いろいろ御神徳談がありまして、大変面白く聞いたんですが、今迄の宗教は相当奇蹟や御神徳はあった。あったからして相当の発展をしたんであります。所が、その教祖とか開祖とかいふものが、在世中は相当の奇蹟や神徳があったんであります。其後又教祖が亡くなったりなどすると、段々御神徳が薄くなって来る。そうして終になくなるといふやうな形をとって来た。
どの宗教を見ても開教当時が一番御神徳があった。所が観音会は反対なんであります。
今迄の宗教は月の救ひで、その形体をとって進みますが、段々進むに従って反対の形をとる。在来云ふ西から東へ向っていった。
今度は東から西の方へ照らしてゆくんで反対になる。従って之が観音力、観音会の御神徳が、反対に大きくなる訳で、まだまだ時期が進めば大きくなるので、之だけの御神徳で驚いてゐては、先で間誤付く事になる。今に病気など即座に治る事になるから、そのつもりでないと、あわてるやうな事が起るといけません。
所で、斯ういふ事をよく言ひます。之は仏教に多いんでありますが、現当利益は低級宗教だといふ。真理化運動の友松円諦など盛んにそういふ事をいふ。要するに低級信仰--一寸聞くと成程と思へますが、一歩入って考へてみると、反って反対であります。
何となれば、指導階級即ち社会の上層に立ってゐる人達こそ、非常にいろいろな現当利益が欲しい人ばかりです。何となれば、地位や名誉や金などおそろしく現当利益がほしいから上流に立ってゐる。そして、現当利益に重きをおかぬ人は下流に立ってゐる。
で、観音様の信仰は、徹頭徹尾現当利益を主としてゐる。
どんな偉い人でも、死んでからの御利益が有難い。現世では不幸だといって、それを有難がってゐる人はない。もし、現当利益のほしくない人に金をやったとすれば、涙流して喜ぶでせう。
未来の有難い事をとく宗教も、金がなかったらその宣伝も出来ない。既成宗教の仏教などは現当利益は低級といふが、私が考へるには、それは現当利益がやれぬ。与へたくとも与へられないから、止むを得ずそういふのです。あの人達は病気とか貧乏とかいはれるやうな、そういふものに超越して安心する。
それが宗教の価値だと説いてゐる。どんなに宗教に徹底しても、病気に悩み苦しむのを超越する人は、一人か二人位しかないでせう。私自身でも病気に超越出来ない。金はたんまり入った方がいい。
その方が仕事が出来、人を救ふ事が出来るが、金がなかったら今日資本主義の社会に立って行けぬ。魔法使ひでも出来ない。今日の法律に触れ、規則に違反してもやれる人はないが、法律にふれぬ範囲に於て入用な金がなくては出来ない。いくら聖者でも法律は曲げられず、金なくして仕事出来ぬ。
それ故現当利益こそ、人を救ふ唯一の道であり、現当利益を与えられぬ神仏なら、何で未来が救えるもんでない。未来が救えれば現在も救える訳になる。又現在が救えれば未来も救える。
ですから、そういふやうな事を言ってる人こそ、実に低級極まると思ふ。私は今に低級宗教だといふ人に皆金を上げるが、それを断ったらそれは偉い人であります。私は松岡洋右氏は偉いと思ったが、今度満鉄の総裁になったんでオヤオヤと思った。
天下の形勢をみて満鉄総裁を唯々諾々と頂戴した。彼の人は特別偉い人ですが、その人でさへあゝいふ地位、名誉には屈する。いくら低級だと威張っても、丸いものみせれば問題ないわけであります。
暫く時事問題をしませんが、大分内外共変って来ました。観音運動は全世界を救はなければならぬのですから、凡ゆる知識と、今後の動きを知っとく必要があると思ひます。
先づ日本に於ける事で、御存知の通り、つひ最近永田総監が、あゝいふ遭難に遇って亡くなりました。之は非常に喧しく新聞の記事などもかいてゐる。陸軍省で発表された以外の記事は載せない様に思はれる。今記事が書けないので、差支えのない事だけ話すが、之だけの事は知ってをかなくてはならない。
