天降説

キリストの再臨と云ひ、メシヤの降臨と云うが、これは肉体そのままを以て天から降るのではない。それは特殊の神霊が天から降下し、選ばれた人間の肉体に宿るのである。彌勒下生と云うも彌勒の御魂が下生、つまり下層社会に生れると云う訳である。又胎蔵彌勒と云う言葉があるが、之は仏教の内に胎中の期間を言うので、実は已に誕生されたのである。

従而、彌勒が生れた以上仏界は最早消滅期に入ったのである。彌勒出現成就経に仏滅後彌勒が生れると云う事が書いてある。 今から三十数年前、私は当時或有名な牧師に遇った時、聞かされた話であるが、実に奇想天外な説であった。

それは聖書の世の終りと言うのは、世界人類悉くが死滅する、然し之は仮死であって、千年経った時、キリストが肉体を持って天から降り、全人類を復活せしめると云うのである。私は余りの途方もない説に到底信ずる事は出来なかったが、これは聖書の文字通り直訳した為である。

(昭和二十三年)