農業の新発見に就て

最近新聞紙によれば「電熱によって無肥料でも稲作が二倍の増産をした」という発見が出ていたが、この電流による増産法も古いもので、一時は相当注目された事もあったが、何時とはなしに消えて了った。

それは一時的であって漸次効果のないことが判るからである。

何となれば農業は人体と同様で飽迄も自然でなければならないに拘わらず、人為的方法に意を用いたがる。右の二倍増産も実は無肥料による効果の方が多い事はいう迄もない。肥料迷信に罹った人の眼からみれば肥料なしの増産は電力によるからだと誤認したものである。

(光新聞四十五号 昭和二十五年一月十四日)