東京市になった。私が生れたのが隅田川のほとりで、東の端で、今度の玉川もやはり東京の端になってゐる。之も余程面白いと思ふ。又、川縁から川縁の東から西に来たのですから－－。

最近発行した観音運動といふ宣伝用の小冊子、之は随分変った事が書いてある。予備知識があればそうでもないが、初めて読んだ方は吃驚する。二三の批判を言へば、此岡田仁斎といふ人は葦原将軍みたいな人じゃないかといふ人、要するに誇大妄想狂だといふのです。私は葦原将軍よりもっと大きい誇大妄想だといったのです。

又、或る有名な坊さんに本を奨めに行った人に言った事は、阿彌陀や基督は非常に間違ってゐる事が書いてある。それは怪しからん、そんな事を一寸でも言はふものなら、無間地獄へ落ちるといったそうです。で、私は何と答へたかと聞くと、どうもその返事の仕様がまづかったんで、こう答へたらいいといった。実はキリストや阿彌陀が無間地獄へ落ちるんで、今度観音様がそれを救はれるんだといったのです。

何故ならキリストも釈迦も斯ういふ世界、ミロクの世、天国が出来るといって予言して、手形を発行しただけで、一つとして実現出来なかったのは、人類を欺した事になる。手形を発行した限り決済しない訳になる。人間社会でも手形を不渡にすれば破産する訳です。それでキリストも釈迦も破産する訳で、それを破産せぬやうに、観音様が私を使ってするから有難く思はなければならん位で、そういふと反って本当に出来難からふと、あの本も非常に小さく言ってある。

あの本にある如く、丁度徳川時代の人間に、飛行機やラジオの説明をするやうなもので、実際宣言中にそうかいてあります。吾々の方へ来る病人は、散々に医者や薬や、いろんな事で手古づってゐるから、治すのに二倍三倍の治病力を要するにも係らず、六、七十％は治るんであります。実は六、七十％所じゃない九十％は大丈夫で、或は九十五％行ってるかもしれぬ。百％迄行かぬともいへない。医者などでは西洋医学が間違ってゐる為に百％まで行かぬ訳であります。

所が九十％といへば無論インチキといはれる。六、七十％といへばやゝ信ずるといふので嘘を言った訳であります。観音力によれば、病人は三分の一になるとありますが、あれも加減してあるのです。無論五分の一位に減る。然し、そうすると葦原将軍以上にされるから、小さく言ったのです。実際馬鹿々々しい話だが、今はそうするより仕様がない。

どんな事を言ってもあの冊子を読めば、どこか引付けられる事があるやうにかいてある。ですから、一冊でも一人でも余計に読ます、それが一番で、それによって一つの種を蒔くのです。活字で種を蒔くのは非常に力のあるもので、今生長の家で本を読めば病気が治ると広告してゐるが、今夜深川の或寺で人の道・生長の家・仏教の幹部有力者等の座談会があり、清水さんを遣ったんですが、きっと何か面白い事を聞いて来るでせう。

本を読めば病気が治るといってゐるが、あれは私の方で観音運動を読んでも治る。私の方では本を読んで病気が治るといった人があるからやらない。大本では非常に之をやってゐる。大本は霊界物語といふ本があって、どんな病気でも、誰でも病人に読んで聞かせ、又自分が読んでも治るといってゐます。谷口さんは大本にゐたから、それを真似したものと思ふ。

甚だ問題になってゐる神想観は、大本の鎮魂帰神と同じ様なものですから、之は大本教は下手で、谷口氏は非常に上手に宣伝したものです。その為にあゝいふ具合に天下へ知れたものと思ふ。丁度売薬のわかもとなどを拡めて行ったやうなものです。然し、そうはいふものの「生長の家」のやってる事は、大変いいと思ふ。大体インテリ層を掴えてやってゐる。

観音会でやるのはインテリをつかまえる事は下手で、観音会は誠の人を、インテリでも正しいインテリ、又、インテリでなくとも誠の人、此世の中を憤慨して正しい善の栄える世を造らねばならぬといふ、そういふ人を集める。誠意のある人を集めやうとしてゐる。誠のインテリの人を集める。

所が、学問のある人は霊を無視する。唯物思想に捉はれ切ってゐる。斯ういふ人に霊が判れば大変結構で、西洋医学によって皆苦しんでゐる事も、唯物主義の一つの弊害が出てゐる。それを打砕くのに生長の家の行り方は非常にいい。インテリに向って霊といふ事をといてゐる。心が本体で肉体や物質はないといふ。如何に霊を主にしてゐるかが判る。公平に観れば錯覚を起さすものといへるが、之により霊魂を悟る。

