御講話 （昭和十年九月一日）

或年寄りの婦人ですが、夜中に目がさめて枕元を見たら鏡がおいてある。誰が置いたのかなと、フト手にとってみると、中(ﾁｭｳ)の御守だったのです。その人は少し具合がわるいと、中の御守をかけ、寝る時はいつも枕元へ置く。で、その枕元に置いた御守が、キラキラ光るので鏡と間違え、手にとってみると「中」の御守だったので、面白い事です。

その位御守から光明が、絶えず本当に出てゐるんです。それで病気が治るんであります。

最近の新聞に三つの記事がのってをり、不断吾々が主張してる事です。

斯ういふ次第で、実際検べた結果で、驚いたんであります。

それで世間をみると、どうしても高等教育を受けさせなければならぬと、ひと工面してでも、親は無理算段して大学を卒業さす実例をよくみる。之は或程度まで違ってると思ふ事がよくある。

社会でヒットラーとかムッソリーニとか、あゝいふ人や大発明をする人は、殆んど規則だった学問をしてゐない。ヱジソンやマルコニー、あゝいふ人達の伝記をみてもそうで、事業家の大成功者などもみなそうです。

平凡な人間なら、学校教育をさすのもよからふが、少し出来ると思ったら、学校教育をさせない方がよいと思ふのです。この点が今の社会は間違ってゐる。どういふ訳かと疑問を受けますが、高等教育を受ければ受ける程理屈に捉はれる。世の中の事何でも理屈つける。所が世の中は理屈に合はない。二二が四とか、二五十といふやうにはならぬ。二二が五、二二が八といふやうになる場合が多い。

吾々が病気を治す場合も理屈ではない。だから不思議です。ですから、話しても先方が信じない。そういふ理屈はないといふ。事実よりも理屈に重きをおく。治る理屈はない。そういふ事になってゐる。

学問が進む程理屈が主になってゐる。もし理屈に物事が合ふものなら、学者や統計家は大成功をしなければならぬ。理屈や道理が本当なら、天気予報でも当る訳です。又、経済学者が相場やれば儲かる訳です。むしろ理屈とは反対にゆく。之は一種の哲学的ですが、然らば何を標準とするかといふと、事実をみればいい。事実より絶対のものはない。

－－○－－

近頃新興宗教を非常に貶(ｹﾅ)す。それは有識者に多い。理屈に合はないからだといふ。基督教や仏教は理屈に合ってるといふ。

病気は新興宗教の方が治るんで、屁理屈のやうなものを見付けて誤魔化す。それで今日の世の中は、あまりに理屈が多過ぎる。此理屈によってやる為に、社会はどの位失敗をしてゐるかしれぬ。事実を度外視して理屈に走ってる。（新聞読む）

之によってみると、小石川の小学校の子供の約半数は、結核の素質があるといふ事で、大変な問題になってをり、一方に又、年々日本人が細くなる。此本当の原因が当局では気がつかぬ。此原因は観音会より外に知るものはないでせう。

この第一原因は、子供の時から弱くなってゐる。いろいろな原因もあるが、重要な点は子供を牛乳で育てる事で、第二は薬を服ます事です。先に話したが、薬を服む位わるい事はない。薬を服んだだけで弱くなる。近頃は益々薬をのむ。新聞広告は殆んど薬であります。薬と化粧品の広告が一番多い。之は薬を非常に服むといふ事と、御婦人がお顔に金をかけるといふ顕著な事実です。

お化粧は結構ですが、然し薬の広告に至っては、薬を服めばのむ程大体弱くなる。実際の結果は斯くの如く表はれる。赤ん坊など薬を服ますと発育が停止する。ですから、観音会へ入りお薬をやめ、体へ薬を入れぬから、益々年々丈夫になってゆく。寧ろ当局が医学を徹底させず、もっと医学を発達させなかったら薬を服まさなくていい。

も一つ子供を早く教育させすぎる。幼稚園など極わるい。大変間違ってゐる。鼻から提灯出したり、昔なら棒を持って蜻蛉を追ってる頃に教育をする。それは実際無理で可哀相だ。学校へ行く以上は、出来がよいやう努力する。善良な意味によって親が勉強させる。それで子供はのんびり育たぬ。

