寸言

産制論者は「子供の数は一夫婦で二人乃至三人が適当」-といふが、之は可笑しな話である。子供は死なないといふ事を前提とするならば兎に角、二人や三人では全部死亡するといふ事もあり得る訳である。とすれば、子のない不幸な家庭がウンと殖える事は勿論である。但し本教信者ならその論は成立つ。何故なれば、子供の死などは滅多にないからである。

よく病気の原因は暴飲暴食だというが、之ほど理屈に合はない話はない。もし暴飲暴食して苦しかったら、一日断食すればすっかり治る事は請合だ。断食すれば必ず腹が減る。食ひ過ぎたまんま何時まで腹がくちい人間は一人もあるまいからである。

日本は重症患者だ、金詰りとは黄金が詰る、つまり糞詰りだ。
独立即ち独り歩きが出来ないといふ事は、敗戦でブチノメされて足腰が起たないからだ。

思想悪化は結核で
犯罪増加は神経痛で

インフレは胃拡張で、米の不足はその為だ-とすれば、之を治すには名医が必要だ、イヤ名医は出ている、只みんなが知らないだけだ。

(光新聞十三号 昭和二十四年六月十八日)