今日本の政治的に動いてるのは、現状維持派と改革派とが、両方動いてゐる事だけを知ってる必要がある。で、永田総監は現状維持派の人であります。真崎とか秦憲兵司令官・荒木大将・武藤大将等は改革派に属するんであります。それだけ知ってをけばいいと思ひます。
現状維持派の方は、先づ巨頭としては西園寺公望公で、何といっても、日本の議会政治制の立役者として大功労のあった人で、西園寺としては、政党政治を歪められてる為、解消される事は非常な苦痛で、両三年以来の日本の政界及び社会の空気であります。
その空気は政党政治を解消しやうといふ空気で、西園寺公はこれで苦しみ、何とか元の政党政治に戻さなければならぬといふ事の表はれが、此間の陸軍の大更迭になった訳です。話はそこ位にして、後は察して頂く位より仕様がないのであります。
も一つは日本の国策として、政党政治派と改革派の目的は、当然行詰ってる。彼のソビエートロシヤの政策から話さなければ判らんが、満洲と西比利亜(シベリア)の国境へ始終チョッカイを出して、日本を強圧する気がある。それを軍部は腹立てて抗議を起すとやめる。日本と交戦しやうとしてはやめる。実に不可解な事です。
所が、観音様から知らされた所によると、ロシヤは戦う意志はないので、日本を牽制するんで、満洲国へ絶へず眼を向けさす牽制策で、ロシヤは何処に目標があるかといふと、インドで、も一つは満洲に目標がある。ロシヤの政策は、中部支那を段々共産化して行って、今四川省を殆んど共産化してゐるが、新疆(シンキョウ)省も今ならうとしてゐる。露骨にやってゐる。
新聞に出てる処では、中部支那を赤化し印度の方へ出やうとする政策をやり、満洲を包囲しやうとする政策と、今どっちかも定ってゐない。其時の形勢によってどっちかそうする。すると、満洲を包囲されてから周章てては大変と、軍部はそれを知ってるから、満洲を包囲されるその前に、北支へ手を延べなければならぬと、最近大分それをやってゐる。
又、その成績を挙げてゐる様であり、又蒋介石はそれを知った為、中部支那を共産化されては分裂するから、蒋介石自身が半年ばかりも留守にして、共産軍の喰止め運動をやってゐる。どうしても支那を共産化されたら、亡国の外はないから喰止めなければならぬ。それにはどうしても、日本の力に依らなければならぬ。そういふ訳の為に、止むを得ざる為に、日支提携しやうとする。いいチャンスと、それにより日本は手を延ばさう。
で、日本としてはどうしても、今後大アジア主義をモットーとして進まなければならない。
国家には大体目標がなかったら退歩する。それで絶えず、政治家はその目標を立てなければならぬ。
イタリーと今度ヱチオピアとの戦は、その為らしい。日本も丁度川の中から大海へ乗り出すといふ時で、どうしても乗切って彼岸へ達するか、じっとしてゐれば又川へ戻って了ふ。然し国是としては進まなければならぬ。進むとすると、どうしても満洲蒙古の方へ出なければならぬ。
之から日本を開発するには、満洲だけでは足りない。蒙古方面を開発しなければならぬ。蒙古辺は羊毛・綿布等有利なる品が豊富に出る。外蒙はロシヤが自由にしてゐるから、日本の目標は外蒙へ入る。
ロシヤがしようとしてゐるから仕方ない。今するか準備が出来てからするかが問題で、日本が準備する内に、ロシヤの軍備も進む。日本は凡ゆる事をしなくてはならぬが、ロシヤは軍備専門にやってるから、日本が五年かかる事も、ロシヤでは一年で出来て了ふ。