此頃の小さい子供は、みな眼鏡をかけてゐる。昔は眼鏡などは老人しかかけなかった。今は子供がかけてゐる。之も子供として眼を使ひすぎる。も一つは、肉食をするからであります。西洋文化により肉食し、薬剤服用して、早期の教育する事になった。之で人間が弱る。之をやめればもっとずっと健康になる。国家でそういふ点に気づかぬといふ事も、学理に捉はれ、学理以外のものにはナカナカ判らぬ。何でもかんでも学理に合はすからいけない。

すべて学理に合ふものと合はぬものとある。一番合はぬのは人間の心で、人間と天気など斯うすればいい、あゝすればいいといふ理屈は知りぬいてゐて、その通り出来るものでない。人間の健康など理屈に合ふものなら、病人はなくなるはずです。それをお医者は学理に合して取扱ふ。

先に私は歯医者にかかった。医者は歯へ薬をつめた。所が、それを詰めてから非常に痛い。あまり痛むからとってくれといったら、痛いのは学理上からいって痛む訳はない。それは変だといふのです。も一遍明日来いといはれ、翌日行くと、独逸の歯科の本を検べてみたけれど、そういふ事は学理にないといふのです。

二、三日経ってもちっともよくないので、外のお医者へ行った。そして除ってもらったのです。すると大分痛みが去り、よくなった事があります。私はその時分歯で非常になやんだ。そして、終には帝大の歯科から、飯田橋の歯科医学専門へも行ったんですが治らない。いくども自殺しやうと思ったか判らぬ。薬をつけると一、二時間はいいから薬で治ると思ったのですから、方々の歯医者にかかりあらゆる知ってる薬をつけた。

最後に米国から友達が帰ったので、新薬を何かもってる事だらうと思って、之をのましても治らねば仕方ないといふのでも呑み、又も一つのんで結局痛みはとれない。そしてドクトルにかかった。所が、痛みはあるが学理上からいって治ってゐる訳だといふのです。その時実に之は可笑しいと思った。そのうちに仕様がなくて神信心を始めた。

そして、日蓮宗の行者のとこへ行き御祈祷を頼んだら、一週間で治るといふのです。そして、その間は医者へ行ってはいかんといふ。それで薬もつけず三日位経つと痛まぬ。そこで之は薬の為に痛んだんだといふ事が判った。それで毎日水で含嗽をした。私が薬の中毒といふ事はそれが元で知った。やはり今考へると、観音様からその時に知らされたのに違ひない。ですから、人間が研究した学則では、到底判らぬといふ事は間違ひない。

我々の愛する日本、日本人が子供は弱いものばかり、大人は病人だらけになってるといふ事は大問題であります。

之は観音運動によって目覚めさすより仕様がない。どうしても観音会が日本人を助けるより仕様がない。いづれパンフレットを出しますが、之は相当パンフレット以上のもので、九十頁位のものですが、価も十銭を出ない。今月の半頃までに出来る筈ですが、之にそういふ間違った事が沢山出てをりますから、出来るだけ方々へ間配られたいと思ふのです。早々沢山間配られたい。

日本人が今の様にヒョロヒョロでは仕方がない。先づ頑健な身体を造り、健康な精神にせねばならぬ。健康な精神は健康な人間を造るといふのが本当で、健康な魂を造るのは、本当の意味の宗教的に目覚める事で、観音運動は一方に宗教的に目覚めさせなければならぬ。体的の事は医術で行き、要するに霊体を救ふ事であります。

次にヨーロッパ方面の事に就て話しますが、此一日二日の新聞やラジオをみると、いよいよイタリーとヱチオピアは、どうしても戦ふ事になって了った。戦はなくてもすむとは思えぬ。どうしても戦はなければならぬ形勢と定って来ました。問題は英、伊、之が戦ふか否やで、戦ふとすれば如何いふ結果になるか、之は誰も知りたい事ですが、之につき面白い話があります。