人の道なども、お振替などと贖罪してゐるが、あれも霊を知らす一つの方法で、人の道は霊を知らすので薬など断ってる。仏教などは病院など建てるが、人の道や生長の家は病院などは建てない。あれは大変いいと思ふ。それ故、今宣伝してゐるやうに霊といふ事を主張してくれると、観音運動はやりいい、露払ひをしてくれるものと、私は大いに賛成してゐる。

今日からお彼岸の入りですが、お彼岸といふ事については、未だ本当に解釈されてゐないやうですが、観音様から知らされましたからお話さしていたゞきます。

今迄の世界は、霊的か体的かどっちか一つしかなかった。霊体一致といふ文明は出来なかった。之は観音会がやるので、これからすべてそういふ様に現はれてくる。東洋は霊的偏重の結果、物質否定とか禁欲主義になり、その為亡国的となる。即ち地獄的国になる。西洋は体的に傾き、欧羅巴はあの通り地獄的惨状を現はした。

要するに極端で、右か左か、赤化かファッショかどっちかになった。之を真中即ち両方を調和した文明、之が理想的の社会の文明で、それを観音会がやる。丁度彼岸は寒暑調和の時です。今迄は火と水ですが、観音会は湯であって、暑からず寒からず、丁度いい。そういふ気候からいふので、彼岸は暑からず寒からず、丁度暑さ寒さの間になってゐる。それで暑さ寒さも彼岸からといひます。

斯ういふ暑からず寒からずといふ世界が伊都能売式で、之が最後の目的だといふ意味です。彼岸は彼方の岸ですから、その意味で出来たものであります。此間の最後の講座で、病気の事につき心臓と肺臓と胃の関係につき話しましたが、それは急いだから、その点徹底しない話方があったか知れませんが、観音力の療法は霊的療法ですが、所が、今迄は心臓が非常に無視されてゐる。

貝原益軒の養生訓といふ本があり、一寸読んでみたんですが、漢法の方からいふと胃を根本としてある。之は大変面白いと思ふ。そして、西洋医学は肺を一番重要視してゐる。ですから、漢法は食物の養生を重んじ、菜葉、葱、紫蘇(ｼｿ)等の食物のいろんな薬のあるものをかいてある。西洋医学では空気を重要視し、病気は転地などを主張してゐる。それは胃と肺へ対しては洵によく言ってあるが、心臓に対しては何にも言ってない。

之を新たに発見したのが観音力療法で、肺は月、心臓は火、胃が土といふ話をしましたが、胃は土ですから七で、肺は水で六、心臓は五で、やはり五六七になってゐる。所が、心臓は五で観音様といふ事で、観音様はあっても今迄出ぬ。隠れてゐた。その為に五が隠されてゐた。

実は五が主で、心臓は霊気を吸ふ。太陽の霊気を主として吸ふ。根本は太陽の霊気を吸ふにある。斯事も血が浄化される。きれいになれば凡ゆる病気は治る。それを知れば空気中に酸素があれば、それで血が浄化されると思ってゐるが、心臓が絶えず霊気を吸収して血が綺麗になる。之が本当の心臓の働き及び霊気で、今迄未発見のものだったが、今度私が発見した。

要するに霊気が一番重要な役目になってゐる。要するに、観音力の療法は霊気療法で、世間にも霊気療法はあるが、本当の事は知らない。霊気も人間の霊界じゃない。太陽を主とした月も交った霊気です。

で、観音力でするにも無論霊気は出てゐる。それで血が浄化してゐる。空気のいい所へ行かうとするのは旧時代の療法で、今度はいゝ霊気のある所へ行き養生するのです。いゝ霊気のある所はどこかといへば、観音様より外にはない。外にも多少あるが極弱い。

月の霊気もある。寧ろ月の霊気は違ふ。太陽の霊気は放射する霊気、月の霊気は汚いものを洗う贖罪的のもので、之は限りがある。即ち水の方には限りがある。日の方は無限でいくらでも燃える。浄化される。その霊気は何処から発生するかといふと、観音様から発する。それで観音様を祭ると病気が無くなる。といふのは、それで祭ると心持がよい。

霊気を発する。それによって絶えず霊気を発して浄化される。元々、浄化療法とか浄血療法とかいっても、健康の根本は霊気を浄化するのが根本で、空気のいい所へ行っても肺で死ぬ人は沢山にある。東京から相当離れた空気のいい所へ行って、相当の効果はあっても、絶対にすばらしい効果は得られない。又空気のいい所に居て肺病にならぬとは限らぬ。

観音会で発表した霊気は、空気より何十倍何百倍いいもので、空気だの紫外線など言ってゐても、未だ観音力の光の本体は科学で発見されず判ってゐない。今に時機が来れば、科学的にも実験するつもりです。黴菌を殺す事、浄血する事、膿が浄化する事など、科学的に実験研究などしやうと思ってゐる。