日本が遅れる程ロシヤは完成して行くから、どうしても早く戦はなければならぬといふのが改革派の意見で、それには何としても金で、その金を得る為に、大胆な政策を持ってゐるがしなかった。日本の特権階級等は之を怖れてるから、どこまでも現状維持派の力によって制えなければならぬ。
そういふ二つの動きがある事を知ってをれば、今後の動きに対してよくわかる。それ以上の話は出来ないのであります。
外国は非常に最近変って来た。新聞によると、ムッソリーニはどうしてもヱチオピアを征服するらしい。どうしても聯盟や英国あたりが食止めさせようと、いろいろやれどガンとして動かず、ビクともしないから、もうヱチオピアとの戦は免れないといふより仕方はない。所で、伊太利は今迄二回も負けてゐる。
今度こそ勝たなければ、ファッショの運命に係はるからムッソリーニは生命にかけても勝たなければならない。今迄軍備の為には三十億フランも使ってゐる。之は大変な金に違ひない。今度戦ったら東アフリカのツァナ湖を占領するに違ひない。ツァナ湖は綿花砂糖等の栽培地方面へやる水の水源地になってゐる。
その利益を保護すべく、どうしてもそこを奪らなければならぬ。そうさせぬ様に英国は邪魔しなければならぬ。伊太利はそれを奪らなければならぬ。熱帯地へ行くと水が米のようなもので、水がなかったら生きてゐられない位で、どうしても之を押えなければならぬ。
之が英伊の大問題で、今日の新聞によると、英国が経済封鎖をしたそうで、昨日の新聞ではヱチオピアへ軍器を売る事を考慮した。日本も大分援助したい意向らしい。 伊太利の意気が割に強いのは、仏蘭西との密約があるらしいので、殊によると英国伊太利と戦かふかもしれない。戦はぬとは言ひ切れない状態となった。
そうすると仏蘭西は、伊太利へ加担しなければならぬ。すると英へは独逸が加担するといふが、そういふ事はないでせう。先づ英仏伊の対立で、英国は米国に助けを藉らふとしてゐる。米国は之は大変と中立法案を出してゐる。絶対武器は売らぬ、禁止国へ舟で来る事も出来ない事にした。
英国の利益も荒され、英国の面目に対しても黙ってをれない。英国は外交によって避けやうとしてゐる。どうしても外交戦では駄目とすれば、戈(ホコ)を交へなければならない。今ヨーロッパでは、山雨正に至らんとして風楼に満つというやうな急危機が迫ってゐる。
之は日本にとって非常に有利な事で、対支政策を始めてる所なんで、尚更結構であります。
伊太利・仏蘭西・英国といふやうな国の戦、それはすべて国際的利害が錯綜してゐるのであるから、ロシヤが加担せんか、独逸は黙ってをれぬから、結局世界戦争にまで進展しやうとも限らぬ。実に国際的にデリケートなものを孕んでゐるのであります。
こういふ事にも、吾々としては大いに関心を持たねばならぬ。観音運動は病貧争をなくすんだといって、呑気に仙人然として超然としてゐてはいかない。日本人として、それは神の意志が奈辺にあるか、日本が段々形体的に世界統一して行くと、観音運動は霊的に統一して行って、結局観音様が現はれて救はるる事になる。
世界の悩みは、立派なものを生む為の悩みで、偉大なものを建設する為の破壊ともなる。矢張り主神の大経綸の表はれといふ風に見なければならぬものであります。 こゝは観音会の仮本部になってゐますが、本部が最近目っかって、その方へ段々具体的に進みつつありますが、遠からず本部は出来る事になってると思はれる。
殆んど理想的な一点の申分ない地形といひ、広さといひ、すべて観音様が用意なすってある所と判ります。之は具体的に発表する事は出来ませんが、ほのかにお知らせしてをきますが、之からだんだん発展する。そして一年たてば、人もここへ入れなくなり、いろいろの仕事が出て来るから、時節によって段々いろんな事を観音様からやらされますから、本部の出来るといふ事も当然な話であります。