第二の世界戦争の型は、小さな型で昨年見せられたのであります。それは非常に面白いと思ひますが、先づそうならなければならない。先づ伊太利とヱチオピアの戦争の型が出てゐる。その戦を実行された方が観音会に五、六人あり、その当時誰がフランスの型、誰がイタリーの型してるなどと言ってゐたんです。

それによると、最初伊ヱが戦って、間もなく英国と戦ふ。その結果英国は非常に弱る。之が案外で、それからどうなるかといふと、一寸複雑してゐますが、ロシヤが非常に野心を起す。そして此機会に乗じて、一つ世界的大博奕を打たうといふ陰謀を起す。そして、各国のむしろ弱小国などへ向って、いろいろな事して働きかける。

その結果或程度まで弱国の援助を得て、英国いぢめの提議をする。それで英国は之で非常に困るやうになり、それに仏蘭西が巻添をくふ。そこで英仏を向ふへ廻して、ロシヤは大々的活躍をし、ドイツがロシヤと握手する。それは極僅かの間する。丁度ロシヤを支持する形をみせる。その時に日本もちょいちょい手を出す。そこでロシヤは、実は英国と日本をやっつける手段をとる。

けれども日本は、相当に驚かふが確信はもってゐる。そのうちに英仏はコッピドイ目に合ふ。そして英国は、殆んど没落状態になる。皇帝は退位されるし、実にお気の毒な結果になる。それに対し、米国は多少相談はしても、殆んど中立関係をもち形勢をみてゐる。仏蘭西は一時非常にひどい目にあふが、立直って又元の通りになる。

ドイツは其後日本と同盟して、イタリーも日本に接近して、ドイツ・イタリー・日本の一種の同盟的関係が出来る。そして、一時ロシヤは世界を圧服の気勢をみせるが、それは一寸の間で、ロシヤに内乱が起る。そして丁度革命のやうなもので、世界を威圧しやうとするのが大失敗に帰し、最後にへとへとになり、僅かにロシヤは形骸を残す位になる。

そして、英国を大体伊太利が妙な具合に英国を統治する事になる。そして、ローマ法王が英国へ行く。一時的ですが英国の治安の上に立つ。然し法王も治め得ず、英国を治める人がなくなる。イタリーがどうする事も出来ぬ。それで宗教的人物を据えやうといふので、ローマ法王を据える事になる型が出た。

この結果日本はすばらしくよくなる。そして日本の今迄の政策は一変して、今迄殆んど外国文明を取入れてゐたのが、純然たるすべて日本的になる。其時日本式に政治・経済すべてがなる。

そして馬鹿に日本が良くなって、世界統一の活動となるといふ、予言をする訳ではない、そういふ型が出たんであります。型といふものは、ナカナカ馬鹿に出来ないもので、神様がやられる型の解釈が合ってをれば、その通りになります。

神様の経綸は、今神様が自由自在にやってをられるのをみると、虚々実々、延びたり縮んだり、大きくなったり小さくなったり、いろいろになるんでありますが、大体はそういふ経路で、英国は滅びる位に悲惨な事になる。之が観音様の大経綸であります。

大体英国が世界を統一してゐる。英語が世界的に使用されてゐるだけでもそうで、どうしても英国が没落しなければいけない。英国が今日世界一となったのは覇道で、武力又は強力をもってやった結果で本当ではない。いつかは清算されなければならぬ。事実今迄ペテンやインチキであゝなった。

欧洲戦争の時、もし英国が勝てば印度を委任統治にするといって、勝ったのに英は実行しなかったので、印度では大会を開いた事があり、何万人も集った所へ機関銃をもって射殺した。死者五千人あったといふ事で、一遍にその運動はやめ、それからガンヂーが出たが、行動的な事があるなしに係らず出来ない。無抵抗的反対をしてゐる。

英国のやった事は実に惨虐なもので、神様が赦さぬ。又、オーストラリヤを奪った時も、実に惨虐な事をしてやった。ですから、之から欧洲に大きい事が始まるが、それは皆英国没落の為の動きであります。

結局最後には、日本は非常に良くなる。一時ロシヤが暴れる時は、心胆を寒からしめる事がある事になってをります。